悪魔の辞書

1997.07.22更新

治療については、急性白血病の場合を説明しています。 間違い・意味不明などありましたら、ご指摘ください。

イヤーウィスパー

耳栓の商品名→耳栓。２組（４こ）で５００円。性能が良すぎる（人の話し声は通すように設計されている）のがタマに傷。


英会話の勉強

暇つぶしのネタの一つ。退屈な入院生活の暇つぶしと実用を兼ねて、始めてみるが、なかなか最後まで到達しない。

告知

これについては、「告知について」をぜひ一度お読みくださいませ。


寛解

病気そのものは完治していないが、症状が消えて、治ったと同じになっている状態。この状態にある時期を寛解期という。
骨髄中の白血病細胞が、顕微鏡レベルでほとんど認められなくなることで判断するらしい。
私の場合は、寛解と判断された時点で、まだ体内に白血病細胞が１０の７乗（推定値）は残っているとのこと。入院当初は１０の１１乗あったそうだから、１万分の１にはなっているが・・
つまり、完治には程遠い状態。まだまだ、これから闘いは続く。


寛解導入療法

寛解を目指して行う治療。急性白血病の場合には、化学療法（抗がん剤の点滴）によって体内の白血病細胞を減少させる。（寛解を参照のこと。↑すぐ上）
治療のファーストステージといったところ。


がん保険

入ってて良かったがん保険。ある日突然、他人事でなくなるのです。


クリーンルーム

バカでかい空気清浄器が置いてある個室。このファンの音の大きさは、イヤーウィスパーでも歯が立たない。
抗がん剤の投与により、白血球数が減少した場合に入れられる。白血球数が１０００まではトイレのときのみ室外に出ることが許されるが、１０００未満になると一切室外に出ることができない。部屋の中でポータブルトイレ（おまる）を使って用をたすが、なかなか出るものではない（精神的に）。
生もの、生花、果物など持ち込み禁止。風邪の人は勿論入室不可。


血液成分

ヘモグロビン

酸素を体内に供給する。数値が下がると貧血などの症状を起こす。
標準値：男性13〜16 女性12〜15 （団体・機関によって標準としている値は微妙に異なります。以下同じ）
数値を上げるには、赤血球の成分輸血を行なう。（赤色）

赤血球

ヘモグロビンを含み、酸素や二酸化炭素を運ぶ。酸素と結合すると明るい赤色（動脈血）になり、酸素を放出すると暗い赤（静脈血）となる。
標準値：350〜450

白血球

体内に入ってきたばい菌などの異質物を退治する。この数値が下がると、風邪などの感染症にかかりやすくなり、極端に低い場合、かぜ→肺炎→死亡となってしまう。そのために、クリーンルームがある。
標準値：4000〜8000
数値を上げるには、白血球増加薬を筋肉注射または点滴で投与する。

血小板

血を固める。切り傷などで出血したときなどに、血が固まって傷にふたをするが、その場合の血を固める役割をもつのが血小板。
数値が低いときに、大きな鼻くそをがっとほじくったら鼻血が止まらなくなったことがあった。
標準値：15〜40万
数値を上げるには、血小板の成分輸血を行なう。（黄色）

リンパ球

有害微生物の防御（外部から悪い微生物が侵入してきたとき、抗体という化学物質を出して、その微生物のまわりをとりかこませ、白血球に食べてもらう）。




抗がん剤

私の治療（化学療法）に使われている抗白血病剤は、以下の薬たちです（分かってるもののみ）。


種類	薬品名
代謝拮抗剤	サンラビン
抗生物質	ダウノマイシン
アルカロイド	オンコビン


その他、経口薬として、プレドニン(これは抗がん剤ではないかも)を服用。（入院直後から寛解まで服用）




骨髄穿刺（こつずいせんし）

マルクともいう。
骨髄機能の検査のため、胸骨（胸の真ん中に縦にのびている骨）または腸骨（骨盤を構成している骨）に特殊な針を刺し、骨髄液を１ｃｃほど採取すること。採取する針を刺す前に、局部麻酔の注射をする。
最初は泣きたくなるほど痛かったが、単に麻酔が十分に効いてないだけだった。私は麻酔が効くまで時間がかかるらしい。刺す痛みは麻酔で取り除けるので、痛いときはガマンせずに「痛い」と言うこと。
私は腸骨派なので、うつ伏せになって腰のあたりをグリグリやられる。見たことはないが、かなりの力をこめて針を骨の中に入れているようだ。骨髄液を採取するときに引っ張られるような感触がある。これはちょっと痛いが麻酔ではどうしようもないのでガマンする（１秒程度）。

ＣＶＰカテーテル

点滴用に胸部（鎖骨の下）に埋め込んである点滴針のこと。針は大静脈につながっており、体外へは３０ｃｍくらいの細いビニール管が伸びている。引っ張って抜けないように、ビニール管が２個所ほど皮膚に縫い付けてある。
ビニール管の先にはコネクタがついており、そこに点滴のチューブを接続する。点滴を接続してないときは、コネクタの弁とキャップによって閉じてある。
点滴の頻度が多い場合（多くなると予想される場合）に使用されるので、これが埋め込まれた場合には長期入院を覚悟すべし。１回埋めとけば半年以上はもつらしい。
点滴の最中でも両手が自由に使える。毎回針を刺さなくて良いなどのメリットがある。


ＧＶＨＤ

移植片対宿主病。
同種骨髄移植後に出ることがある反応。骨髄細胞のみが他人のもの、その他の体は自分の細胞という不自然な状態のために起きる。どのような症状になるのか勉強不足です。すいません。

脱走

入院患者が外出届を出さずに院外へ出ること。若い患者に犯行率が高い。主な行き先は、ラーメン屋・ファーストフード・パチンコなど。
犯行を悟られないようにするため、日頃からパジャマでなくジャージを着用している常習犯も存在する。


脱毛

抗がん剤の副作用により、頭髪がすっきり抜ける。髪の毛を軽くつまんで引っ張ると、あーら不思議、なんの引っ掛かりもなく指と頭の距離が髪の毛の長さを越える。
散髪代が浮くという利点もある。私はもう３，４ヵ月美容院にいってない。
後頭部の絶壁を気にしていたが、思い切って電気ひげそりで剃りあげると、結構いい形の頭だった。
もちろん、また生えてきます。私の場合、抜けてから３ヵ月くらいでやっと全毛根から芽が出てきたという感じ。全体が揃って伸びてくれば、この年になってから胎毛筆(※)が作れると思ってたのに・・・。元気のいい毛根からはかなり早めに生えていたので、長さを揃えるために切っちゃいました。
(※)胎毛筆： １度も切ってない赤ちゃんの髪の毛（毛先が自然にとんがっている）を用いて作る筆。通常は赤ちゃんのときにしか作るチャンスはない。


地固め療法

寛解状態になった直後に行われる治療。寛解状態から、さらに白血病細胞を減少させることを目的に行われる。治療のセカンドステージ。
寛解導入療法を生き延びてきた白血病細胞が残っているということなので、寛解導入療法よりも強い薬、種類の異なる薬が用いられる。
せっかく生えてきた頭髪に、また別れの季節が・・・・

白血病

よく見かけるところ ： テレビドラマ（まじめに病気と取り組んでいるテレビ番組は、悪魔の辞書の守備範囲ではありません）
発生する時期 ： 特に視聴率が落ち気味のとき。および、話の展開が乏しくなったとき
効果 ： 視聴率ＵＰ。この病気に対する誤った情報を広める。
男女発生比率 ： 男：女＝０：１００ やはりヒロインもしくは準ヒロインがかからないと・・・
勘違い ： ×短期間でキレイなまま死んでいく。あるいは、悲惨な場面なので画面に映ってないだけか？ ○抗がん剤の副作用で、髪の毛抜けるわ気分わるいわで、もう大変。でも今は骨髄移植などの治療法の進歩により、治癒率は高くなっています。
最初に発生したテレビドラマ ： 悪魔の記憶の中では、１９７０年代の「赤い○○」ドラマシリーズの中の１本。山口百恵と三浦友和の主演で、高い視聴率を誇ったドラマシリーズ。子供心に「ああかわいそうな百恵ちゃん。そんな病気になるなんて」と思ったものだ。つるっぱげの百恵さんは見た記憶はないが、当時の医療レベルでは、やはり悲しい結末しかなかったのであろう。
蛇足 ： 勉強不足の脚本家達よ、安易に使うな。ココで勉強しろ。
ちゃんとした情報を知りたい人はコチラをご覧ください。



暇つぶし

入院中の暇つぶしとしては、テレビ・ラジオ・新聞・プレイステーション・パソコン・音楽ＣＤ・風呂・散歩・イラストロジック・英会話の勉強・髭剃りなど。
こんなに電気製品を持ち込んでいるのは、私ぐらい。
イラストロジックは入院当初にハマッたが、入院が長期化するとわかりプレイステーションを購入後は全くやっていない。イラストロジックをパソコンでやってしまうソフトを作ったら儲かるかなと思ったら、すでにシェアウェアがあるらしい。


副作用

抗がん剤の副作用として、吐き気・食欲不振・体のだるさ・脱毛・しびれなどがあります。
数値的には、血液の各成分の減少がみられます。一番大きく変化するのは白血球で、数値によって、クリーンルーム行き（１０００未満）が決まります。（採血結果グラフ参照）
私の場合は、自覚症状としては脱毛と指先のしびれのみで、吐き気などなく元気に過ごしています。
それぞれの副作用は、薬の作用がおさまると徐々に回復します。

耳栓

大部屋、つまり一人部屋でない病室に入院している者にとっては必需品。
ゴジラの鳴き声のようなイビキもたまに聞こえる。