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告知について

1997.06.15更新


告知についての私の考え



家族の中にがん患者がいらっしゃる方へ



私の場合、自分が白血病であることを知ったのは、入院後約1か月のことです。家族ではなく、主治医から聞きました。私が主治医に「私の病気の病名は何ですか?私はがんではないのですか?」と質問したからです。その問いに主治医は急性白血病であること、治る見込みが高いことを話してくれました。

なぜ、このような質問をするに至ったかをお話します。
入院当初、勤務先に提出する診断書には「急性骨髄不全症」と書かれており、何の知識もない私はそれを疑うべくもなく信じておりました。両親もそれ以上は何も言いませんでした。
今にして思えば、直面すべき問題を回避するために「言わないほうがいい」と安易に考えていたのでしょう。
しかし入院していれば、周りには患者さんばかり。当然、がんの方もいるわけです(というより、現在の病棟は半数以上の方ががんです)。健康に生活していたときの何倍もの医学情報が自然と耳に入ってきます。
そして、まず最初に気づいたのは、同室のがん患者さんに打たれていた点滴と同じものが私にも打たれているということ。これは、注意しておきますが、通常、薬(抗がん剤)などは生理食塩水に混ぜて点滴を行うため、点滴容器のラベルには「日本薬局方生理食塩水」としか書いてありません。同じ薬と判断したのは、その色が目にも鮮やかな赤色(かき氷のいちごシロップのような)だったからです。次に、頭髪が抜け出したことです。これは決定的でした。2,3日前に見たテレビドラマ「川のほとりで(小児科病棟のなんとか)」(片岡鶴太郎主演、ちょっと涙がでました)のなかで、小児がん(白血病)にかかっている子供の頭髪が抜けてからかわれるというシーンがあったのです。このドラマを見ているときも、がんはまだ他人事と思ってました。なんとあさはかなことでしょうか。
そして、文頭の質問を主治医にするに至ったのです。

家族は、私が正確な病名を知った後も、あえてそれに触れないようにしてました。
うそをつきとおせるとでも思っていたのでしょうか?
いつか話すつもりだったのでしょうか?
自分の子供が、がんの告知を受けたら荒れ狂うとでも思ったのでしょうか?(私はもう30を越えています)
自分の病気を知らないことによって、積極的な治療が行われず、悪い結果を招くということは考えなかったのでしょうか?
いろいろ疑問はあります。が、口には出していません。割と早い時期に自分で気づいて良かったと思っています。