ムービーランド
店長の 映画言いたい放題 301-350

★=1ポイント、☆=0.5ポイントで、最高は5ポイントです。


『風立ちぬ』
観た日:2013/08/27
お薦め度:★★★★★ もう一度観たい度:★★★★★

構図の隙のなさ、絵の濃厚さ、多くも少なくもない登場人物の質量に、のめり込むというより賞賛よりは、感心。
演出も、もうアニメも実写も関係ないぞ。宮崎駿は、ここまで達しちゃったんだなぁ。名古屋駅ホームで崩れかかる菜穂子のシーンってどうよ!それに、テクニックはあるが鼻につくことなく、多層感を持って、テーマというか伝えたいことというか、それがワンシーンに詰まっているのが、とにかく凄い。
納得させられたのが、絵の質感と同調した擬音。あんな木製の階段だったら、こんな音かなぁというのを、見事に当てはめている。むしろ、木製階段を作って、誰かに歩かせて、それをアニメに投じた感じだ。飛行機のいろんな音が人間、というアイデアは、気持ち悪いけど。 結核にて病床の菜穂子の元で、二郎がタバコを吸うシーン。禁煙団体がブーコラ喚いているアレだが、もちろんこのシーンをなくしても映画は成立すると思うが、でも二郎はタバコが好きで、菜穂子に中座を発言し、菜穂子は「ここにいて」と手を離さず、何より二人は毎日をお互いに丁寧に生きている、ということを考えると、この表現はアリかなと。ちなみに私は、タバコは大っ嫌いです!!!
この映画はね〜、観たほうが良いよ。5時間たっても腑抜けの自分が、ここにいるからこそ!
ところで、今回の上映回はたまたま、聴覚障害者支援の字幕入りというものだった。日本語映画に日本語(あ〜ドイツ語もイタリア語も出てきたけど)字幕という、ありそうでなかなか出会えないもの。けっこう気に入った。もっと採用してもらいたいと思う。それにしてもこの映画、セリフが少ない。字幕のおかげでよくわかったよ。


『借りぐらしのアリエッティ』
観た日:2010/08/25
お薦め度:★★★★ もう一度観たい度:★★★★☆

画像構成は秀逸。さすがはジブリ。ただし、左右の絵が流れていくシーンのCGは、飽きた。2D背景は綺麗。
脚本は、なんだかなぁ。次回作がありそうななさそうな終わり方だわ。悪く言えば卑怯。アリエッティと翔の“淡い恋”なんて、ありえないし。まぁこの辺は、監督の力量という部分も大きいのだろう。
そうそう、本作のお手伝いのハル、気に入らない。感情流入できない。可愛くないババァなんだ。この手の失敗は、宮崎監督以外のジブリ作品に、見受けられる。『ゲド戦記』(2006)の魔法薬をもらいに来る2人組とか。そこんとこ考えると、『崖の上のポニョ』(2008)のデイケアサービスで過ごすババァ達の、なんと優しくて生き生きとしていることか!
それから、キャストが少数で突発的だからなのか、構成が単調だからなのか、人物同士の距離感が遠い感じがする。間延びしている。ん〜なんというか……淡白なのである。スカスカしている。低密度だ。なんて言ったらいいのかな?水で薄めたビールみたい……。
ま、一番の問題点は、アリエッティは“かっぱらい”だということと、洗濯バサミの縮尺が矛盾している、ということだね。


『タワーリング・インフェルノ』( seen on TV )
観た日:2010/02/22
お薦め度:★★★★☆ もう一度観たい度:★★★★★

1974年(日本では1975年上映)の作品だ。
昔むかし、TVで吹替えで観たのが、最初の記憶だ。
当時は2週間にわたって放映されていたような。それが単に、長い映画だからなのか、ギャランティが払えないからスポンサーがたくさん必要だったのか、わからないけどね。でも、ワクワクドキドキしながら、食い入るようにTVにかじり付いていた記憶があるよ。
パニック映画の秀作だと、今でも思う。テンポはユッタリしてるし、照明はショボいし、キャストのアクションは陳腐だけど、でも凄い映画だと思う。少なくとも『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)よりはずっといい。
ポール・ニューマンも、スティーヴ・マックイーンも、文句なくカッコいいよね!特にマックイーンの、あの青い瞳は、反則でしょ。
今回、3つ、発見した。
ニューマンの恋人、だれだっけ〜?と思いながら観ていて、フェイ・ダナウェイだと思って、でも確信なくてさ、エンドロール見たら、合ってたので、なんか嬉しいぞ。あんなにいい女だったんだな〜って。ワハハ。しかしあいつら、キスが上手いなぁ……。
音楽が、ジョン・ウィリアムズだった。お〜!
ワーナー・ブラザーズと20世紀フォックスが、共同で製作していたんだな。初コラボらしい。金かけられるし、キャストも豪華になるし、こういう連携は大歓迎だね。
女は子供を預けて落下するが、男は我先とゴンドラに群がって落下する。女のほうが、やっぱり強いのか?


『アウトレイジ』(R-15)
観た日:2010/07/13
お薦め度:★★ もう一度観たい度:★★

北野武は、暴力映画ならいくらでも引き出しがあるので簡単に映画にできる、みたいなことを言っていたと思うのだが、ん〜なんだかなぁ……暴力シーンは陳腐だし、エンディングも既定路線だし……。
正直言うと、肩透かし。
でもまぁ、いくつか見所も、ある。
三浦友和は、悪人っぷりが、なかなかよい。『沈まぬ太陽』(2010)に続いているのか?
ベンツは、やっぱり暴力団の必須アイテムだな。
椎名桔平が、ベッドシーンを「いつものようにやってくれ」と指導されたのが、困った!と、言っていた。ワハハ、で、あんなヘタクソなのが、いつものよう、なんかい!
凄いのが、続編がある、ということ。役者たちは、死んじゃうヤツも生き残るヤツもみんな、演じていて気持ち良かったんじゃないかな?だってストーリーとしては、キタノブルーにぶら下がるほどのもんじゃないもん。って、あ〜死んだヤツらはもう演じられないので、死にたいヤツらがワンサカ集まってきた、ってことかな?


10ヶ月振りの、メルマガ配信でございます。
読者のままでいてくださった皆様のご厚意に感謝いたします。なにしろ、ちょっと忙しくなると、とたんに書かなく(書けなく、とホントは言いたい)なるので……。
それから、今回から、ちょっと書き方を変えました。
これまでは、新作映画に対して、監督以下スタッフと俳優陣、さらにあらすじを書いてきました。これらは、読者の皆様への情報提供と、自分自身が忘れないためだったのですが、このメルマガを始めた10年以上前と、現在では、情報の選択肢も質も桁違いです。ケータイやスマートフォンはますます進化するし、ブログやSNSはもとより、Twitterなんてのも出てきています。なので、それらより、必要な情報は、私よりももっと正確かつ大量に得られるわけです。つまり、上記に関する部分を書く“役目”は、もう終わらせてもいいかな……、ということなのです。
と、偉そうですが……これを書くこと自体が、実は遅筆に直結しているという事実、これが正解(の1つ)なのは、隠せません。
いずれにしても、ちょっとづつ、また書こうと思っています。

『第9地区』
観た日:2010/04/10
お薦め度:★★★★☆ もう一度観たい度:★★★★☆

ピーター・ジャクソンは、『キングコング』(2005)の酷い出来で、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の蓄えを全部吐き出してしまったと思っていたのだが、どうして、しぶとい。『第9地区』では、見事なプロデュースっぷりを見せている。
とにかく、予算が安い。まぁ安いといっても3千万ドルなのだが……。でも全米公開1週目で元を取っちゃったので、OKでしょう。
ニール・ブロムカンプ監督は、ヨハネスブルグの混沌さと、地球外生物“エビ”(という陳腐な表現では似合わないほどの、あまりに高度な文明を持ってるけどさ、でも連中の一部だけみたいだけど)と、何だかとっても上手に合わせていると思う。ナイジェリアのギャングとか、キャットフードとか。ただし、あの液体は、宇宙船の燃料でしょ?アレがかかったとしても、主人公のヴィカス(シャールト・コプリー)は、“エビ”化は、しないと思うんだけどねぇ。どうでしょ?私の勘違いか?
いずれにしても、良い出来のSF映画ですわ。でも続編は……ないほうがいいな。この余韻で、完了してほしいなぁ。


『アバター』(吹替)
観た日:2010/02/16
お薦め度:★★★★★ もう一度観たい度:★★★★★

監督・脚本・編集・製作は『ターミネーター』(1984)『エイリアン2』(1986)『タイタニック』(1997)の、ジェームズ・キャメロン、撮影はマウロ・フィオーレ、特殊効果は『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003)のジョー・リッテリ。キャストは『エイリアン』(1979)『ゴーストバスターズ』(1984)『シャラクシー・クエスト』(1999)のシガニー・ウィーバー、スティーブン・ラング、サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、ジョエル・デヴィッド・ムーア、『ガールファイト』(2000)のミシェル・ロドリゲス。

ストーリーは省略。みんな知ってるからね。

あちゃ〜、2回観ちゃった。2010/03/31に。
衛星パンドラ(これ、αケンタウリが“太陽”なのか?光エネルギーはちゃんと供給されているのか?)は、既に地球人に活用されており、大気構成もナヴィも他の生物も既知だ。地球人の科学力も進歩していて、ナヴィとのハイブリッドも創造できるようになっている。
まぁここまでの設定は我慢できるとして、アバターに精神を流入させるというか、意識がリンクするというかなんつ〜か、これはなぁ……。まだ“惑星の意思エイワ”の介在で、ジェイクがアバターに引っ越す部分のほうが、納得できるね。
そうそう、“エイワ”って、神じゃないんだよね。パンドラそのもの。飛ぶヤツも走るヤツも全員、ナヴィと共に戦い地球人をやっつけろ〜ってね!
意志を持つ惑星って……、あれ?『惑星ソラリス』(1972)だなぁ(正確には“知能を持つ海”か)?
『ポカホンタス』(1995)とか『もののけ姫』(1997)とか『天空の城ラピュタ』(1986)とか『風の谷のナウシカ』(1984)とか、おや?ジブリばっかだな、まぁいいや、もっとたくさん、過去のSF成功例がいっぱい入っている。商業的な成功を確実にするための約束事が、念頭に置かれている脚本作りなわけだ。しかしそんなことは百も承知、観客もバカじゃない。
それでもみんなが観に行くのは……、やっぱり映像と、映画的視覚的世界観だよね。確かに、手前よりも奥行きに、強い立体感があるけど、恥ずかしながら、飛んできた催涙弾を避けちまったよ……。ここいら辺りの開発力というか先見力は、さすがジェームズ・キャメロンだわ。デジタル配給の道筋は、ジョージ・ルーカスが開拓してくれていたから、その部分に関しては、乗っかるだけだったかもしれないけど。
WETAデジタル、大忙しだなぁ……。まぁILMは高そうだしね……。
シガニー・ウィーバー。おいおいホントにもうすぐ還暦かよ〜。アレもCGか?シガニーとジェームズは、『エイリアン2』(1986)での名コンビだから、最後にあんな目に遭わされても、OKなんだな。
ミッシェル・ロドリゲス。最高です!同じく『エイリアン2』にも優秀で勝気な女性傭兵がいたけど、強い女はいいです。
上映中、何度も3Dメガネを外してみた。へ〜こうなっているのか〜と、面白みはないが、妙に感心したわ。
そうそう、別の劇場で2回観たんだ。最初の劇場ではチョロい眼鏡をくれたので、2回目の劇場にそれを持っていった。値切ろうと思って(セコ!)。そしたら、レンタル眼鏡を渡された。そこではなんと、最初にもらった眼鏡では、3Dに観えなかったんだ!なんということ、方式が違うなんて、まったくの想定外。2100円も取りやがって……デジタル製品ってヤツは……。


『THIS IS IT』
観た日:2008/11/05
お薦め度:★★★★☆ もう一度観たい度:★★★★

監督はケニー・オルテガ。主演(というしかないよね)はマイケル・ジャクソン。

自身12年振りとなる、2009年7月のロンドン公演に向け、マイケルはリハーサルを繰り返していた。コーラスもダンサーもミュージシャンも、ミキサーも照明も大道具小道具も、衣装もメイクも、CG撮影スタッフも、みんなが確かに、マイケルを尊敬し、楽しみ、盗み、自らを搾り出そうとしていた。もちろん彼らは知らなかった。マイケルが翌月、死ぬなんて。

しょっぱなから、やられた。ダンサーが、イキイキと切々と、そして舞い上がりながら語るのだ。「マイケル最高、マイケルと同じステージに立てるなら何でもやる」と。泣くんだ。そして笑うんだよ、カメラの前で。これって、本気だと信じる。信じざるを得ない。
そもそも、マイケルって、物心つく頃から、世間から隔離されていた、本物の芸能人でしょ。電車に乗るときに切符の買い方を知らない、みたいな、日本の典型的な芸能人と同じような感じ。
でも、ロリホモ疑惑があっても、赤ん坊を窓から吊るしても、整形で白人化しても、てっぺんが燃え禿げても、いいの。スゲーから。ホントにスゲーんだから!
50歳だぜ、50歳であのキレだよ。もちろん残念ながら1回転しかできないみたいだし、飛べないし、爪先立ちできないみたいだけど、声は変わらなく高音が出てるようだぞ。歌えない疑惑は、拭えたと思うね。
それから、耳の良さ。自分の歌を完全に把握しているようで、バンドのパートの一つ一つにチェックを入れている。メンバーも、アルバムの再現性を追及している。いわゆるライブバージョンではなくて、リリースされた曲を完璧に再現しようとしているし、できている。
完璧主義。まさにキングだわ。舐めたらアカンよ。
こりゃ〜さ…妬まれるわな。いろんな人に。付け込まれるよ、悪党に。たかられるよ、親族に。
しかし……よくもここまで上手にまとめて、フィルムにしたよ。しかもこんなに素早く。最初からこういうものを作ろうとしていなかったとしたら、すごい執念だ。
マイコーのファンじゃなくても、充分に楽しめると思うし、マイナスの偏見は、観ると拭えてしまうかもしれないね。少なくとも彼は、喜劇の対象ではないのだ。


『硫黄島からの手紙』( seen on TV )
観た日:2008/08/05
お薦め度:★★★★☆ もう一度観たい度:★★★☆

“敗戦の日”に、フジTV系列で観た映画。
『父親たちの星条旗』(2006)と共に、クリント・イーストウッド監督の2部作。上映当時、もっとも観たくてもっとも観られなくて残念だった、映画だった。

実は、この映画の舞台である硫黄島を、約一ヶ月前に、見てきたのだ。普通は、行けない。戦没者か研究者か特筆すべき理由がないと、硫黄島には近づく理由がないのだ。
私は、皆既日食を観るために、硫黄島に隣接できた。というか、ツアー客船のクルーが、経路としてここを選んでくれたので、見ることができたのだ。
南端のほうに丸い擂鉢山があるが、それ以外の場所はほぼ平らだ。あれならたしかに、滑走路が作れる。
中央の浜辺も広い。そこに、赤銅色の塊が、いくつも見えた。双眼鏡で確認すると、どうやら船らしい。アメリカ軍の上陸艇である。放置された上陸艇は、沖縄の砲台や、オアフ島で戦艦アリゾナを見たときと同じく、胸が締めつけられる思いがしたよ。
そんなわけで、思いもかけずこの映画を観たときに、その累々と座礁する上陸艇がシーンで出てきたので、グッときてしまった。
ネットでちょこっと調べればわかると思うが、この映画は、全編日本語(もちろん、アメリカ人の台詞はん英語)で作られた、初めてハリウッド作品だそうだ。こんなシナリオにOKを出したクリント・イーストウッドには、映画バカ的敬意を払いたい。もっとも彼が売れたのは、黒澤&三船をパクッたからに他ならないので、日本側から見れば、まだまだ貸していると言ってもいいのかもしれないけど。
二宮和也と伊原剛志が、カッコいいね。特に二宮は、ちょっとニヒルで照れてて醒めてるのを、表情で見せている(というのは良く言えば、で、実は素なのかも)。
戦争は、馬鹿馬鹿しい。するなら、したがる連中だけでしてもらいたいものだ。しかもどっか遠くで、ね。


『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(吹替)
観た日:2008/08/05
お薦め度:★★★★ もう一度観たい度:★★★★★

原作はJ・K・ローリング、監督はデイビッド・イェーツ、編集はマーク・デイ、撮影はブリュノ・デルボネル.A.F.C.,A.S.C.、美術はスチュアート・クレイグ。キャストはダニエル・ラドクリフ(小野賢章)、ルパート・グリント(常盤祐貴)、エマ・ワトソン(須藤祐実)、マイケル・ガンボン(永井一郎)、アラン・リックマン(土師孝也)、トム・フェルトン(三枝亨祐)、ボニー・ライト(高野朱華)、ヘレナ・ボナム=カーター(高乃麗)、ジム・ブロードベント(森功至)。

復活したヴォルデモートとその手下は、魔法界だけでなくマグル界にも厄災をもたらしていた。しかし魔法界は、なす手を持っていなかった。ハリー(ダニエル)は16歳。名付け親を失った傷が、まだ癒えない。そんなハリーを、ダンブルドア校長(マイケル)はヴォルデモートを倒す手がかりへの旅に連れ出す。スラグホーン(ジム)をホグワーツ校の教諭へと誘うことができた。さらに、ヴォルデモートの過去の記憶を辿ることで、ダンブルドアはハリーに、困難だが逃れられない運命を、ハリーに伝えていくのだった。一方、このような困惑した時勢だからこそなのかもしれないが、魔法界では恋の花が咲き乱れていた。それはホグワーツでも例外ではなかった。ロン(ルパート)は初めて恋人を得たし、ハーマイオニー(エマ)は穏やかではない。ハリーとジニー(ボニー)はお互いへの思慕を抑えられない。そんななか、ダンブルドアとハリーは、ヴォルデモートの最大の秘密である分霊箱の謎を解き、絶海の岸壁に辿り着く。

ハリー・ポッターシリーズの6作目。言わずと知れた、スターウォーズ6部作を超える、世界的超大作である。正直言って、時系列になっているだけ、さらにハリーの成長記録になっているだけ、もっと言えば稀有なストーリーテリングである分、思い切って言うと、スターウォーズシリーズよりは、凄いよ。ワーナーブラザーズ、よく買ったね原作を!
その原作、知らなくて、映画は全部暗記している人なら、手放しで喜べるだろう。しかしハッキリ言うと、原作は……超えられない。というか、原作の濃厚さを映像化したら、予算はいくらあっても足りないし、キャストは数倍必要だし、なにより尺が全然足りない。
でもね、面白いの。間違いなく面白いんだわ。
ダニエル・ラドクリフは、脱ハリーでもがいていて、舞台では全裸になったり、マッチョに鍛えたりしているのだが、じゃあこの映画ではというと、ん〜強いか弱いかといえば、弱いじゃん。
同じくエマ・ワトソンも、脱ハーマイオニーを狙っているわけだが、でもエマは、綺麗。身体の線が、女になったね。肌も綺麗だし。ダニエルよりは、英国的な役者に育ってるかもね。
文句を付けるとすれば……(これは原作マニアとしての意見なのだけど)、
その1.ホグワーツでは例外なく『姿くらまし』も『姿現し』もできません。じゃなければ、『姿をくらますキャビネット』の説得力がなくなってしまうではないか。
その2.ラックスパートは、ルーナが言うところの、耳に入ってボウッとさせる架空魔法生物だが、もちろん誰も見たことがない。しかしこいつを『透明マント』に隠されたハリーを救出するときのヒントにさせるということは……、こいつが実在するっていう証明ではないか?
その3.え〜ちょっと外れるが、なんでパンフレットにあらすじが、ないの?
さらに番外編。なんで第七章は、前後編の2部構成なんだよ〜!どれだけしゃぶりつくそうって魂胆なんだって〜の!
って、まぁ次回作も、間違いなく映画館で観るんだが。


『崖の上のポニョ』
観た日:2008/08/20
お薦め度:★★★★★ もう一度観たい度:★★★★★

ビックリした!この映画を観たの、もう1年前になるんだなぁ。そりゃそ〜だ、DVDも出てるし(ってか持ってるし)。
そんなわけで、スタッフ・キャストの詳細は抜きで。
監督・原作・脚本は宮崎駿。これだけ書いときますね。

ルノワール、モネ、ミレーのタッチと、ワーグナー、ドビュッシーののテンポ。完璧な絵コンテを描く宮崎と、美術の吉田昇、作画の近藤勝也、そして21世紀日本映画音楽の巨匠といってもいい久石譲、絵と音楽のコラボは、とても素晴らしい。
押し付けがましくなくて、サラッと観ればサラッと、ジックリ観ればコッテリと、観る人に合わせて観せてくれる。
ポニョは、ちょっと唐突なキャラだ。こめられたモノがたくさんありすぎて(これは宮崎駿の、良くも悪くもある特徴だと思う)、グロテスクになってしまった。進化の過程かもしれないが(魚類→鳥類→哺乳類)、なにもヒヨコにしなくても……。
所ジョージのアテレコは、突出していると思う。アドリブと見受けられるところもあるが、彼らしくていい。見た目よりもかなりいい人っぷりなフジモトを、上手に表現してると思う。
デイケアセンター「ひまわりの家」のババァ達が、素晴しい。もっと素晴しいのは、ここが保育園「ひまわり園」と同じ敷地内にあり、木で仕切られていはいるものの出入り自由なところだ。子供は年寄りと暮らすことで、人情と礼儀と現実を知る。年寄りは子供が近いと、生きながらえることができるのだ。
ということで、さて、もう一回観てみようかな?


『バック・トゥ・ザ・フューチャー』( seen on TV )
観た日:2009/05/02
お薦め度:★★★★☆ もう一度観たい度:★★★★

1986年に、劇場で観ました。パンフレット持ってます。面白かったな〜、もしかしたら2回観たかもしれないなぁ。劇場が入れ替え製じゃなかったから。新宿か銀座で観た、はず。やっぱり映画は、雑然とした大劇場でガヤガヤと観たいよなぁ……。
まぁ、それはそれで置いといて。
ロバート・ゼメキス監督を一躍ヒットメーカーの代名詞に押し上げ、製作総指揮のスティーブン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャルらもごっつい成功(で、味を占めた)を収めた、なんというか、説明不要のタイムトラベル系の快作!
で、久しぶりに観ました。深夜の放送で。
う〜、やっぱり、すげ〜面白いじゃん……。TVなのでオリジナル版を微妙にカットしてたけど(ロレインが車中で酒&タバコをやる所とか。アレって、高校生の設定だから、自主規制したのかな?)。
今回調べてビックリしたのが、マーティ(マイケル・J・フォックス)の母親であり、30年前に高校生として出会ったロレイン役の、リー・トンプソンが、当時34歳なんだって!あのオッパイの艶々した柔らかい盛り上がりっぷりって、凄いよね!まぁ化粧の具合ってのもあると思うけど。
もう一つの発見は、マーティの父親になる、ジョージ役のクリスピン・グローヴァー。気持ち悪い怪演なのだが、そういえば『チャーリーズ・エンジェル』(2000)では、髪の毛を食ってたっけ。でも悪ガキのビフ(トーマス・F・ウィルソン)を気合でぶん殴った後の、あの自信の溢れっぷりと豹変っぷりは、24年前に観たままの感動をくれます。
そして、なんといってもドク(クリストファー・ロイド)を語らずにはいられませんね。……って、語り尽くされてるから、ここでは語りませんが。
マーティとジェニファー(クローディア・ウェルズ)の唇が、なかなかくっ付かないのが、当時も今もじれったいのも、やってくれるよね〜。


『スーパーマン ディレクターズカット版』( seen on TV )
観た日:2008/08/25
お薦め度:★★★★ もう一度観たい度:★★★★

1978年の作品だ。当時、映画館で観た。
なんといってもカッコいいのが、クリストファー・リーヴである。これぞスーパーマン!マッチョで誠実そうで目が綺麗だ。
ジーン・ハックマンも、いま見ると、なかなかカッコいい。最後につるっぱげなのは、狙っていたんだろうが、あんまり面白くなかったが。
マーロン・ブランドは、当時も話題になった。あんなにチョッピリしか出演していないのに、超破格のギャラをせしめたということで。ん〜いま見ると……たいしたことないなぁ。
30年前の、“古典”といってよいCG映画である。にも関わらず、目が離せないのはなぜだ。作り手の魂がこもっているからか?ゴジラやウルトラマンっぽい模型撮影だからか?
ただ、音楽は、やっぱり素晴らしい。ジョン・ウィリアムズ、持っていくね〜。この頃は『スター・ウォーズ』シリーズとか『E.T.』とかも被っていて、彼が一気にメジャーになったときですな。
そして、あのエンディング!当時もいまも疑問だ。地球が逆回転するのはアリとして、時間もかい!


『ギャラクシー・クエスト』( seen on TV )
観た日:2008/07/07(劇場では2001/05/17)
お薦め度:★★★★★ もう一度観たい度:★★★★★

観た日を比べると、なんと7年以上も経ってる。おいおい本当かよ〜って感じ。それだけ、鮮明に、この映画を覚えているのである。大好き!ってイメージを、ね。
ちなみに、当時のレビューは
これです。
う〜!なんて、素晴らしい映画なんでしょ。エンターテインメント映画として、非の打ちどこがないって感じ。
一体全体、ネビュラ星雲のサーミアンってナニよ?
なんでトカゲ頭が戦いの最中に破けてるのに誰も何も言わないのさ?
ど〜してシガニー・ウィーバーが巨乳なの???
ま、なんでもいいや。エンターテインメントとして成立してるんだもん。
ここまで文句なしのポップコーンムービーが出来上がった理由は、たった一つ。脚本です。ストーリーがわかりやすく馴染み深く、普遍的な愛と忠誠と犠牲と正義と、そして、あきらめないこと!
こんだけ揃っててさ〜、面白くないわけないじゃん。
どうかどうか、観たことない人、観てください。そして、笑いながら泣きながら、元気をもらって欲しいよ。そしてそして、本気でブラックホールに突入してくれ!!!


『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』( seen on TV )
観た日:2008/05/18(劇場では2006/02/21)
お薦め度:★☆ もう一度観たい度:★

いや〜実は、このレビュー、2年以上前に観たのに、書けなかったんです。あんまりにもつまらなくて……。
だって、ただのカネの無駄遣い映画じゃあないですか。
ストーリーも薄っぺらいし。
ライオン、生き返るんじゃあねぇよ。しかも放浪癖があるじゃねぇかよ。あんなに威張ってたくせに、国を4つに勝手に分けて、どっかに消えるなよ。
クローゼットを、足を踏みあいながら進むのもね……。
何もかも知ってるみたいな顔でニコニコしている教授もねぇ。したり顔の大人って、嫌い。
なんだかなぁ、つまりこれは、ディズニーが、自分ところのアニメは駄作連発だし(だからまぁ、スタジオジブリと提携したわけだが)、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは凄い出来だし、『ハリー・ポッター』シリーズは大ヒットだし、だから『ナルニア』なんてのを作っちゃったんだよね。
とにかく、本作は酷い出来だから、もうこれ以上の投資はないだろうと思っていたら、ありゃ、新作がいま、公開されていますな。そっか、3部作の契約なんだ。仕方なく作ってるのね……。
で、そのキャンペーンの一環が、今回のTV放映です。
で、観ました。TV。
はぁ〜……やっぱり酷いっす。
CG映画というのは、難しいです。もちろん好みの問題もあると思うのですが、例えば『スパイダーマン』シリーズは凄いが、『ファンタスティック・フォー』シリーズは酷い。そんな感じ。『ナルニア』シリーズは、どうみても『ハリー・ポッター』シリーズには勝てないし、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの出来には遠く及ばないし。
え〜と、まだ何か、書き残しはあるかなぁ?
あ、そうそう、白い魔女の役の、ティルダ・スウィントン。透明感があって綺麗ですね。ライオン野郎にあっさり噛まれて死んじゃったけど(あ〜あ、あのシーンも、最低だ〜!)。


『椿三十郎』( seen on TV )
観た日:2008/05/03
お薦め度:★★★★ もう一度観たい度:★★★★

1962年元旦の公開である。
某国営放送が、黒澤明の没後十年記念特集をするというので、楽しみにしていた。これが一発目だ。
出ている俳優陣の豪勢さは、当時の東宝の貫禄だろうか。若大将と青大将が出ているだけで、そっちのファン層は来るし、志村喬がいるだけで往年の黒澤シンパは納得しちゃう。
もちろん、これらキャストの才能は大きい。しかし黒澤映画の真髄は、やっぱりスタッフだ。カメラ:小泉福造と斎藤孝雄、照明:猪原一郎、美術:村木与四郎、音楽:佐藤勝、録音:小沼渡(この人が凄い!)、その他も含め、本当に力強いではないか。三船敏郎のアクションだとか、仲代達矢の悪魔のような目つきとかに、目を奪われがちだけど、大道具の細かい仕事とか、決して優れてはいなかったはずの撮影機材を持ってしてあんなカットが撮れるのかとか(夜のシーンは“アメリカの夜”になってるけど、仕方ないよね言いっこなし!)、そういう部分も見所万歳だと思うよ。
そして、黒澤の演出ね。若侍が9人いて三船がいるから、合わせて10人。それを誰欠けることなくフレーム内に収めようと四苦八苦……どころか、軽々としているのである。それに応える俳優も凄い、というか、どうせなら長く出ていたいだろうから、そっちの意味で必死だったのかな?
エンディングの殺陣で、血がドビュ〜!!!っと出るアレ、たくさんの解説がされているのだが、思うに『座頭市』(2003)の北野武は、完全にオマージュだね。違う?


『ルパン三世 カリオストロの城』( seen on TV )
観た日:2008/05/02
お薦め度:★★★★★ もう一度観たい度:★★★★★

何を語ることもなく、日本活劇映画の名作のひとつ。
1979年の年末・正月映画として登場した本作は、前作の『ルパンVS複製人間(クローン)』(1978)のヒットに味をしめた東宝が、次のドジョウを目論んで作ったわけだが、結局のところ、前作のように、不二子のヌードとかルパンが不二子の乳首をツンするとか、そんなアダルト路線なんてのはさ、東宝幹部の思い込みでさ、関係ないってことだよね。面白い物はおもしろいんだもん。
いまは、本当に便利な時代になったので、ネットで『カリ城』と引けば、あっという間に情報が集められる。だから、ルパンの緑ジャケットの意味とか、銭形のパトカーがいつの間にか右ハンドルから左にチェンジしてるとか、宮崎アニメの悪役はみんな顔つきが四角いとか、そんな小ネタは、そちらに任せたい。
前出の『VSクローン』は、弟と映画館で観た。立ち見だった。壁にもたれながら食い入るように見続け、エンディングのルパン音頭(by三波春夫!)で爆笑したっけ。
もちろん、ルパン三世は、最初のTVシリーズから大好きで(さすがに山田康夫が死んでからの、最近の単発モノは、観る気がしない……)、「ルパンは人殺しをしないんだぜ、爺さんを見習え!」などとワルサーP38をぶっ放すルパンに突っ込みを入れつつ、再放送の日は草野球も虫捕りもせずに、TVにかじりついた。そんな時代を通り過ぎてきたからこそ、初の映画作品である『VSクローン』を観に、子供だけで劇場に行ったのだ。
ところが『カリ城』は、映画館で観たわけではなかった。特に理由はない。子供なりに時間が取れなくなったせいか。ルパンへの思い入れは、『カリ城』上映時にはかなり薄れていたようだった。
だから『カリ城』を観たのは、TV放映である。しかも現在みたいに録画して後から、なんてことはできなかったから、1発目の放映は観られなかった(はずだ)と思う。要するに、『カリ城』人気が爆発してから、観たのだと思う。
長々と書いた。『カリ城』を観た当時の結論は、大ショックだった。もちろん良い意味である。
とにかく大好きだった緑ジャケットだったこと。銭形が愚直でかっこ良かったこと。カリオストロ公爵が時計の針でプチッと潰される音が可笑しくて怖かったこと。お宝がなんかあっけないモノだったなぁと感じたこと。
そして、両想いなんて夢のまた夢みたいな、青臭いときに、クラリスは衝撃的だった〜。五右衛門じゃあないが「可憐だ」った。クラリスと『未来少年コナン』のラナと、どっちがいいか、なんて話を、飽きずに良くしたものだ。
そして、泥棒さんの勉強をするから連れて行ってと胸に飛び込むクラリスを、抱き締めないように必死に堪えるルパンに、確かに男を、見たのだった。
いっぱい書きたい。とめどなく書きたいのだが、まぁこの辺で。
DVDなどのメディアを買ってもいい、数少ない作品であることは確かだ。まだ持ってないけど。


『ジャンパー』
観た日:2008/03/31
お薦め度:★★★ もう一度観たい度:★★★

監督は『ボーン・アイデンティティー』(2002)のダグ・リーマン、脚本は『ザ・クロウ』(1996)のデヴィッド・S・ゴイヤーと『ファイト・クラブ』(1999)のジム・ウールス、撮影監督は『スタスキー&ハッチ』(2004)のバリー・ピーターソン、編集は『シン・レッド・ライン』(1998)のサー・クライン、視覚効果スーパーバイザーは『マトリックス』(1999)のジョエル・ハイネック、音楽は『ハッピーフィート』(2006)のジョン・パウエル。主演は『スター・ウォーズ2』(2002)のヘイデン・クリステンセン、『アンブレイカブル』(2000)のサミュエル・L・ジャクソン、TV『The OC』(2003)のレイチェル・ビルソン、『リトル・ダンサー』(2000)のジェイミー・ベル、『リトル・ロマンス』(1979)のダイアン・レイン。

デヴィッド・ライス(ヘイデン)は、5歳の時に母親(ダイアン)が失踪し、依頼ずっと父と2人くらしだった。高校一年のとき、いたずらにより凍った川に落ち、そのとき初めての“ジャンプ”を経験した。以来、ニューヨークで、何不自由ない生活をしていた。好きなときにきなところにジャンプできる能力は、金も女も自由自在だった。組織パラディンは、彼らジャンパーを、異端な能力者として数千年前から追跡し、殲滅を目的としていた。その引率者のひとりローランド(サミュエル)は、デイヴィッドの存在を把握、彼を抹殺しようとする。デイヴィッドは高校時代より想いを寄せていたミリー(レイチェル)と共に、ローマにバカンスに出かけていた。一方、早くからジャンパーとしての能力と危険を熟知していたグリフィン(ジェイミー)は、デイヴィッドの軽率な能力の使い方を憂いていた。

あ〜あ、久しぶりに観た映画が、こんなしょ〜もないポップコーンムービーだなんて、なんかガックリ……。製作費をたっぷりかけて、ところが、次回作を念頭に置いているなんてさ〜、セコいしダサいし情けないよね。でもまぁ、時間つぶしにはなるけどね……。
ダグ・リーマン監督は『ボーン』シリーズで、強力資本シンジケートとのコラボが美味しいって分かっちゃったので、またまたこんな映画に乗っかったのかなぁ。でも映画自体は、面白くないわけじゃあないんだけどね。
例えば、ジャンプの情景。断言できるほどの知識はないんだけど、ジャンプした先の情景は映画でも小説でも描写されることはあったとしても、ジャンプの元の情景って、どうよ!破壊されつつも、瞬時に戻る。実際はどうなのか(実際があるのかどうかも含め)そんなことは知らんのだが、でもヴィジュアルとして、とっても面白い効果ではないか。
ヘイゼン・クリステンセン。見てくれがカッコいい俳優になりました。でも、芋っぽいが。黙ってカメラに見栄切れば通用するとは思うなよ。
サミュエル・L・ジャクソンは、あんなに額に皺を寄せなくてもいいと思うんだけど。もっと、淡々とした演技と熱烈な演技を、極端に端的に使い分けて欲しかったなぁ。
レイチェル・ビルソン。なんでこんなにケバいの?目張りが濃過ぎるんだって!これがなきゃ、可愛いのに……って、うそ。この子は可愛くないと思う。残念!
ダイアン・レインは、おばちゃんになっちゃったね……。私は、なんといっても『リトル・ロマンス』と『コットン・クラブ』(1984)なんだよな〜。いやね、年取らない俳優なんていないので、それはまぁいいんだけど、なんつ〜か、個人的にはマドンナの一人なんだな〜って、今回改めて思いました。
というわけで、観ても観なくてもいい映画。ヒマならどうぞ。


『スティング』( seen on TV )
観た日:2008/02/05
お薦め度:★★★★★ もう一度観たい度:★★★★

1974年のアメリカ映画。
何度観ても面白い。面白いものはいつになっても面白いという、典型のような映画である。
茶の間で観ていたのだが、子供が「あ〜アレアレ、『ジョジョ』の真似だ」と言いやがったので思わず「『ジョジョ』がこれを真似てるんだ!」と怒鳴ってしまった。
『ジョジョ』とはもちろん『ジョジョの奇妙な冒険』という傑作漫画の1シーンのことで、それはどこかというともちろん前半の山場、列車内のポーカーのシーンである。ポール・ニューマン演じるゴンドルフ(ゴンドーフとも訳されてますね)が、ロバート・ショウ演じるロネガンの名前を、わざと言い間違えるところのことだ。
まぁそんなオマージュ的な場面も多く見つけられる映画なのだが、今回改めて気付いたのは、この映画のロバート・レッドフォードそのものをパクっているのが、ブラッド・ピットだということかな。ソックリだね。
いずれにしても、ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードは、いいコンビである。気心が知れている。それを言うからには、もちろん、ジョージ・ロイ・ヒル監督と作った『明日に向かって撃て!』(1969)を挙げないわけにはいかないだろう。まぁ『明日に〜』は年齢こそ違えどタメな関係で、本作みたいな師弟な関係ではないけどね。
そうそう、ジョージ・ロイ・ヒル監督というのは、凄い手腕を持っていると、改めて感心する。上記2作とまるでテイストの違う『リトル・ロマンス』(1979)や『ガープの世界』(1982)も、見ごたえのある作品だ。『リトル〜』の思い出をひとつ。公開時に劇場で観たのだが、あ〜なるほどベニス(ヴェネチア)でゴンドラに乗ってチューしたい〜!って、青く思いましたね、当時。
主題歌の「ジ・エンターテイナー」とともに、大事にしたい映画である。


『チャーリーとチョコレート工場』( seen on TV )
観た日:2008/01/12
お薦め度:★★★★☆ もう一度観たい度:★★★★☆

23時30分くらいまで放映されているにも関わらず、まだ幼い子供らに「いいか〜ジョニデとティム・バートンのコンビは、恐らく現在最高のムービーメーカーだから、眠くても頑張って観ろ!」と説法しながら観た、珍しい映画。
ただしうちの子らは、父親がこういう性格なので、映画(観るに値しない作品を除く)の場合は、夜更かしが必要だったとしても居間にいられるのであった。
しかもいま、このコンビの新作映画(しかもハサミ屋さんが題材!)のTVCMをやっていて、それを知っているから、「ほほうそうなのか、この2人が作る映画は、面白いのか〜」と、なんとなく刷り込みに成功である。まぁ『カリブの海賊』シリーズにうつつを抜かすよりは、ずっと健全だと思うがなぁ。
そのジョニデ、吹き替えなのに、上手い。白塗りのおかっぱだけど、上手いのである。『海賊』はあんなにきったない無精髭なんだけど、でもこっちのほうがいいかなぁ。目にクマもないけど、こっちのほうがいいね。
不気味な配色と二流な造形がおしゃれなティムも、相変わらずストライクである。こいつの脳みそ、一体全体どうなってるんだろう。
音楽もヘンだ。ダニー・エルフマンはまちがいなく天才と評していいと思う。
そしてもちろん、ウンパルンパ族を何百人分も演じきったディープ・ロイは、素晴らしいね。「重ねたことはCGだが演技はリアルだぞ」と説明したら、子供らは大受けでしたわ。そりゃそ〜だ。でも、これって、ティムが大好きなクレーアニメ(粘土をコマ撮りして作るアニメ)に準じてるのかな。
ま、いいものを観させていただきました〜。


『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(吹替)
観た日:2007/08/30
お薦め度:★★★☆ もう一度観たい度:★★★★

監督はTV畑のデイビッド・イェーツ、脚本はマイケル・ゴールデンバーグ、撮影はスワボミール・イジャク、美術はスチュアート・クレイグ、衣裳はジェイミー・テマイム、編集はマーク・デイ、視覚効果はILMとティム・バーク、音楽はニコラス・フーパー。キャストはダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ゲイリー・オールドマン、アラン・リックマン、イメルダ・ストーントン、ロバート・ハーディー、マイケル・ガンボン、レイフ・ファインズ、ジェイソン・アイザックス、ロビー・コルトレーン、マギー・スミス、マシュー・ルイス、イバナ・リンチ、ハリー・メリング、ケイティー・リューング、ボニー・ライト。

ハリー(ダニエル)は苛立っていた。ヴォルデモート(レイフ)が蘇ったというのに、この夏休みの間、その後の一切がわからなかったからだ。ある日、いとこのダドリー(ハリー)との諍い中に、いきなりディメンターに襲われたハリーは仕方なく“守護霊の呪文”を使うが、魔法省からホグワーツ魔法魔術学校の退学命令を出されてしまう。その晩、途方に暮れるハリーを、たくさんの魔法使いたちが救い出した。連れて行かれたのは、シリウス(ゲイリー)の自宅、いまは“不死鳥の騎士団”の本部だった。ロン(ルパート)やウィーズリー家のみんなもハーマイオニー(エマ)も、すでにここに来ていた。なんで魔法界で起こっていることを知らせてくれないのかと怒るハリーに、ロンたちは「ダンブルドア(マイケル)に口止めされている」と答える。しかも魔法省大臣のコーネリウス(ロバート)らは、保身のためにヴォルデモートの復活を認めないばかりか、ハリーとダンブルドアを狂人扱いしていたのだ。一方ヴォルデモートと死食人たちは、ある予言を手に入れようとしていた。

映画は原作を超えられない、というジンクスどおりである。ストーリーも展開も内容の重さも深さも、140分間では伝えられないし(だから、いろいろ削ったり替えたりするのだが)、行間から飛び出してくるヴィジョンは、どんなCGでも表現しきれない。
だから「つまらなかった」とか「駄作」とか、ケチョンケチョンな言われ方をしているのだが、でもさ〜、所詮無理だと思うでしょ?あの原作を表現するには、無制限の予算が必要でしょ。しかも、8時間くらいの尺が必要だと思うな。原作のどのシーンも、前作の延長だったり、次作への布石だったりするんだから。でもそれじゃ〜誰も観てくれないもんね、長すぎて。
シリーズを観てないと(というか読んでないと)見落としたりわからなかったりする場面がいくつもあるのは、逆に言うとイェーツ監督らスタッフの、せめてもの抵抗というヤツでしょう。必要の部屋で、ハリーとチョウがキスする前に、ジニーがしつこく振り返ったりね。
チョウといえば!これも語りつくされている気がするが、ぜ〜んぜん可愛くないねぇ。欧米人の、アジア人に対する美的観点が、全然ワカランなぁ。まぁど〜でもいいのですが。
前作から、ダンブルドアが、あんまり強くなく描かれているのが、かなり残念ですね。超人的な強さを迸らせているというイメージを持っているので。それにスネイプも、もっと登場してほしいんだけどなぁ。
登場してほしいといえば、ドラコ・マルフォイですね。もっと出てきてほしいですね。で、もっと嫌われ役を好演してほしいなぁ。
あ〜ファングは、いくらハグリッドがあげたとしても、ドラゴンの肉は食べちゃダメでしょ。
などなど、なが〜く語れるほどに、実はこの映画は、作品としては、もしかしたら製作側にとってはニンマリなのかもしれない。


『風速40米』( seen on TV )
観た日:2007/08/03
お薦め度:★★★★ もう一度観たい度:★★★

1958年の、石原裕次郎作品。
北海道大学で工学を学ぶ滝颯夫(石原)。建設会社の技術屋の父(宇野重吉)が定年間近で再婚、別会社への重役抜擢の見返りにいま携わっているビルの工期引き延ばしを約束するが、それは会社乗っ取りの陰謀だったのだ。ってことで、いろいろ活躍しちゃうという内容だ。
山男で、ピアノを弾いて、踊れて歌えて、おまけにモーターボートを乗り回す。建設現場ではたった一人だけヘルメットをしてない。現場監督の父親に迷惑かけるじゃん。しかもその親父の再婚相手の連れ子が山小屋でストリップしたことでヤラレキャラに襲われた今日子(北原三枝)だし、友人の四郎(川地民夫)の姉でフランス帰りのシャンソン歌手踏絵(渡辺美佐子)は敵役の早田建設の社長(金子信雄)の愛人だし。
この荒唐無稽ぶりが、当時の裕次郎作品の売りであり、この馬鹿馬鹿しさが重要なのだ。
でも、渡り鳥シリーズだって若大将シリーズだってサラリーマンシリーズだって、馬鹿馬鹿しい。スター俳優を有した時代劇もたくさん撮られたが、それらにも馬鹿馬鹿しい類に分類されるものもたくさんあった。
なのに、なぜだか、裕次郎映画ってヤツは、ねぇ。許されてしまうんですね。なぜでしょうかね〜?
題名は、台風が直撃したビル現場に、相手会社からのカチコミ(トラックの荷台に馬鹿そうなヤツラを乗せてくるなんて、あんた……)が来るというクライマックスを示している。すっごい台風だ。ま、30人からの相手に実質2人だけで買っちゃう裕次郎のほうが、大暴風だけどね。
それから、当時は工学部が大人気だったのでしょう。今だってその価値は変らないと思うけど。映画の中での、持てはやされ方が、凄いもんね。
国立競技場近辺の映像が出てくる。プールに行こうと妹に誘われている。あ、東京オリンピックの頃かなと思ったのだが、製作年ははるかに前だった。そっか〜あの辺りはずいぶん前から、その手の施設が集まってたのね。


『PROMISE』( seen on TV )
観た日:2007/07/22
お薦め度:★★ もう一度観たい度:★

酷い映画だね〜!ビックリ!
ワイヤーアクションがCGなのは、知ってる。それはいいのさ。
背景が全部、CGじゃん。なにこれ?上映当時の観た人たちの寸評は、概ね好評みたいだけど、アレはないよね……。要するに『スター・ウォーズ』とおんなじじゃん。しかも『スター・ウォーズ』よりも人物の貼り付けのレベルが低いので、背景と実写の“浮き方”がとっても醜いし。
チェン・カイコーだからといって、ありがたがって観るような映画じゃ〜ありませんね。当時はさ、真田広之が主役級で出ているっていうから、興味あったんだけど、結局観なかったんだけどさ、観なくてよかったです。無駄金捨てるところだったよ。
脚本は悪くないと思うんだけどね。“傾城(けいせい、と読みます、為念)傾国”の話だから。まずは女ありき、だから。まぁセシリア・チャンが良い女かどうかは別だがなぁ。彼女、ん〜、単に好みじゃないっていうだけでなくて、なんだか、品がない気がするなぁ。強い男を渡り歩く役だからってだけじゃないと思うなぁ。
真田広之は、相変わらずのヘロい演技で、あのヘロさが気に入られたのか、単に日本のマーケットを意識した製作サイドの意向なのかしらないけど、なかなか良かったです。
というわけで、もう一度言うけど、お金払って観る映画じゃないね。マニア以外はね。


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