「入院四日目 ICU(集中治療室) 15:15」
鼻にチューブが入っているし酸素と湿度の高い空気がマスクからでている。
足にも点滴のようなものがあるようだ。右腕を見ると2本の点滴のチューブに手首に1本のコード。
それが、篭手のようなものに固定されている。
独り言で「カコイイな・・・」とぽつりと言ったら後ろにICUの看護婦さんがいたらしく
看護婦さん「かっこいいでしょー?まだ、ぼーっとしてる?」
いきなりの登場で麻酔が完全に抜けた。
まだ手術が終わってから数分しか経っていないらしい。
ミュー「ここいつでられますか?」
看護婦さん「どんなに早くても明日の朝まではここを出してはいけないからねー」
ミュー「そうなんですか・・・飲み食い駄目なんですか?」
無性に喉の渇きを覚えていた。
看護婦さん「氷食べる?」
ミュー「頂きます」
その小さな氷は普通の水道水から作った氷らしく少しカルキくさかった。
それでも、その水分がありがたかった。
でも胃に入った物は、すべて胃に繋がっている鼻からのチューブから吸われてしまう。
これからの時間が長かった。痛みもかなり強く、寝ることなど無理な話。
ひっきりなしの介護をありがたく感じながら、この人生で一番長い一日を過ごす。
時間を聞くたびに落胆するのだが、何度も時間を聞いてしまう。
首すら動かせない、痛みもそうだがそもそも力が入らない。
「入院五日目 ICU 午前1時」
胃は麻酔から目覚めていたと言われたので早速、鼻のチューブを抜いてもらった。
喉に当たって痛いし、鼻も痛い。
しっかし、抜いたとき痛かった。鼻に水が入った時の痛みが強くなった感じ。
しかも長い。抜かれている時「うぎー」って感じ。
「ICU 午前3時」
無理に首をあげて周りを見ようと力を込めた瞬間こめかみの傷(頭をピンで固定した
後の傷が3つあるのだがそのうちの一番深い傷)から血が噴き出し迷惑をかけてしまった。
徐々に夜が明けていくのがわかる。こんなに長い一日というのは、これからの人生で経験するのだろうか・・・。
自由もなく激痛に見舞われ、音も機械音のみ。
「ICU 午前4時」
右手首にくっついていた謎のケーブルを抜くらしい。
これ、血圧計らしく手術の時から入れていたらしいのだが
ICUで計れなくなり(不良)になってしまい抜くことに。
でも看護婦さん二人入ってきて腕と肩を押さえる。
ミュー「???」
看護婦さん「ちょっと痛いですよ」
ちょっと痛い位で押さえつけられるのだろうか・・・?と、思った瞬間激痛が。
ミュー「!?」
なんとも言えない血管の痛みが手首から肩までくる。
つい痛みでのけぞってしまった。
それが30秒くらい続き地獄の痛みだったDIOに命を吸われるとこんな感じかもしれない。
動脈に入っていたので止血もすごかった。全体重かけられて止血。
手首を折られるんじゃないかっていうほどの止め方。
看護婦さん「こうやらないと、手首切手自殺したみたいに、ぴゅーってなっちゃいますからねー」とのこと。
しかし、痛い。その後も2時間テープでぐるぐる巻きにされて止血。
半分紫色になった手首が痛々しい・・・。この入院で一番の痛さだった。
この血圧計を曲げて壊したのは自分自身だったらしいのだが・・・。