Emacs/Mule を何故使うのか?

主にUNIX 上で動いていたテキストエディタ…と言ってしまうと身も蓋もない :-) いや、間違ってはいないのだが、それだけだと「何でそんなモノをわざわざ Windows で?」という当然の疑問が出てきてしまう。 「それってUNIXを使っていた人がWindows上でも使うためのモノじゃないの?」と。

だってWINDOWSには「メモ帳(notepad.exe)」もあれば「WZ」やら「MIFES」「秀丸」「MM」「Dana」「QX」「Akira」「EmEditor」などなど、優れモノのテキストエディタが沢山あるではないか、と。

しかし!Emacs/Mule はそのテのものとは次元が違うのである(^^;

こいつらはエディタではあるが強力なマクロ機能(秀丸なんかでおなじみのアレ)を持っている。で、このマクロ機能(Emacs-Lisp という言語)が「超・強力」で、質・量とも WINDOWS エディタとは比べモノにならないくらいの Elisp ライブラリ群があるのである。(例: Mailer、News Reader、ftp、irc、WWWブラウザ(!)、かな漢字変換システム(!))(実はエディタとしての標準の機能のかなりの部分も Emacs-Lisp で書かれていたりするのだ。)

また、shell モードと呼ばれるモードでは DOS 窓のような役割を果たすことも可能である。さらに UNIX コマンドの Windows へ の移植版(Cygwin など)と組み合わせれば気分は UNIX:-)…WINDOWS95/98/NT/2000 のデスクトップが UNIXの X Window System に早変わり!?(はしないけどさ:-))

で、その他にも書ききれないくらい(何冊か本が書けるくらい)の「出来ること」があって、まぁ、少なくともインターネット関連ではこれだけを使いこなすことが出来れば他のソフトは要らなくなります(^^;(まぁ、これ自体が一つの OS みたいなものです。)

だから、実は単なるエディタというよりは「Elisp のインタープリタ」である、とでも言った方がいいかも知れません。


Windows で使う!!

宮下さんと言う方が Win32 用にほぼ完全な形で Mule/Emacs を移植されてます。で、Emacs19.28(Mule2.3)ベースの Mule for Win32 もありますが、こちらはすでにメンテナンスされていません。Emacs20 ベースの Meadow を使いましょう。

なお、今のところ Meadow に関する書籍はないに等しいので (というかたぶんないと思う)、付属の Readme を読んだあとの設定に関しては各 Web などから入手するか関連のメイリングリストに入会するかしてください。

「Windowsしか使ったことがないヒト」向けに(自分向け、と言う話も…(^^;)理解しておいた方がよい概念を書きました。まぁ、他の方のページはその辺がわかっていないと難しすぎるかな、って言う気もするので…


Mule/Emacs って難しいんじゃない?

97 年の「窓の杜大賞」で「もっと初心者に優しいソフトになってほしい」とか書かれてました。

確かに、GUI であちこち設定するのに比べたら難しいでしょう。なんせ Emacs では「.emacs」なる設定ファイルを Elisp で書かなければなりません。(まぁ、大概設定例が手にはいるのでその通りにすればいいのです。それに、実は custom という機能があって、これだと GUI で設定もできたりします)

さらに Elisp のライブラリをインストールして(コレも結構大変かも)さらにその設定を .emacs に書いたり、いろんなところに path を通したり(^^;少なくとも GUI でグリグリ設定したことしかない人にとってはかなり敷居が高くなってます。

でも、そのお陰でかなり無理が効きますし、コンピュータのシステムがわかってきます。

そもそも私なんか Windows95 が初めてのコンピューターでUNIX どころか DOS でさえよく知らなかったのですが、それなりに使えてますし、Linux 導入もこのおかげで結構すんなり行きました。で、結局のところ Windows は全部消してしまいましたので Meadow も使いようがない、という…(^^;

で、使いはじめるとこれがもう便利、便利。で、Emacs/Mule の基本操作は実は Windows とは全然違うので最初は全くわからないような気がします。(tutorial をやればいいのですけど。)で、宮下さんの本を見てもそのあたりはあまり詳しくないので、その他の私が使った参考書を例示します。(もちろん他にもいくらでもいい本はありそうですが…)

ついでにもう一つ概念に関する駄文を書いたので参考までにどうぞ(まだ未完成もいいとこですが(^^;)

参考文献
書名著者出版社一言
初めて使う GNU Emacs/Mule矢吹道郎・宮城史朗・富田圭介テクノプレス基本操作中心。ちょっと古いかも。(NEmacs 中心だもんなぁ)
入門 Mule大木敦雄アスキー出版局基本操作中心。上のよりちょっと詳しい。(当然内容も新しめ)
プログラマに捧げる GNU Emacs ガイドブック亀井信義・舘野信行技術評論社特に標準的な機能についてはものすごく詳しい。お勧め。ちょっと内容が古いのが残念。
GNU Emacs 19 マニュアルリチャード・M・ストールマンアジソン・ウエスレイ言わずと知れた(^^;Emacs のもともとの作者による本っす。

…はやく Meadow の解説本出ないかなぁ…(^^;とかいいつつ最近では Linux/FreeBSD で種々の Emacs と戯れてますが。



YOSHIZAWA Masahiro <manbou@ceres.dti.ne.jp>