39・刑法第三十九条 99/05/10 作成、99/05/10 更新

99年、日本
99/04/26、東邦生命ホール



純粋にサスペンス映画として見ても、近ごろまれに見る面白さの映画である。映画が進むにつれて少しづつ真実が明らかになっていく、そのバラし方が絶妙で、新事実が明かされる度に驚かされ、また次にどうなるんだろうという、サスペンス映画ならではのおもしろさが存分に楽しめる。特にクライマックスでの封筒の中身の見せ方と見せるタイミングには、アッと驚くその中身もさることながら、うまさに本当に感心してしまった。

この映画は、刑法第三十九条に対して問題提起もしているのだが、決して他人事ではないと見る者に思わせるのは、総ての発端となっていること(内容はネタバレになるので書けませんが)のすさまじい描写である。あのようなことが実際に自分の短な所で起きたらどうだろう、と思わずにはいられないほどの深い悲しみである、

難点を言えば、カメラワークや編集はあんなに凝らなくても よかったのでは。あれは観客の注目を引くためだとしたら、最初の方だけにして、後半は普通の撮り方でもストーリーだけで十分引っ張れると思う。それに、シーンの変わり目に意味ありげなカットをはさむのを見ると、「家族ゲーム」みたいだと思ってしまったのも気になった。もう一つ気になったのは、鈴木京香の母親役の吉田日出子のキャラクターが極端で、そのせいで2人の最後のからみが唐突にかんじたことである。

2時間を越える映画だが長いとは感じず、次々に出てくる芸達者な出演者たちの演技も楽しむことができた。


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