国会議員選挙や地方自治体の選挙が頻繁にあって、私のような年配者はかなり選挙というものに疲れてきている感が否めない。若い人にはフレッシュな感覚で日本の議会制民主主義を支えていただきたいと思う。
ところで、近年になって独立したアフリカのある新興国の大統領だか首相だかが、いつだったか、記者団に対して、日本が明治維新後、近代国家として急速に発展した話をして、自分の国も日本をモデルとして発展を図ってゆきたいと言っていた。そのとき私が思ったのは、日本を模範としてもらえるのは嬉しいが、果たして、日本はその国にとってモデルとなりうるか、ということだった。その国についてよく知らないので(正直に言えば、それまでその国の名前さえ聞いたことがなかった)、その国についてとやかく言うことはできない。しかし、日本について言うならば、日本は明治維新後、ゼロから出発したわけではない。日本は江戸時代にこそ鎖国していたが、それ以前は(そしてそれ以後も様々な手段で)大陸から、そして遠い欧米から、文明を取り入れ、独自の発展を遂げていた。それによって日本には、自然科学、人文科学、医学、その他に相当程度の蓄えがあった。議会制度を取り入れる基礎は十分にできあがっていたと言える。
ここで言いたいのは、新しい要素を取り入れて発展するためには、基礎ができていなければならないということだ。基礎がなくて取り入れても、振り回されるだけで、混乱状態に陥り、発展とはほど遠いものになる。
しかし日本にしても、これでもう十分という訳ではない。これからも将来の変化・発展に向けて基礎作りに励まなくてはならない。それが若い人に託された仕事である。