トースターに白いパンを入れて、電源を入れて、待つ。
その間、少しずつ、少しずつ、きつね色に変化してゆくのかと思いきや、いつまでたっても白色のままで、機械の調子が悪いのではないかと心配になったりもする。
しかし、一定時間が経過したところで、一気に美しいきつね色に変化する。そこで取り出して食べる。実にうまい。
ここから教訓を引き出すとすれば、どうなるか。
何事かを成し遂げるためには努力が欠かせないが、といって、努力の過程で少しずつ成果が上がってゆくわけではない。いくらやっても何も見えてこない、という苦悩の積み重ねの果てに、どこかの時点で、突然、成果が目の前に現れる。それをどこまで信じられるか、に全てがかかっていると言っても過言ではない。
しかし、トースターの場合、もう少し色が濃くなってもいいのではないか、などと考えてパンを取り出さずにいると、つぎの瞬間に黒焦げになってしまう。取り出すには、それなりの決断力が求められる。
一般的に言っても、成果が得られたからといって、いつまでもそこに安住することなく、次の段階に向けての歩みを始めるべきである。ぼんやりしているだけではせっかく得られた成果が台無しになってしまう。
これがトースターの教訓である。