NOTE - 電子部品編 - FET - データシートの読み方
last update - 2001/10/27
author - M.Kimpara

素子を選択するときは、要求項目と候補素子のデータをつきあわせます。
次にFET のデータシートに記載されている項目のうち、重要なものを示します。
 
項目   記号 単位 意味
最大定格 ドレイン-ソース間電圧 VDSS V 負荷に対する耐圧

ゲート-ソース間電圧 VGSS V ゲート印可電圧の限界

ドレイン電流(連続) ID A 継続的に流せる電流

ドレイン電流(パルス) IDP A 瞬間的に流せる電流

ドレイン逆電流 IDRP A 内蔵ダイオードの許容電流

チャネル温度 Tch degreeC 動作温度
         
特性 ドレイン-ソース間 ON抵抗 RDS(ON) Ω 通電時の素子抵抗

入力容量 Ciss pF ゲートキャパシタ

ゲート入力電荷量 Qg nC ゲート電荷

ターンオン時間 ton ns ターンオン遅れ時間

ターンオフ時間 toff ns ターンオフ遅れ時間

ゲートしきい値電圧 Vth V OFF を維持する最大電圧

内蔵ダイオード順方向電圧 VDSF V  

内蔵ダイオード逆回復時間 trr ns  
         
パッケージ特性 パッケージ種類

封入パッケージ

熱抵抗 θ K/W  


それぞれの項目の注意点です。


最大定格
ここに記載されている項目は、それぞれの条件下で絶対に越えてはいけません。
特に、設計計算の段階でオーバーしている場合は、仮にそれで壊れなくても、それは"たまたま"壊れないだけなので、絶対にやめましょう。
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ドレイン-ソース間電圧
ドレイン-ソース間にかけることのできる最大電圧(耐圧)です。
負荷や駆動方法によって、電源電圧に適当な安全率を乗じたものよりも素子の耐圧が大きくなるようにします。 (参照)
負荷が誘導性の場合、スイッチング時に高電圧を発生する場合があるので注意しましょう。
また、モータをドライブする場合、逆起電圧を考慮する必要もあります。
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ゲート-ソース間電圧
ゲートに印可できる最大電圧です。
一般的に低め (Vdss<100V の場合、+-20V程度が多い)ので、正伝は買いに注意する必要があります。
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ドレイン電流(連続)
特に注意書きがない場合、完全放熱時に許容される連続最大電流です。
実用上は、ヒートシンクを使わず、素子のみで使う場合はこの定格の 1/5、小さめのヒートシンク(TO-3PにTO-220用を使う場合など)で定格の1/3程度 が目安です。
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ドレイン電流(パルス)
ごく短い時間で許される最大電流です。
この値は、素子内部の熱容量で吸収できる電流量の限界値です。 
回路は、いかなる時でもこの定格を越えてはなりません。この限界値を超えた場合、素子が激しい破壊を起こすことがあります。
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ドレイン逆電流
内蔵された逆並列ダイオードに流すことのできる最大電流です。
一般的に、この項目の数値、条件は、スイッチング時の特性と同等の値を示します。
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チャネル温度
素子の耐熱性を表します。
計算上/使用中にこの温度を気に留めなくてはいけないほど温度が上昇する場合は、根本的に設計がまずいはずです。
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特性
その素子の特性が記述されています。
大抵の計算はここの値を元に計算します。
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ドレイン-ソース間 ON抵抗
ドレイン電流に対する ON 時の抵抗です。
素子によっては、ゲート電圧別(大抵 4Vと10V)になっています。
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入力容量
ゲートの寄生容量です。
ゲートドライバはこの容量を駆動しなければいけません。
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ゲート入力電荷量
ゲートの入力電荷量です。
10V 駆動時の電荷量を表示してあるものが多いようです。
FET の場合、単純な容量 + ミラー領域の容量を入力しなければいけません。
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ターンオン時間
ゲートを ON 電圧まで立ち上げてから、ドレインが実際に ON するまでの遅れ時間です。
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ターンオフ時間
ゲートを OFF 電圧まで立ち下げてから、ドレインが実際に OFF するまでの遅れ時間です。
一般的に、ターンオフ時間はターンオン時間よりも長くなります。
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ゲートしきい値電圧
ゲートに電圧を加えたとき、ドレイン-ソース間が通電しはじめるしきい値です。
一般的にこの電圧が低い素子は低電圧で駆動できますが、ノイズに弱くなります。
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内蔵ダイオード順方向電圧
多くのパワーFET はドレイン-ソース間に逆並列ダイオードを内蔵してあります。
この項目は、そのダイオードの順方向に電流を流したとき、どの程度電圧降下するかを示します。
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内蔵ダイオード逆回復時間
内蔵逆並列ダイオードの逆回復時間です。
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パッケージ種類
素子を封入するパッケージの種類。
基本的には大きいパッケージの方が熱的な定格が大きくなります。
また、実装のしやすさもパッケージによってまちまちなので、注意しましょう。
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熱抵抗
放熱特性に関わります。
この値が小さいほど、多量の発熱に耐えられることになります。
FET のデータシートにこの項目が記載されていない場合、パッケージのデータシートに記載がある場合があります。
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