飼育について

  従来グレーキング (L,mexicana)グレーバンドキン(L,alterna)などは低温を好むと言われてきました。しかし、現在ではCB(養殖個体)化が進み、それにつれて適応温度も確実に上がってきており、個体にもよりますがほぼ他のキングスネークと変わらぬ温度で飼育することが可能となりました。ここでは、CB個体を前提として基本的な飼育方法を書いてゆきたいと思います。 
 個体を買って来る前に以下の必要な器具を揃え予めセッティングを行なってから個体を購入するようにしましょう。(これは温度関係の事故などを防ぐ意味からも意外に大切なことです。)
■ ケージ
グレーキングスネークの場合、40×30×15のフラットケースで終生飼育が可能です。(理想的には60cm水槽に金網の蓋を付けたものがいいと思いますが。)
フラットケース・プラケースはしっかりと蓋が出来て脱走が防げ、しかも安価なので非常にお勧めです。 ただ、小ヘビをいきなり大きなケージに入れると、いつまで経っても落ち着かず、ウロウロしますので、ケージを小さくするかシェルターを入れ落ち着けるようにします。(ヘビの飼育に必要な最低限のスペースはヘビの種類にもよるでしょうが、一般的にトグロを巻いた時の3〜4倍と言われています。) またこの種は爬虫類食が強いヘビです。共食いもありえますので別々に分けたケージに入れて飼った方が良いと思われます。

■ 温度・湿度

 25〜27℃が理想の温度です。冬などは当然この温度にはなりませんので加温してやる必要があります。(繁殖などせず冬眠を考えない場合)温源は一匹〜少数の飼育でしたら、安全面・経済面から遠赤外線ヒーターがお勧めです。これを使ってケージの底面積の1/3〜1/2くらいを加温してやります。
残りの部分はヘビが体温の調節に使うので必ず加温せずに残してやって下さい。
 また、この蛇達の魅力に引き付けられてついつい数が増えてしまった場合、植物用のガラス温室にサーモースタットとヒヨコ電球を入れ「小型温室」を制作するというのも良いでしょう。更に増えてしまえば・・・・エアコンという最終手段もあります。
 湿度は基本的にはそんなに気にしないで大丈夫ですが、原産地は乾燥した環境ですのでくれぐれも「多湿」には注意して下さい。

■ 床材

 メンテナンスを考えると新聞紙・キッチンペーパーなどの紙が最良の選択の様です。ウッドチップを使用する際はなるべく広葉樹で作られたものを使うと良いようです。針葉樹系(パインなど)も換気さえ気を付ければ「天然フェノール」での中毒も心配ない様ですが、ホルマリンが含まれている木(広葉・針葉問わず廃材などを使ったモノに多い)を使用すると、ほぼ確実に中毒を起こすので要注意です。
 また、「ウッドシェイブ」ですが私としては尖り方が気になります。多少神経質かもしれませんが尖ったところで口内を傷つけマウスロットにでもなっては大変ですので。

■ 水入れ

 ヘビが全身漬かれるくらいの水入れを入れて下さい。飲む他に暑い時の体温の調節、警戒時の「避難所」としても利用されます。また、水入れがヘビの体より大き過ぎるとヘビが落ち着かずウロウロしてしまいますので、理想の大きさとしては「ピッタリよりちょいデカ」といったところです。
 私のお勧めは¥100ショップなどで売っているタッパです。ヘビの大きさに合わせてサイズを選ぶことができ、フタに穴を開けて使用すると、水もこぼれず過湿になる事も避けられて非常に良いです。

 給餌

 現在、一般に手に入る餌は、
  • マウス(ピンクマウス)
  • 雛ウズラ(ウズラ)
  • 冷凍ヤモリ

だと思います。それぞれの特徴をあげてゆきますと

マウス(ピンクマウス)
 幼体からの一般的な餌。ほぼ安定した栄養価でこれを丸ごと与えることのみで飼育が可能。(ただ、成長期や卵を持っているメスにはカルシウム・ミネラル分をたっぷりふりかけたモノを与えた方が良いです。)
サイズは、Sピンクマウス・ピンクマウス・ファジー・ホッパー・四週・アダルトとあります。尚、生きたマウスはヘビに怪我を負わせる恐れがあり、保存も困難なので、「冷凍モノ」を温めて使うことをお勧めします。

雛ウズラ(ウズラ)
 ピンクマウスに比べ非常に安価、喰いも悪くないのですが、全体的に栄養価が低い様なので成長期には向かないようです。ただ、太りぎみの個体のダイエットには良いかも。(これも、「冷凍モノ」をお勧めします。)

冷凍トカゲ/ヤモリ
 彼等の大好物です。冷凍されているので寄生虫の心配もほとんどないのですが栄養価はピンクマウスに比べてかなり低く、おまけに3つの中で一番高価です。おそらくこれを主食にはできないので「ピンクマウスへの餌付け時に使うモノ」と考えておきましょう。

 与え方
 基本的には代謝が遅い生き物なので回数は少なく1回/週です。ただし、幼体は成長を促す意味で1回/3.4日くらいが良いでしょう。与える餌の大きさは私の場合、胴の一番太いところと同じくらい(少し大きくても可)のモノを与えています。餌が大き過ぎると途中で飲み込むことをあきらめることがありますので、その場合はサイズを小さめにして下さい。また、なんらかの理由(多くは人の触りすぎですが。)で消化途中の餌を吐くことがあります。その場合はまたスグに与えるのではなく、成体なら1.2週間おいて、幼体なら体力に合わせて一週間くらい餌を抜いてから与えます。(こうすることで、体内の細菌が回復するのを促せるそうです。)与える時はピンセットでヘビの目の前に持ってゆき、ピクピク動かしてやればスグに反応するはずです。

   注意点
  • 冷凍餌は蛇にとって致命傷になるので必ず完全解凍して与える事!
  • 餌にはなるべく直接触ず、「臭い」をつけないようにする事!
  • 給餌直後、触ると「吐く」ことがあるので2日は触らないようにする事!

 掃除

 床材が新聞紙やキッチンペーパーでしたら、フンをした紙ごと捨てて容器を洗い、また紙を敷けば完了です。チップの場合は汚れた部分をフンごと取り除き、月に一度は容器ごと洗うようにすれば大丈夫です。くれぐれも不潔にならない様に気を付けて下さい。
 掃除の間、ヘビは別の容器や箱などに入れて冷やさないようにして下さい。また、ヘビ自身にフンが付いているようでしたらぬるま湯に漬けてとってやって下さい。

■ ハンドリング

 以下の時はハンドリングに向きません。

  • 餌を食べた直後の時(吐く恐れがあります。)
  • 餌の臭いを嗅いで興奮している時(噛む恐れがあります。)
  • 脱皮前の神経質になっている時(噛む恐れがあります。)

 また、幼体は動きが速くて逃げやすく、小さいので体温がスグに上昇・下降しますのでハンドリングには向きません。ある程度大きくなるまで待ちましょう。



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