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■メキシカンキングの種のバリエーション
現在、L.mexicana (以下メキシカンキング)は生物学上、亜種分けはされていません。しかし少し以前まではメキシカンキングはL.alterna
(グレーバンドキング)も含んでいたように分類が定まっていない種なので、私は商業的に言われている3亜種を亜種とは扱わず、便宜的に「3タイプ」という呼称で扱います。
(ただし現在のこの分類に関しては個人的にはやや異論がありますので折に触れて書いてゆきたいと思っています。)
メキシカンキングスネークの3タイプ
・サンルイスポトシ
・デュランゴマウンテン(グリーリ)
・ヌエボレオン(サイエリ)
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●他種との見分け方
メキシカンキングスネークと多種とどう見分ければ良いのかをここでは説明してゆきたいと思います。
まず、爬虫類関連の書籍(特に飼育者向けの書籍)にはよく、次に挙げる鱗の枚数を判断基準として書かれてあります。
腹板 :首から総排泄口までの腹側にある鱗
尾下板 :総排泄口から尾の先までの腹側にある鱗
背鱗列数:背中側の胴部の鱗
上唇板 :先端を除く上唇部分の鱗
下唇板 :先端を除く下唇部分の鱗
確かにこれらの基準は「種」を判別する際には威力を発揮すると思われます。しかしながら、店頭でヘビを買う人にとっては、このうち上唇板と下唇板以外は役に立たないと思われます。考えてみてください。店頭で200枚前後の腹板を数えられるでしょうか?背鱗列数に至っては一人で正確に数えることは私にはできません。

【メラニスティックサイエリの腹板】

【緑の点:上唇板 赤の点:下唇板】
では、とりあえず数も10枚程度の上唇板と下唇板を数えてみましょう。ヘビの喉の部分を優しく持って裏返しにして数えます。これにより少しは該当種を絞る事ができます。
(ただし、グレーバンドキングなど近縁種も似たような枚数なのでこのことで特定は無理だと思います。)
では、次にどこを見るか?
次は頭の形を見て下さい。グレーバンドの場合はトカゲっぽい感じ(要は頭が大きく、首との区切りがある程度はっきりしてる)があり、更に決定的なポイントとしては目が大きく白目が灰色をしているというところです。メキシカンキングは白目の色が赤っぽかったり、黄色っぽかったりしますが、灰色ということはまずありません。
【デュランゴマウンテンキングの頭部】
 
【グレーバンドキングの頭部】
 
では、ルスベンキングとはどう見分けるか?
ルスベンキングはサイエリのミルクフェイズと酷似しています。
判別の手がかりとしては、あまりに当てにならない「模様」に頼るしかありません。(これとて確実ではありません。一つの傾向と思って下さい。)ルスベンキングは頭部が黒く(ほぼ頭頂板まで)頭頂板の後ろには白いリングが入ります。また、全身のリング模様が背中から腹まで一周続いているという特徴もあります。
【ルスベンキング】
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このようにメキシカンキングと多種の区別方法を大雑把に書いてきましたが、最後にハイブリッド(多種との混血)について書きます。ハイブリット個体は上記の方法で判別できるものもいればほぼ不可能という個体もいて正直、これといった判別方法はないと思われます。
また、そのような個体は多型性のあるサイエリといって売られているという事実もあります。私はハイブリット個体も嫌いではありませんし、もちろんグレーバンドやルスベンといった他のキングスネークも嫌いではありません。ただ、明らかに違う個体を違う名前で売るといった行為に対して非常に怒りを感じます。結局確実に「本物」を手に入れる最良の方法は信頼できる人を探すということになるのではないでしょうか。 |
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