ヘビとは? ー蛇のガイダンス


■トカゲから蛇へ

 ヘビはおそくら地中で暮らしていたトカゲがその環境により良く適応するために体を大胆に進化させ、その姿で再び地上に現れたものだと考えられています。

■ヘビの実態

 ヘビの行動の実態を語る言葉に「ヘビは最初は臆病者、次は空威張り、最後は勇敢な戦士となる」(1958 ホープ)という言葉があります。
多くのヘビはまず人間などの外敵となりうるものとの直接接触を極力避け、隠れる・体色でカモフラージュする・擬態するなどを行い、それでも見つかると逃げるといった「臆病者」的な行動をとります。
その上で彼らが危険と判断する事態が乗りきれないと分かると今度は口を開いたり体を広げて大きく見せたりと「空威張り」的な威嚇行動を行います。そしてそれでも、危険がなくならない場合、彼らは「勇敢な戦士」・・・強靭な肉体と牙を使ったヤケクソとも思われる攻撃や悪臭のする分泌物を出すなどの行動に移ります。
つまり、ヘビは滅多やたらに噛む生き物ではないのです。
また、多くの人のイメージの中にはヘビ=毒蛇というものがあるかと思いますが、人間にとって危険な毒蛇はヘビ全種(約2800種)中の10%足らずで、そのうち人間が死ぬ可能性があるものは50種程度なのです。






■基本構造
 蛇は脊椎動物の中で最もシンプルな形、つまり手足が無く頭から尾までスルスルと凹凸なく細長く伸びた完全な機能追求を極めた生物です。

各部は・・・・
:一見して目、口、鼻、はありますが、耳はありません。また視覚/臭覚/聴覚の内臭覚を除いては退化傾向にあるように思えます。目は透明の薄い膜に覆われていて障害物があるところで行動する際も目が傷つかない様になっています。(脱皮前にはその膜が白く濁ります。)口は下アゴが固定されておらずその骨は2つの骨が真ん中で組み合わされる様な構造で、かなり大きく広がり、自分の頭の数倍の獲物を飲み込むことができます。更に口内には細く鋭く内側にカーブした魚の骨の様な歯が上下に生えており、獲物が多様暴れてもしっかりと取り逃がすことが無いようになっています。そして舌は蛇の象徴的なあの形…先が2つに割れたY字型になっており、ニオイをヤコブソン器官と呼ばれる器官に運びその元を分析します。また、耳に関しては外耳はありませんが振動や音を全身で受信して骨で聞くという構造を持ち合わせています。

:全身ケラチン質のウロコに覆われており、その隙間に伸縮性のある皮膚があります。更にその下には獲物を締め上げたり移動するための強靭な筋肉としなやかな脊椎、多数の椎骨があります。

  :蛇の体を裏返し頭から後ろへ見てゆくと頭の逆側の端の方にひときわ大きな鱗があります。そこの裏に総排泄口があり、糞を排泄する他に生殖器も付近に収納されています。その先が蛇の尾で消化器官がないので急に細くなっています。


生理は・・・・

運動南方熊楠「十二支考」(岩波書店)・・・蛇の運動について
「その動作迅速で豪い勢いだが真の一時だけで永続せぬ。蛇の胴の脊椎とほとんど相応した多数の肋骨を、種々変わった場面に応じて巧みに働かせてゆきる。そのやり方その這うべき場面に少しでも凸起の、その体の一部を託すべきあるに遇わば、左右の肋骨を交々引き寄せて体を代る代る左右に曲げその後部を進め中、その一部また自ら或る凸起に托り掛かると同時に、体の前部今まで曲がりおったのが真っ直ぐに伸びる。この動作をもっとも強く助勢するは蛇の腹なる多くの広い鱗板で、その後端の縁が蛇が這いいる場面のいかな細微の凸起にも引っ掛かり得る。この鱗板は一枚ごとに左右一対の肋と相伴う。されば平滑な硝子板を蛇は這い得ず。」


 消化:体温を体の外から得ているので、哺乳類に比べ要求されるエネルギー量が少なくまた、温度によって代謝を調節することが出来るため、外気温が低ければ長期に渡って代謝を遅くすることも可能です。しかその変温性のために、食物を消化するにはある程度の外気温が必要で、消化中に低温にさらすと「致命的」となることがあります。糞に関しては食後スグに出るということはなく、種類・個体の年齢などによって「出る」までの期間は様々で、またフンと尿はいっしょに排泄されます。

 脱皮:彼等が成長するには脱皮が必要です。脱皮、一週間前ぐらいから体色が落ちてきて目が白く濁ってきます。2.3日後には元の色に戻り、その後に頭から鼻先をこする様にして脱皮します。この間、彼等は御機嫌ななめになっており、水に漬かり続けることが多い様です。


  冬眠:自然下では体温が維持できなくなる冬期に冬眠をします。ただし、冬眠と言っても完全にずっと春まで寝たままではなく、体温が低いために動きが鈍いながらも様々な行動をします。また冬眠が発情の条件となっています。
 


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