「目覚まし時計”翔”」

冬の翔は我が家の目覚まし時計だ。しかし、作動する時間は彼の機嫌次第。早過ぎる時もあれば必要ない時にもしっかり家族を起こしてくれる。平日は気にならない程度ですむが、比較的起きるのが遅い休日になると双方にとって不都合なことがよく起こる。
その仕掛けはきわめて単純だ。我が家で冬になると寒さ対策のため1階から2階へ行くための扉を閉めている。そのため目が覚めると寂しさのあまり家族の顔見たさの為に扉の枠の木をがりがりと引っ掻いて家族を呼んでいるだけである。それは家族が起きる時間になるか、誰かが根負けして1階の扉を開けてやるまで続く。家族の顔が見れて大喜びの翔はそのまま家族と起きているか、もう一度寝に行く家人の布団の上で一緒に寝ることになる。
そんな時くりむはというと、翔の隣の小屋でがりがりという音にも負けずひたすら自分の小屋で寝ているのである。夜は誰に対しても自分の小屋に寄せ付けないくりむのこと、翔が甘えてくりむの部屋に行っても逆鱗に触れて追い出されるだけである。昼間は翔のほうが強いように見えるがくりむにとってみるとしつこい翔に気が引けているか根負けしているだけであって本気で怒る状況になると体力で劣る翔など相手にならないのだ。だから困ったことに翔の対象は2階で寝る家族になってしまうのである・・・
翔の「気まぐれ」目覚し時計は暖かくなって1階と2階が自由に行き来できる春になるまで続きます。

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