横浜マリノス/試合観戦記/1998年


98.10.17 対鹿島アントラーズ カシマ

「 鬼門での勝利ならず…10人相手に惜敗 」

 

 負けられない大一番、カシマスタジアムまで行きました。横浜から東関東自動車道を飛ばして行きましたが、台風の影響で雨が降り続いて運転していても水飛沫が凄くて大変でした。視界が遮られて、トラック等と併走すると前が見えなくて大変でした。何とか東関東自動車道潮来まで辿り着き、途中で食料を少々買い込んでカシマスタジアムへ。1年ぶりのカシマへ到着です。着いたのは12時頃でした。

 カシマへ行く車の中で昨年(97年)の試合の模様が思い出されます。昨年もJリーグセカンドステージ優勝争いの中での対戦で、あの時は日本代表が最終予選の為に抜けていたメンバーでの戦いでした。マリノスはカシマに当たるまで11連勝と好調でこの試合を勝てば優勝も見えてくると行った中での対戦でした。試合は結局サリナスが1ゴールを上げるも1対2で敗れて優勝争いから脱落した試合でした。今年こそは!の思いを強くしました。

∽∽∽

 カシマへ着いて車を駐車場へ入れて降りると、待っていたのは暴風雨でした。とにかく風が強くて傘をさしていても風で飛ばされてしまいそうに強くて、雨の降りは少ないんですがスタジアムまで歩くのが大変でした。10分くらい歩いてアウェーゴール裏入り口の2ゲートに到着。チケットを切って貰い中に入りスタンドに上がります、久々のカシマスタジアム、良い思い出が無いながらも(苦笑)結構スタジアムの雰囲気は好きです。カシマのアウェー席は、ゴール裏スタンドとメインスタンドの間にあり、ブロックで言うと端から2ブロック20列(アウェー応援団が少ない場合は1ブロック)しかなくてJリーグで一番アウェーサポータが冷遇されてるスタンドでもあります。知り合いを捜してスタンド前列の中断くらいに場所を取ります。場所取りする時に前の列の人にここで旗振りしますと言われましたが、”ノープロブレム”と答えました。屋根があるといっても斜めに吹いてくる風に乗って雨が吹き込んできて席にいても寒くて仕方有りません。スタンド下に降りて売店に行きます。カシマに来ていつも食べる”もつ煮”を食べようと思いましたが、列の並びが凄くて空いてる場所から”けんちん汁うどん”を頼んで食べながら試合開始を待ちます。試合開始30分くらい前から応援用の旗が立ち並び初めていよいよという気になります。この日はアウェーという事もあり久々に白いアウェーレプリカユニを着て応援します。風は依然強いですが、雨は徐々に止んで行きました。

 優勝に向けてはもう負けられない試合ということもあってマリノスサポータも気合いが入っています。カシマスタジアムは試合前のアップが芝の保護の為という理由付けでグランド内での練習が出来ません。雨に濡れた芝の感触を確かめることはアウェーチームには出来ない場所でもあります。選手が練習してるところを見れないのは残念ですが、グランド下にいる選手達に届けとばかりに大きな声援を送ります。試合前の選手紹介が始まり、累積警告の城の代わりは昨日キックオフマリノスで話していたとうりに文丈が入って、安永と清商ツートップで臨みます。期待していたサリナスはサブにも入っていなくて一成が入っていました。フォーメーションは下記のようでした。

 

横浜マリノス・フォーメーション 

         安永

            文丈

     バルディ    俊輔

       遠藤    上野 

 神田   井原   小村   野田 

          能活

サブ:吉原 直樹 ゴイコ 一成 寺川 

 

鹿島アントラーズ・フォーメーション

長谷川 マジーニョ

       ビスマルク  阿部

       内藤   ジョルジーニョ

 相馬   室井   奥野   名良橋

          高桑

 

サブ:柳沢 本田 真中 水筑 洋平 

 

 選手が入場するまでサポータの大きな声援が続きます。3色のたすきを広げたり、マリノス君大旗を広げたりします。”横浜の唄”を歌い終わった頃にいよいよ選手入場です。まずはフェアプレイ旗、審判団、アント選手、そして我がマリノスの選手達が順にグランドに入ってきます。入場と同時にたくさんの紙吹雪が撒かれます。撒かれた紙吹雪はマリノスサポータの後ろから吹いてくる風に乗って大量にピッチに散らばりました。選手達が足を取られないかと少し心配になります。

∽∽∽

 主審のホイッスルが鳴って試合開始、マリノスはコイントスに勝って前半は風上を取り、マリノスサポータのいる方に向かって攻撃してきます。試合開始早々に長谷川のシュートを能活が雨で滑ったのか少しファンブルしましたが、取り直し事なきを得ましたがちょっと冷や冷やしました。試合開始から両チームとも慎重な攻めが続きます。風の影響でボールの落下地点が予測しづらく長いボールは全てミスになる展開が続きます。マリノスは前節水曜の延長の疲れがあるのか、動きが全体的に遅くてなかなか攻撃がかみ合いません。何度も安永がボールを要求しますが、遅れて出たボールは全てカットされてしまって、シュートまで結びつきません。マリノスゴール前でロングボールの競り合いでマジーニョにのし掛かった小村がファウルを取られます(本来は競らなかったマジーニョがファウルのような気もしますが…)その時に少し両者に小競り合いがあり、後のプレイに繋がってきます。マジーニョが起きあがろうとした小村の拗ねを、左足の裏で蹴ったんですが、主審は見ていなかったようで試合再開されました。ビスマルクの蹴った力無いFKは能活が胸でがっちりキャッチして押さえます。アントの攻撃は主に両サイドの上がりですが、相馬は野田と俊輔が良くカバーに入り、名良橋は神田と遠藤がよく見て押さえます。思った以上に野田のサイドでのマリノスの攻撃が目に付きますが、センタリングはなかなか合わずにゴール前高いボールは元マリノスのGK高桑が身長を生かしてがっちりキャッチして効果的なシュートが打てません。中盤でのボールの取り合いが続く展開で決定気がないままに前半の25分過ぎる頃に、マジーニョにレッドカードが提示されて退場になります。何度もポジション取り等でやり合って小村とマジーニョですが、アントCKの際にクリアした後、マジーニョが小村の首当たりに手を回して引き倒します。主審はまたも見ていなかったんですが、副審がきっちり見ていて主審にアピールしてマジーニョにレッドカードが提示されアントは10人になりました。

 しかし、10人相手のアントに動揺はありません。それもそのはずマジーニョは守備はあまりやらずに攻撃に専念していますから、攻撃の駒が減るだけで守備陣にとってはあまり痛くない選手でした。これがビスマルクやジョルジーニョになると話は違ってきますが、退場がマジーニョでは10人でもマリノスはあまり押した展開にはならないと感じました。そのとうりで攻撃に入ったときのアントは無理して攻撃に出てきません。マリノスも10人になったアントを攻めきれずに前半が終了します。前半通じて安永と文丈のツートップはコンビがあまり合っていないな〜という感じを受けます。城がいれば中盤に下がって楔に入って両サイドに散らしてから外に膨らみながら中に入っていくという動きが見られますが、この日のツートップにはそういった動きが見られずじまいでした。

∽∽∽

 ハーフタイムを境にアントは若干フォーメーションを変えてきます。内藤を文丈に、室井を安永に付けて奥野が余る3バックの形で、相馬、名良橋の両サイドが高い位置からボールを奪って攻撃に出てきます。それを何とか弾き返してマリノスも攻撃に出ますが、安永がボールを持ってからの仕掛けが遅くなり中々決定的な形にはなりません。10人のアントもビスマルクの右CKから決定的なシュートシーンを演出しますが、能活の素晴らしいセーブも有って得点が動かないまま時間が過ぎていきます。途中名良橋に結構やられかけていた神田に変えて左SBをゴイコに変えます。イエロー1枚貰っていたのでその事も有ったのでしょう。アントも後半20分過ぎに長谷川に変えて柳沢が出てきます。ついに出てきたなという感じがしました。嫌な感じがしかけましたが、その直後にマリノスに先制点が入ります。中央を上がった上野からのスルーパスを文丈がうまくディフェンスラインを交わしてGKと1対1に落ち着いてコースを見てシュートして待望の先制点が入ります。ゴール決まった瞬間は周りにいたサポータと喜びを爆発させました。

 残り時間は22分、さらに追加点を!というサポータの思いとはうらはらに選手は守り切ろうという意識が働いたように感じました。その気持ちを見透かしてか両サイドからのアントの攻撃が激しくなってきます。名良橋の中へ切れ込んでのミドルシュートや、柳沢のディフェンスを一瞬躱してのシュートなど危ないシーンが何回か有りました。それでも一人多いアドバンテージで守っていましたが、遂に後半38分に同点に追いつかれてしまいます。中央遠目からのFK、ジョルジーニョの蹴ったボールは小村に当たってゴール真上へ、能活がジャンプ一番キャッチしようとしましたが同じくジャンプした柳沢の肘が当たってボールを溢してしまいます。そのボールに詰めていたビスマルクが押し込んで同点にされてしまいます。ゴール裏から見たらキーパーチャージに見えるのに主審の目にはキャッチミスに写ったようです。ペネルティエリアで捕球体勢のGKへのチャージは反則なのに…、そしてそのまま90分タイムアップ。2試合続けて延長に入ります。

∽∽∽

 延長に入る時に両チームとも選手を変えてきます。マリノスは右SBの野田に変えて久々に怪我から復帰した直樹を入れます。アントは後半終わり間際に入れた真中を外してこちらも怪我明けの本田を入れてきます。延長が始まりフォーメーションを確認すると直樹は柳沢のマンマークに入り井原、小村と3バックを形成、左WBにゴイコ、右WBに俊輔と相手に合わすように守りを固めていきます。柳沢にマンマークはいい作戦だと思いましたが、延長開始早々に右に抜かれてシュートを打たれてしまい、シュートはゴール左に外れましたが肝を冷やします。マリノスの前線はボールは行きますが決定的なシュートを打てずに時間が過ぎていきます。アントの右からのジョルジーニョのセンタリングは井原がカットしますが、それで得た右CK、ビスマルクの蹴ったボールは何故かゴール前フリーのジョルジーニョへ、難なくゴールへ叩き込み2試合連続Vゴール負けを喫してしまいました。決まった瞬間、井原の”ゴイコ〜”という叫びが誰がジョルジをマークする予定だったのかを知りましたが、無くした勝ち点はもう戻ってきません。

∽∽∽

 試合が終わるとさすがに気が抜けて席にへたり込んでしまいました。選手が試合後の挨拶に来ても何も言う事が出来なかったです。それほどショックが大きかった1敗でした。

∽∽∽

 ”カシマは鬼門”ここ数年マリサポの間で言われつづけていますが、今年も10人の相手に勝ちを逃しました。いつになったらここで勝てるのか、勝つまで何試合でもまた来ようと帰りの車の中で思いました。

 

〜fin〜