CG:決戦1 空磨 対 エターナ

■タイトル:決戦1 空磨 対 エターナ
■Note:
 私のCG第11作目です。
さてクライマックスシリーズ第2弾ということで今回はストーリー性を持たせた作画を試みてみました。

ストーリーに即して三つの場面を織り込んでみました。当時は16色しか色数がなかったのでどうしようかと悩んでたりしました。んで空磨のジャケットは赤だったりします(汗)
どちらかと言えばストーリーの方が中心になっておりますが・・・


■投稿時のドキュメント
 なるべく当時のまま収録します。


 1.許されぬ罪

「どうしたの姉さん!光の力だけでは私は倒せなくてよ!!」
よろめきながら立ち上がる姫に向かってエターナは嘲るように笑った。
「使って見せたら、”闇”の力を。姉さんなら使えるでしょ?
 もしかしたら私の力よりも強大かもしれなくてよ。”終焉”を
 司っているんですものね。」
「……こんなことで使えない。」
「何ですって?」
「私は天武様に誓ったんだ。”あの力”を使うのはこんなことの為じゃない。その時まで”あの力”は使わないと決めたんだ!!」
「……ほう、”こんなこと”ね……
 貴様 私をなめているのか!!」
エターナの初めて見せる激怒だった。その掃き出される憎悪だけで姫は数メートルも後ろに吹き飛ばされた。

「私は姉さんのそういう所が嫌いよ。いつも一人で悟りきったような顔をして、まるで天から世界を救う為に選ばれた勇者のつもりかのように振る舞う!!」
「そんなに私は自分を自惚れてはいない。ただ私はあの人のようになりたかっただけだ。」
「あの人? 天武の事か? あの偽善者か?」
「偽善者?」
「ああ、偽善者よ。私とお前があの天武に引き離された時、赤子の私でも悲しかった。姉がいるとも知らずに自分の半身がないって泣いていた。
 でも、うすうす気付いていったわ。みんなが天武の育てた赤子を誉めるんですもの。」
「……」
「私の気持ちがわかって!?闇の魂を持った赤子でさえ天武は光の守護者に育ててしまう。
 光の支配者になるはずだった私の存在すら霞むほど。
 ただ、天武の名声だけで、天武が選んだと言うだけで人々がおまえを光の守護者として……盟主達の姫として迎えようとする。」

ただエターナは今までの屈折した感情の塊を掃き出すかのように毒気を掃き出して行く。
……誰もが隠したいあの思いを……

「姫!本当にあいつに勝つだけの力があるなら使え!」
「ルカさん。それは無理でしょう。」
紫嵐はルカのその考えに首を振った。
「なんで!」
「彼女は自分の闇の魂を必死に押さえつけている。ただ彼女の師を慕うためだけに。それは彼女の生きる拠り所なんだよ。」
「でも、今使わないでいつ使うんだ。死んじまったらおしまいだぞ!」
「自分自身を捨ててまで使いたい力って何だよ。」
水城が釘を差す。自身で在りつづけたい為の力じゃないかと……。

「誰も気がつかなかったんだ。あの男の狡猾な計画を!
 自らを盲目に従うおまえを育てて光の支配者に仕立てあげて、盟主達の王の座を得ようと目論んでいたんだよ。」
「……妹よ……おまえにはいなかったのか?心を許せる相手が。」
「心を許す? こんなにあさましい人間達に?笑わせないでよ。」
「誰からも愛されなかったわけじゃないだろ。おまえには母様がいただろうに……。」
「あの女の事を言うな!!」
その一瞬、立て続けに拳の乱打が姫の体にめり込んだ。まるでサンドバックのように殴りながらエターナは姫を戒める。

「あの女に愛されるだと。虫酸が走る!おまえにあの女の何を知っている。
 おまえは空想の中の理想の母親像を抱いているのだろう。
 しかし、あの悪魔のような女め!!」
姫は答えない。いや、答える間も与えないでエターナは殴りつづけた。
「あの女は私を殺そうとしたんだ。実の娘の私を。
 世界の為だといいながら!
 ……だから私が殺してやった!」
姫は見つめた。妹を哀れなものを見る目つきで。さらにエターナの拳は激しくなった。
「あの女の最後の言葉だ。私におまえを守ってくれだと、うれしいだろ。」
既に姫には反論する余力はなかった……。

「見てられるか!」
「何をする気だルカ!」
今にも飛び出しそうなルカを紫嵐は必死に押える。
「おまえが行った所で死体がもう一つに増えるだけだ。止めておけ。」
「うるさい、水城!! ほっておけるか。」
「無駄なのはわかっているだろう。何で……。」
「あそこにいるのは『あたし』なんだよ。」
「え?」
「母様に愛されようとあがきながら、孤独にうち震えたのも
 周りの冷たい視線に耐えながら、天武様を慕おうとしていたのも
 妬み、嫉妬、恨み、そうしたどろどろした自分の中から沸き上がる
 あの目を背けたくなるような気持ちに引き寄せられながら
 それでも自分を失いたくないと願っていたのも……
 あそこにいるのはいつかの日の『あたし』、庭の角で膝を抱えていたあたしなんだ。」
「助けたい気持ちはわかる。しかし今のおまえが行った所で何の役にも立たないんだぞ。」
「わかっている。でもほっておけるか!」
「あたしにはわからん、赤の他人だろ。自分の命まで捨てたいと思えるんだ?」
「水城! 助けたいって言う気持ちに理由が必要ならおまえの好きな理由を勝手につけろ!」
ルカは水城の制止すら振り切ってルカは飛び出した。

「さぁ、姉さん。お休みなさい。」
エターナはぐったりして動かない姫を高く放り投げると、その指先に光の力を集め始めた。

ルカは走りつづけた。もう真っ平だった。目の前で好きな人間が死んで行くのは。
助けようとして手が届かないのは……空磨だけで十分だった!!

『本当にいいの?』エターナの中の何かが自身に訴える。
『殺しなさい、見るに耐えない自分の半身を。
 消してしまいたいような自分の半身を、殺してしまいなさい!!』
……”それ”は言う。いつもの闇の声で……
その一言に彼女の一握りの良心が弾けとんだ!
「死になさい、フィーネ!!」

助けるんだ! ルカは姫を助けようと飛び込んだ。

エターナの指から発せられた一筋の光の矢は……
……庇おうと飛び込んだルカもろとも姫を貫いた……


 2.決戦1   ……空磨 対 エターナ……

二人の体が小さくバウンドして地に伏した。彼女達の横たわる大地が真っ赤に染まって行くのを眺めながらエターナの中から何かがぬけ落ちて行くのが響には見えた。
「あの人の光の力が弱々しくなって行く……。」
「いや、憂いているんだ。」
リズリーだった少女の感想を水城がそう評した。
「意志体は二君に仕えない。姫は間違いなく光の支配者だ。
 それでも光の意志達はエターナに使われる事をよしとしたんだ。
 あいつの中にある光の魂を信じて。
 しかし、姫を……自分の半身を殺してしまった事であいつの何かが崩れ落ちかけている。
 それを光の意志達が憂いているんだ。」
「見るな、響。もうあれはおまえの信じていた奴じゃなくなって来ている。」
響を案じた紫嵐がささやく。確かにエターナは変質して行った。
「あのままじゃエターナ様の人格が……。」

『さぁ、次に死にたい奴は誰だ!』
エターナを失いつつあるものが水城達を振り返って言った。
「俺が行こう。」
「紫嵐!」 響が悲鳴をあげるように言う。
「ルカの大馬鹿野郎だけに格好を付けされる訳にはいかないからな。」
水城も一緒に前に踏み出る。
「今のエターナ様にかなうと思っているの?」
もう一人のリズリーに操られた少女も止めに入った。
「さぁ、だけどルカの馬鹿が言っていた。理由がいるなら勝手につけろ。
 ……理由がいるなら今頃私達はこの場にいないんだよ。」
「けど……。」
「あいつが、”エターナ”でなくなる前に何とかしなければ”別のもの”に変わってしまう、
 そんないやな予感がするんだ。」
やっぱり絵夢の影が付きまとっているのか?
響の胸にあったわだかまりが頭をもたげていた。
『面倒くさい、みんなまとめて殺してやる。』
エターナを失いつつあるものがいやらしく笑った。

その時だった。まるで雷の空を割るような音を響かせたのが!
『なに!』
振り替えるエターナの目に移ったものは空間がひび割れを起こしているありさまだった。
その隙間からあふれ出す凄まじい”気”のエネルギーが。

「この気は……まさか……。」
誰の目にもみえた、空間をこじ開けながらあの男が帰って来たのが。

……気の支配者 空磨が……

「空磨!」
「気が短い奴等ばっかだな。何で俺が帰ってくるまで待てなかった。」
「馬鹿野郎、今頃帰って来やがって。ルカが……。」
「水城が人の為に涙を流すなんて初めてじゃないか?」
「だ、誰が……。」 水城は自分でも気付いていなかった。
「後は任せておけ。」
空恐ろしい気のエネルギーを放出しつづけながら空磨はエターナに向かい合った。

「話しは大体聞こえていた。さぁ、もう好き勝手のわがままはお終いだ。」
「よく闇の異次元から帰ってこれたな、しかしおまえと私の実力の違いがわからない訳じゃないだろう?」
「実力の差?お前が俺に勝てる訳が無いだろう、おまえみたいに弱い奴が。」
「弱い?」
「あぁ、おまえに比べれば姫のほうがまだ強かった。」
「あのなれの果てより弱い? 私が?」
エターナは彼女自身とそうでないものの間を行き来していた。
それはまるでハイと鬱が目まぐるしく変わる麻薬中毒者のようであった。
「確かにお前の境遇は同情するに値するかもしれない。
 しかし多かれ少なかれここにいる奴等はみな同じようなもんだ。
 だからって、それに背を向けている奴も、それを言い訳にして自分の弱さに甘えている奴もいない。
 姫も……姫はそれでも自分の運命に立ち向かおうとしている。
 だから盟主達の姫なんだ。」
「この私があの女より劣っているだと!?」
「あぁ、ああなりながらもまだお前が立ち直るんじゃないかと妹を殺せずにいた姫に比べればな。」
「減らず口はいい。すぐ黙らせてやる。」
「出来るかな?」

つかみ掛るように襲いかかるエターナを間一髪でかわした空磨は地面に手をつけて気を送り始めた。
無数の気の通った石は宙に浮き上がり様々な軌跡を描いてエターナに向かって行った。
「こんなもので!」
あっという間に魔滅びの剣で大きな石を粉々に切り倒して行った。
しかし残りの無数の石をいちいち潰していくのが面倒臭くなったのか、闇の力を放出して一瞬のうちに石達を闇に葬った。
「こっちだよ。」
エターナは慌てて振り返った。ただの目くらましである。エターナはその俊敏な動きで空磨をなぎ倒そうとした。

パン!
乾いた音が響いた。空磨がエターナの右の頬をはり倒した音だ。
「貴様!!」
しかし続けざまに空磨の平手うちが間髪いれずに左の頬をはり倒した。
「残念だけと”戦ってやる”つもりはない。おまえの自分の侵した罪……
 ぬぐい得ぬ罪の制裁を与えるだけだ。」

馬鹿な! あんなに簡単に闇の異次元に閉じこめられた男が……
このあたしが何でこんな奴に手も足も出ないの!?
エターナは初めて恐怖という感覚を味わった……。

to be Continue


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