CG:姉妹対決・エターナVS.姫

■タイトル:姉妹対決・エターナVS.姫
■Note:
 私のCG第10作目です。
さて今回からクライマックスシリーズということでキャラ紹介からストーリーの本筋を追いかける形で作画されています。

今回のポイントはやはりエターナの羽でしょうか?
当時としては結構うまく描けたのではないか?と思っております。
シンプルでいて結構纏まりがいいので気に入っている作品の一つです

この回から結構愛憎劇を書いています。
今のナデシコSSの原点がこのあたりにあったりして(爆)
そう考えるとほおっておくとどんどんシリアスの度が深まってくるのはこの頃からかもしれない・・・


■投稿時のドキュメント
 なるべく当時のまま収録します。

 1.許せない!!

「もがきなさい。もがけばもがくほど自分の中の醜い部分をさらけ出す。
 貴方の心が純粋であればあるほど、自分の醜さに絶望して行く。
 かつての”闇の姫”のように」
それは絵夢の独り言である。聞き手のルカは彼女の見せる夢で既に狂ったようにもだえるだけである。
「せめてもの慰みです。愛するものを思いながら死になさい。」

『……ルカ……苦しいよ。』

そのものは空磨の顔で、声でささやく。

『楽にしてくれよ。その剣で。俺の事を愛しているんだろ?』

違う!空磨は最後まであきらめるような男じゃない……

『お願いだ。そのおまえの一突きで俺は苦痛から開放される。
 愛しているならお願いだ……。』

何で……おまえは空磨の声でささやく!!
何で体か勝手に動くんだ!!

『これで楽になれる』

あたしの握った剣の先が空磨ののどに突き刺さり……
目の前が真っ赤に染まる。

  「いやぁぁぁぁ!!」

止めどもなく流れる空磨の血を私は必死に押える。でも、でも
押さえきれない血の流れは止まらず、空磨は空磨でないものに
変わって行く。骨と皮と腐った肉に……

   「いやよ。そんなの。」

『寂しいよ。闇の奥は何もない。一緒に来てくれよ。寂しいよ
 愛しているんだよ。』

酷く爛れた空磨の顔でそれは言う。辛そうで寂しそうで……

   「うれしいだろ?愛する男と共に死ねるんだ。生きる望みを失った
    魂は引き裂かれてただの抜け殻に成り下がる。」

『一緒に行こう。俺がこの手で殺してやるから』

……違う……

「違うぅぅぅぅ!!」

「ばかな!!」
 まるで粉々に砕かれた宝石のほんのひとカケがまぶしく輝くかのように
 ルカの魂は太陽のように激しく燃え盛って絵夢の夢の世界を打ち破った。

「本当に殺したいと思ったのは後にも先にもお前一人だ!!」
確かな足取りでルカは絵夢に近づいていった。彼女の瞳は怒りだけでなく、確固たる意志がみなぎっていた。
「なぜだ! あの精神的に一番未熟なお前が!なぜ私の悪夢から逃れられたのだ?」

「未熟?未熟なもんか、ただ甘いだけさ。」
その様子を見ていて水城が言った。

「逃げたんじゃない。それよりも貴様に対する怒りのほうが強い。
 ただそれだけだ!!」
「ち!!」
絵夢はもう一度ルカに悪夢を見せようとする。しかし……

「遅い!!」
ルカの剣が深々とその胸板を貫いた。
「これで勝ったと思わない事ね。もう何もかも手後れなのよ……。」
崩れ落ちる絵夢を葬りもせずルカは背を向けて歩いた。
闇の姫のほうに向かって。


 2.姉妹対決  ……エターナ VS. 姫 !!……

「さぁ、お前が最後だぞ。」
それぞれの敵を破った水城、紫嵐、ルカが闇の支配者 エターナに向かって言った。しかし、エターナはそれに動じる様子はない。
「もしかして、もう鬼の首でもとったつもりで居るのか?ならそれこそ笑い話だぞ。」
エターナのあのどこか冷酷な笑みが三人をなめまわすようにみる。
「水の支配者 水城さん、貴方はリズリーを倒すのにほとんど力を使い果たし
 風の支配者 紫嵐さんは響に情けをかけたが為にまだ言霊のダメージが癒えず、
 時の支配者 ルカさんは絵夢の悪夢で精神的にも極限状態。
 満足に私の相手を出来るものがどこに居るのですか。
 ……もっともあなた方がベストコンディションでも三人がかりで私の相手を出来たかどうか。」
「なにを!!」
「やめろ、ルカ」
先走りそうになるルカを紫嵐が制した。

「わからないのが水城さんに紫嵐さんです。」
エターナは不思議そうに言うが半分はあざけり笑っている。
「どうしてあなた方のような方々が気の支配者のように勝ち目のない闘いを挑もうとするのか? まさか正義のために殉じる……などとおっしゃる訳ではないですよね?」
無表情な顔で水城は言った。
「そんな手前勝手の都合を押し付ける為の言葉になんか興味はない。
 ただ……あの馬鹿の為に戦っていて心地が良いと思う自分を気に入っている。それだけだ。」
エターナは他の二人の顔も見る。そこには水城と同じ顔をした
仲間達の顔だった。

「そうですか。ではその安っぽい自己満足とやらの為に死になさい。」
冷酷に言うエターナの表情は優しさと残忍さと盛んに行き来していた。
「け、はったりかますんじゃない。」
「あいつの言う事、あながちはったりでもない。」
感じる事が出来るか?と紫嵐は言う。莫大な闇の力と、それと同量のいやそれ以上の光の力が彼女の周りに渦巻いているのを……。
「ば、馬鹿な!闇の支配者だろ。光の力なんて……。」
「本来、彼女が光の支配者になるはずだったからですよ。」
ルカの疑問に答えたのは光の支配者 姫であった。
「姫さん!」
「遅れてすみません。どうしても確かめたい事があったので。」
「それはいい。それよりエターナが光の……支配者って」
「あれは、私の半身。本来一人の人として生まれるはずだった人間の光のほうの魂……。」
「それって……あいつが姫の双子の妹?でもあいつが光だとしておまえは……まさか。」
「そのとおりです。本来私が闇の魂を受けて闇の支配者となるはずだったのです。しかし現実はあれのほうが闇に魅入られてしまいました。
 ゆえに闇を支配しながら光の力も使う事が出来るのです。」
「そんなのありか!?」ルカは絶句した。

「だから私が戦わなければならないんですよ。」姫は言う。
「あれは私の半身。あれを私の定めを背負わしてしまったのが私の罪だから……私は共に果てるとも止めなければならないんです。」
「一人で戦うつもりですか?」
紫嵐が尋ねる。しかし姫の決意は固い。
「別に止めはしないけど……。」
水城が姫を茶化す。
「何もかも自分がしなきゃいけないなんてうぬぼれるなよ。
 空磨みたいにブーたれながらやるぐらいが丁度いいんだ。」
姫は笑って何か言おうとしたがそのままエターナのほうに向かっていった。
ルカには姫の背中が『そうですね。』と言ったように見えた。

「久しぶりですね。姉さん。”フィーネ”と呼ばれるのは嫌いでしたものね。」
「エターナ……」
「でも私は姉さんの名前が好きですよ。”終焉”と言う名前が。」
「どこで狂ったんだ。おまえと私の運命が入れ代わってしまったのは。」
「死んでくださいね、姉さん。人間など生きる価値すらないんですもの。」
「おまえは……どこまで落ちてしまったんだ。」

その一瞬のうちに二人は十数度拳を打ち合った。その打ち合う都度光と闇がぶつかりあって恐ろしい余波がまき散らされた。

「互角か?」ルカが叫んだ。何とかなるかもしれない、そう思った。
しかしそれはあまりに早い感想だった。

「そろそろいいですか?救世者気分に浸るのは。」
その一言で姫の表情が凍り付いた。
ごう!!一瞬の事だった。その一瞬エターナが本気になっただけで
姫は遥か彼方にフッ飛ばされた。”光”の力で。

「姉さん、”光”の力だけで私に勝てるつもりでいたの?
 私に勝つつもりなら闇の力を使って見たら?」
「くぅ!」

    『総ては予定通り。闇の姫よ、仕上げの悪夢を見るのですよ。』

ルカには聞こえた。確かに”絵夢”の声で……。

to be Continue

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