CG:夢の支配者 絵夢

■タイトル:夢の支配者 絵夢
■Note:
 私のCG第9作目です。
闇の軍団編の4人目の敵キャラの女性です。
さてさて、目がトロ〜ンとした不可思議な人です。
何を考えているかよくわからず、普段の表情は夢見ているような表情ですが思いっきりミステリアスな人であり、やたらと意味深なセリフを言います。(苦笑)
一応、エターナと縁深いんですが。

デザイン的には結構気に入っています。元ネタはFSSのムグミカ王女だったりします。
絵的には要らん文字を入れてかえってまずかったかな〜と後で思ったりして。
何気にルカがいますが、また顔が変わってる・・・

しかし、この回からドキュメントが果てしなく長くなっていってるんですよね(苦笑)


■投稿時のドキュメント
 なるべく当時のまま収録します。

1.my little garl

 始めから響のねらいは接近戦だった。紫嵐の懐にもぐりこんだ響の口から忌むべき言葉がつむがれる。
「陰魔壊呪死怨罵……」
 間一髪だった。
あと少し回避が遅れていたら魂を根こそぎ奪い取られていたろう。紫嵐にすれば明らかにミスである。懐にもぐりこまれた時点で響を殺す事も出来た。しかし彼は躊躇してしまった。
「言霊……呪詛か、音の意志体にそんな能力があるなんて聞いたことがない」
 響は自分の技の手応えに笑みを漏らしていた。
無傷で済ますのは無理か?腕一本は犠牲にするか?紫嵐はこの期におよんで迷っているもう一人の自分を冷笑していた。

「さようなら、我が……。」
 響の笑みは言葉の最後で消えていた。一瞬のまの間にその顔の表情は消えた。
その一瞬の表情を見逃さなかった紫嵐はつくづく自分の甘さを笑った。
「死ね!」
 紫嵐は容易に懐にもぐりこんだ。
やれる!!と響が確信した瞬間、事もあろうに紫嵐は構えをといてその手を響に向かって広げた。
「な!!」
 響の一瞬の躊躇が彼女のシミターを鈍らせた。
その隙に”風”がまとわりつく!!
「なに!シルファ!?」
 彼女の両手両足を風の意志体”シルファ”がしっかりと押さえこんだ。
その瞬間勝負は決まっていた。
「空刃陣!!」
 無数のかまいたちが彼女を襲った。
「ぐ!!」

 しかし、血しぶきが彼女の身体からあがる事はなかった。
「至近距離での空刃陣の欠点だ。かまいたちが空気の刃と化す前に打撃を与えてしまう。しかし全身の骨を折られたような脱力感があるだろう。」
 紫嵐は身動きすら出来ない響の髪を優しくあげてやる。
「何故だ! あの冷血だったお前が何故敵にとどめをささぬ!」
「……」
「ばかな!なぜだ!」
「おまえがいったろ、見てきたものが違うって。おれも昔の俺ではいられない程いろいろなものを見てきた……。」
「本気を出せばもっと楽に勝てていた。何故だ!手加減をしても勝てると思っていたのか!!」
「おまえは強かったよ、いつの間にか俺に追い付いていた……。」
 よろける紫嵐に響は這って近づいた。
「俺の小さな女の子がこんなに強くなったんだな……。」
「紫嵐……」
「ただ、あの小さな女の子を俺には殺せなかった……それだけだ。」
「わかっていた……。あなたには勝てない事は。あなたが風の族をぬけて旅立っていった日から……。」

少女はさみしかった。
何も告げずに出ていった男を思い……。
教えて欲しかった、何故旅立ったのか。
連れていって欲しかった……。
村の片隅で少女は膝を抱えて男の帰りを待った。
1年、2年……心が虚しくなるほど長く……

しかし帰る所はなくなった。
魑魅魍魎が村を襲った。
あるいは村の長であるその男がいれば防げたかもしれない。
しかし、男はいなかった。
少女は物陰で震えていた。
悲鳴があがるたびに恐怖をのみもこうと唇を噛んだ。
やがて村人達の悲鳴すら聞こえなくなった。
恐怖は更に増した。
どれだけ経ったろう。隠れているには気の狂うほどの時間……
やがてのぞきこむ影はいやらしく少女を笑った。
少女は逃げ惑った。
なぶるように追い回す獣、いや悪魔よ
いつだろう右目に感覚がなくなったのは……
少女は逃げる力も失った。少女は死ぬ前に男に会いたかった。


どれだけたったろう……

少女が次に気付いた時には悪魔の姿はなかった。
悪魔達の姿は彼らが屠った村人と変わりなく地に伏していた。
そこに立っていたのはたった一人の少女、年の頃は自分と同じ
けれどその瞳は凛として蒼、無慈悲にして哀、狡猾にして優
……闇の支配者……


その者は少女に問うた。
己は無力に打ちひしがれているだけか?
少女は答えた。
私には力がない……。
その者はまた問うた。
力がないから口惜しくないのか?
少女はくるったように答えた。
悔しい!!
その者は言った。
ならばなぜ剣を振るわぬ!泣いても誰も手は差し伸べない
悔しいなら剣を振るえ!!
差し出される剣を少女は震えるように触った。

寂しさは口惜しさで埋まった。
虚しさは強くなる事で埋まった。
恋しさは慕う事で埋まった。
少女は戦士に変わっていく。
少女の主は闇の姫。魔滅びの剣を振るい悪鬼を滅ぼさん。


共に亡ぶまで戦わんと誓い……


「あなたのあけた穴は埋まったと思っていた。あの人のために戦う事に何のためらいもなかった。なのに、なのに」
 響の鳴咽が紫嵐を揺さぶった。
「俺の小さな女の子、しばらくお休み」
 響にはわかっていた。自分が紫嵐の人生の一部を背負う事は出来ない事を。
彼の一言が統べてを語っていた。
紫嵐はふらついた足取りで立ち上がり既に戦いの終わっている水城の様子を見やった。
「紫嵐、絵夢にだけは気を付けて!」
 響にはそれだけ言うのが精一杯だった……。


2.絵夢 vs ルカ

「無気味な奴だな、何か言えよ。」
 ルカはいらつくように絵夢を睨みつけた。得体の知れない相手がルカにとって一番苦手な相手である。
「……何故私がわざわざ貴方の相手を進み出たかわかりますか?」
「あ?」
「貴方が強いからではありませんよ。貴方の血が強いから。」
「あ、あたしをなめているのか?」
「貴方はほおっておいては、何れ強くなる。なぜならかつての二天、気の支配者天武と時の支配者レスティーの血に列なるものですものね。」
 ルカは響やエターナら他の者達と絵夢が明らかに異質な存在であると直感した。
「当代の気の支配者空磨はエターナが闇の彼方に追いやってくれました。
 しかしそれだけでは完全ではありません。”混沌”は時の支配者を甘く見て失敗しました。けど、私は早めに危険の目をつんでおきます。」
「な、何を言っているんだ?」
 違う!こいつは明らかにエターナが行おうとしている大粛正などとは遥かに次元の違う事を考えている。訳はわからないがルカにそう思わせるに十分だった。
「さぁ、もうおしゃべりは十分でしょう。これから貴方の精神を砕きます。
 夢さえ見れぬほどに粉々に……。」
「なに!」
「落ちて行きなさい……夢の中に……。」
 目の前が暗くなっていく。寝てはいけない!!
ルカは全身全霊をかけて魂を奮い起こそうとする。
しかし、まるで砂の城が波に食われて行くように、心の中に闇が進入してくる。
……誰もが恥ずかしくて、後ろめたくて、隠してしまいたくなるあの気持ち
思い出したくない 後悔 嫉妬 自分の中の一番醜い部分    ……

凄いな、母様は。
人々は慕い、時の意志と心を通わせ、世界を導く
私の母様……でもその前に母様はみんなのクイーン
抱きしめてもらえる時はあまりなかった。
母様は女王、人前で娘を甘えさせる事は出来ない。
それはわかっていた。でも子供の自分にはたまらなく寂しかった。

みんなが影でささやく、女王様はあんなにお偉いのにその姫様の
何たる事よ。時の声すら聞けぬ……女王様のお子なのか?

口惜しかった、情けなかった。私は母様の娘だ!!
しかしいくらもがこうとも時の意志は見えない、声も聞こえない


……本当に自分は母様の娘なのか?……

庭の角で膝を抱えている自分を励ましてくれるのは決まって天武様。
誰もが慕い、尊敬する光の衣を纏いし気の支配者。
そんな天武様に誉めて欲しくて剣を振るってみせた。
うまくなると決まって天武様は誉めてくれる。いつしか時に声を
聞く修行よりも剣を使うのが楽しくなっていた。
……天武様のようになりたかった……


ある日、天武様は真剣な顔をして私に剣を握れとおっしゃった。
かまわず俺に剣を振れ、そう天武様はおっしゃった。
出来る訳ありません、私はいいました。
天武様は私の握った剣に左腕を押しあててきました。
危ない! 私は剣をひこうとした。でも天武様の真剣なまなざしに
私の身体が拒否しました。私は何か学ばなければならない……
そうもう一人の自分がささやきました。
赤いものが私の顔に飛び散った。


「血が、血が、死んじゃうよ!!天武様!!」
私は狂わんばかりに叫びました!天武様は気にするでもなく私の目を見て
いいました。
「痛かったか?」
「え?」
「君が怪我した訳でもない。でも痛かったか?」
痛い!痛かったよ!! 私はうなずくだけが精一杯でした。
「いいか、剣は……力は人を簡単に傷つける事が出来る。
 人を傷つけずに生きる事は不可能かもしれない。
 でも、人を傷つけたと同じだけ自分も傷つくだけの心の余裕をもって欲しい。」


 私は知りました。
自分の握っている剣は相手の人生を、何千日間という時間積み上げてきた大事なものを一瞬で奪う事が出来てしまうものである事を。
相手の総てを奪うものはその人に恥じぬものでなければならない事を。
その日から更に剣にはげんだ。しかしもう天武様に誉められたいからではない。
自ら振るう剣に恥じない力を手にいれるために……。


『本当にそうか?』影で声がささやく。天武様の声で……

『本当は逃げ出したかったんじゃないのか?時の支配者として未熟な自分に。
 まだ娘に役目を譲る事も出来ず、時の門の玄室で残る人生も費やしているおまえの母親の定めから目を逸らしているんじゃないのか。』


ちがう、私はいまでも努力している。時の流れも止める事が出来るようになった。私なりに頑張っている。

別の声がささやく。
『おまえは私の娘じゃない。私の血が流れている訳はない』

そんな、母様!!わたしは貴方を慕い、貴方に近づきたいとあがいて
……貴方に抱きしめてもらいたかった、誉めて欲しかった……


『私は貴方のために何と無駄な時間を費やしたのだろう。
 私の時間をかえして』


そんな……。

また別の声がささやく。いつもの憎まれ口、でもどこか冷たい……

『ルカ、よくも俺を見殺しにしたな……。』

そんな、空磨。助けようとした。届かなかったんだ!

『本当か?自分も巻き込まれるのが恐かったんじゃないのか?』

そんなことはない。そんなことは……。

『間に合わない事はないだろう、時の支配者のお前が。』

自分でもうまく時を操れない、でも助けたかったんだ!!

『お前のせいで俺は死んでしまった。おまえが無能なおかげで。』

そんな、空磨はそんなことを言う男じゃない。私の愛した……

『愛した?おまえに好かれていたなんて虫酸が走る。』

みんな口々にささやく。無能な娘よ、おまえなど必要ない、
誰もおまえなどを愛しはしないよ。



やめろ!やめてくれ!!


「貴様!!何でこんなものを見せる」
「見せる? それは総て貴方の心の中の本心。
 貴方の心の奥に封じ込めている不安、嫉妬、屈辱。
 人は夢で解き放たれて、自由を手にいれる。
 それこそ貴方の本心なのですよ。」
「貴様は何者だ!!」
「わたくし? 私は”悪夢”……」


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 3.絵夢のプロフィール

性格:
 総てが謎に包まれた女性。口数も無口といわれるぐらい少ない
彼女がなにゆえ闇の支配者 エターナのもとに居るのか、
なにゆえその行動を共にしているのかそれすら謎である。
ただ、一ついえる事はその虚ろとも言える瞳の奥で
世界平和といったまっとうな事だけは考えていない事である

能力:
 彼女の見せる夢は残酷である。その人の持つ一番大切なものを
引きずり出して無残に砕き去る。作中でも述べてある通り、
恋するものがいれば、その者の声で罵倒する……と言う具合だ。
そのあまりの残酷さにその人の人格がぼろぼろに破壊される事になる。

獲物:
 とくに必要ないかもしれない。

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