闇のビデオライブラリ

 

ビデオタイトル

VIDOCQ

ジャンル

ホラー

原題

VIDOCQ

制作国

フランス

邦題

ヴィドック

出演

ジェラール・ドパルデュー
ボワッセ・キヨーム・カネ
イネス・サストレ
アンドレ・デュソリエ

制作年

2001年

制作社

STUDIOCANAL

監督

ピトフ

制作・総指揮

ドミニク・ファルジア
オリヴィエ・グラニエ

原作・原案

脚本

ジャン・クリストフ・グランジェ

備考

カラー/98分

DVD情報

TFI/リージョンコード2(PAL)/メイキング・インタビューなど収録、2枚組

 1730年7月24日、革命の荒し吹き荒れるパリの街に流れる探偵ヴィドックの訃報。彼の伝記を残すため、若き作家エチエンヌはヴィドックの、鏡の仮面の怪人の足取りを追うのだが・・・。

 本編は映画日記ですでに紹介しているので、簡単に。劇場では荒れてしまった画像ですが、小さなテレビの画面では思いのほか気になりませんでした。脂ギッシュな顔のアップも等身大以下ならまあいいか。それでも洗濯女たちを眺めるニミエのカットは不快極まります。ここはグランギニョールのような通称泥棒街の猥雑さよりも下品でした。

 メイキングでわかったんですが、軽業師のごとくに動き回る鏡の仮面、アクションシーンでもかなりの部分を人間が演じていたんですね。セットから役者まであまりにCG処理されてしまったために実在感が損なわれてしまってますが、これだけ動いていれば視覚効果を施さなくてもよかったんじゃないかな。そもそも、雨の中を失踪する馬車のシーン、馬車の窓には雨がしぶいているのに、全景では雨が降ってなかったりするんですよ。しかも猛スピードで流れる石畳のCGに比して馬車そのものはほとんど動きがないというお粗末さ。後のCG処理を見越して、実写で手を抜いてしまったとしか思えません。これではリアプロジェクションという古典的な手法にも劣ります。酷評すれば、悪い意味でアニメのような実写といったところかな。それでもこの作品がおもしろいのは、映像・音楽の迫力だけでなく、徹底して飾らない、あるいは下品なほど欲望と虚飾にまみれた人間の描写と、必然性はないけど意外性のある先の見えない展開、そして山椒は小粒でもぴりりと辛い脇役たちがあるからでしょう。

 続編の話も出ているようですが、CG処理は控えめにして実在感のあるものにしあげてほしいですね。この作品でもお気に入りのシーンは煙に包まれ瓦礫の転がる市街地と慌ただしく行き交う人々のモブシーンなんですよ。オープニングで重い足音を響かせるヴィドックも印象的でした。

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