ビデオタイトル |
バグダッドの盗賊 |
ジャンル |
ファンタジー |
原題 |
THE THIEF OF BAGDAD |
制作国 |
イギリス |
制作年 |
1940年 |
出演 |
サブー |
制作社 |
|||
監督 |
ルドウィヒ・ベルガー |
||
制作・総指揮 |
アレクサンダー・コルダ |
||
原作・原案 |
|||
脚本 |
ラジョス・ビロー |
||
映像情報 |
カラー/102分 |
||
DVD情報 |
IVC |
||
宰相ジャファの奸計に落ちたバグダッドの王アーマドは、投獄された牢で少年盗賊アブーと出会う。アブーの機転で脱獄した二人は大海原に乗り出し、一路バスラへ。そこでバスラの美姫を見初めたアーマド、しかし彼らは再びジャファの手の中に落ちてしまう・・・。 一見、アーマド王が主役っぽいんですが、実はアブーが主役。そもそもはこの王様がしっかりしてないから悪代官ジャファに陥れられちゃうんですね。しかも、せっかくアブーと逃げ出したのにお姫様にうつつを抜かしたばかりにまた窮地に陥るし、せっかく助かったのにまたわがままいってアブーをピンチに立たせるし。何てこといってったらこの盗賊少年アブーの冒険譚は成り立たないんですが、アーマド王もバスラの美姫もアブーの活躍と赤褌魔人のインパクトにはかないません。 さて、1940年といえばテクニカラーが実用化されていたとはいえまだまだモノクロ全盛期、この時代にこれほどまでに特撮を駆使したカラーのファンタジー長編が作られたことは、驚きを通り越して感動的ですらあります。テクニカラーの作品なら私の手持ちでは1926年の「ダグラスの海賊」、特撮ならオプチカル合成の秀逸さでいえば1933年の「透明人間」といった作品が過去にあるわけですが、それぞれの手間のかかる技術を融合したという点ではこの作品に勝るものはないでしょう。 というわけで奇想天外な物語も見どころですが、この作品の素晴らしさはやはり技術的な部分が大きなウエイトを占めています。もちろん、作品そのものも同じアラビアンナイトをあつかった過去の作品、そして現在のそれと比べても遜色はありません。強いて言えば、着色されたメリエスのトリック映画にはかなわないといった所でしょうが、特撮映画の原点と比べては身も蓋もありませんね。 あんまり技術的な話もなんですが、テクニカラーを簡単に説明しておきます。カメラに入って来た光を、フィルターを使ってシアン・マゼンダ・イエローの3色に分解して3本のモノクロフィルムに撮影し、それらを3色のインクで一つのフィルムにプリントしていました。この加色混法の3原色を利用した技法がテクニカラーです。現在のものと同じ原理のカラーフィルムがなかった時代には、このような撮影からプリントまで手間のかかる技法を用いていたんですね。さすがに3本のフィルムが同時に回るカメラは圧巻だったことでしょう。ちなみに色調を調整しやすいプリント技法の部分はわりと最近まで使われており、これもテクニカラーと呼ばれていました。 |