闇のビデオライブラリ

 

ビデオタイトル

THE LORD OF THE RINGS / THE FELLOWSHIP OF THE RING

ジャンル

ファンタジー・アドベンチャー

原題

THE LORD OF THE RINGS / THE FELLOWSHIP OF THE RING

制作国

ニュージーランド/アメリカ

邦題

ロード・オブ・ザ・リング

出演

イライジャ・ウッド
イアン・マッケラン
ヴィゴー・モーテンセン
ショーン・アスティン
クリストファー・リー

制作年

2001年

制作社

NEW LINE

監督

ピーター・ジャクソン

制作・総指揮

ピーター・ジャクソン他

原作・原案

J.R.R.トールキン

脚本

ピーター・ジャクソン他

備考

カラー/178分(SEE/208分)

DVD情報

LEW LINE HOME ENTERTAINMENT/リージョンコード1/オマケたくさん2枚組

SPECIAL EXTENDED DVD EDITION/リージョンコード1/特典たくさん5枚組・胸像(ブックエンド)

 それぞれの指輪に託されたそれぞれの部族と国の平和、しかしたった一つの邪悪な指輪の力はそれらを上回るものだった。そんな指輪に翻弄される数奇な運命の幕がここに切って落とされる。がんばれホビット、中原の行く末は君の肩に掛かっているぞ。

 というわけで満を持して登場のソード&マジックの世界第1部、静かなホビットの村から始まるかと思いきや、壮大なスケールで描かれる指輪誕生の冒頭からいきなり異世界に放り込まれてしまいます。これがけっこう駆け足なんだけど手に汗握って目が離せません。サウロンの指輪がビルボに渡って舞台はようやく牧歌的なホビットの村に移り、フロドにガンダルフも登場します。このロケーションがまたのどかで、ビルボの誕生祭もいかにも田舎のカーニバルでいい雰囲気なんですね。それにビルボの冒険話に夢中になる子供たち、なんと目の輝いていることか。ここでこの世界に引きずり込まれたらもうしめたもの、あなたも私も冒険の旅の一員です。このあとからは急転直下、奇怪な騎士団の追っ手を逃れつつ冒険の旅が始まりますが、劇場でのお楽しみ。壮大で美しく素晴らしいニュージーランドのロケーション、息をもつかせぬ3時間、ドキドキハラハラワクワクしっぱなしですぞ。

 長大な物語の映画化は基本が大切ということで脚本重視、さすがにあわただしい感は否めないけど語るべきところはしっかりと語られます。各キャラクターの背景が弱いかなとは思いますが、なぁに主人公フロドだって外の世界は知らないんだからいいじゃないですか。そんな旅の仲間たちも含めて、誰一人として聖人君子ではなく、指輪の魔力にうち勝つ者もいれば屈してしまう者もいます。この疑惑と葛藤の描写がまた生々しいんですが、だからこそありがちな冒険活劇にとどまらないんですね。ただし、エルフの森でのそんなシーンにはかなり腰砕け。心理描写は生身の役者の本領なのに、CGでやっちゃいけないよ。

 そんなこんなで良くも悪くもテンションはあがりっぱなしなんだけど、中盤ではたと気づく既視感にも似た妙な違和感。いや、クライマックスの連続なのはさておき、俯瞰のカメラアングルがやけに多いんですね。浮遊感もさることながら、せっかく入り込んだ物語を一歩下がって見る感じになってしまいます。さらに、そうでなくても同じアングルになりやすい空撮が多用されすぎているのが残念、まるで特番ドキュメンタリーを観ているようだった。ついでにいえば、アクションシーンが今時のアップ多用でなんだかわからなかったのも残念。これさえなければ手放して喜べたんですが。

 DVDを入手して気がついた、これは劇場の巨大なスクリーンで観てこその作品。意地悪な言い方をすればニュージーランド環境ビデオの迫力に助けられている部分もあるんだけど、どんなに音量を増してもどんなに画面に近づいても(良い子は真似しないように)、劇場ほどの臨場感は得られなかった。いや、大サイズのホームシアターなら多分違うんだろうけど。

 Special Extended DVD Editionは単なる再編集版ではなく、3時間の長編である劇場版ですらあわただしかった分を補い、丁寧で落ちついた仕上がりになっています。さすがに3時間30分を一気に鑑賞するのはハードですが、それでもあっという間に感じてしまうのは賞賛に値するでしょう。ニュージーランドの環境映像と感じさせるところもなくなり、続編への期待高まるラストも、一応の満足感が得られます。ただし、今回はディスク2枚になった本編ですが、そのつながりがやや唐突なのは残念。前編と後編らしい処理をしてほしかったところです。アルゴナスの石像のブックエンドは、そのセット価格に比して素晴らしい仕上がりとなっています。もうちょっと厚みがあれば、さらに高級感が増したとは思いますが、劇中のセットもあまり厚みがないので致し方ないところ。ところで、向かって左側の像が右の手に持っている物は何?(斧のようですね)

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