ビデオタイトル	FROM HELL	ジャンル	ミステリー・ホラー
原題	FROM HELL	制作国	アメリカ
邦題	フロム・ヘル	出演	ジョニー・デップ ヘザー・グラハム イアン・ホルム ロビー・コルトレーン
制作年	2001年
制作社	20世紀フォックス
監督	アルバート・ヒューズ アレン・ヒューズ
制作・総指揮	ジェーン・ハムシャー ドン・マーフィー
原作・原案	アラン・ムーア エディ・キャンベル
脚本	テリー・ヘイズ ラファエル・イグレシアス
備考	カラー／121分
DVD情報	20世紀フォックス・ホームビデオ／リージョンコード１／2枚組／メイキング、切り裂きジャックに関する資料映像など多数収録
時は1888年舞台はロンドン、ホワイトチャペル一角に巻き起こる連続娼婦殺人事件。阿片を吸っては予知夢を見るアバーライン警部たちの捜査をあざ笑うかのように、警察に届けられた犠牲者の一部とそれに添えられた手紙にはフロム・ヘルの一文が。娼婦の一人メアリと浅からぬ仲になったアバーラインは、彼女からの情報をもとに捜査をすすめる。やがて浮かび上がった犯人像から捜査の手は英国王室とフリーメーソンに近づき、事件の核心は意外な方向に展開していくのであった。そしてメアリに忍び寄る殺人鬼の影、アバーラインは彼女を守ることができるのか。 　チェコに作られたという19世紀末のロンドンのセットにプラハの古城で行われたロケが実に雰囲気たっぷり。霧の立ちこめる石造りの街並み、ガス灯に浮かび上がる怪しい人影、これぞゴシックホラーという世界を、落ちついた色合いと引き締まった陰影の美しい映像で堪能できます。 　しかも、スラム街と娼婦たち、ことにヒロインであってもいたずらに美化することなく描いていることにも好感が持てますね。そのためか、全体的に人間関係が淡々としているようにも見受けられますが、それがかえって強かさや逞しさ、秘めた情熱や感情を表現しているようにも感じられます。これはとくにアバーライン警部を常に補佐しているゴッドレイ巡査部長に強く感じられ、いい味を出しています。 　とまあ雰囲気はすばらしいのですが、途中で事件の真相が見えてしまうあたりが残念でなりません。ですから中盤からの展開は謎解きミステリーから離れ、アバーライン警部がどこまで王宮やフリーメーソン、公安や警察上層部などの権力に立ち向かえるか、殺人事件を食い止めることができるのか、物語をどう締めくくるかが見どころになっています。殺人事件といえばストーリーのクライマックスのメアリ、これも実は事前に予想できちゃうんですが、まあネタバレ無しということで。 　ちなみに、本編とはあんまり関係ない部分なんだけど、ジャックなんかよりもギャングのマックイーンのほうが怖かった。タクシードライバーとエルム街の悪夢を足したようなやつだったよ。そういえばギミックはこいつの袖からナイフと馬車の踏み台だけだったなぁ。まあ、とにかくガス灯とオイルランプにこだわっていたのが美しくて印象的だったし、妙にうれしかった。しかしさすがはR指定、惨殺シーンと死体の描写はちょっとグロいね。また、友情出演的なエレファントマン、冒頭どこかで出ていた覚えがあったのですが、アバーラインの幻視の中に出てきました。 　余談ながら、2枚組のＤＶＤは特典がもりだくさん。ことに切り裂きジャックに関する実際の資料映像は見ごたえあり。国内版も同仕様らしいので、これはお買い得かと。