ビデオタイトル |
DESTINY |
ジャンル |
ファンタジー |
原題 |
Der Mude Tod |
制作国 |
ドイツ |
邦題 |
死滅の谷 |
出演 |
リル・ダゴヴァー |
制作年 |
1921年 |
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制作社 |
デクラ・ビオスコープ |
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監督 |
フリッツ・ラング |
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制作・総指揮 |
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原作・原案 |
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脚本 |
フリッツ・ラング |
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映像情報 |
モノクロ/サイレント/99分 |
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DVD情報 |
IMAGE ENTERTAINMENT/リージョン1 |
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旅の途中に訪れた谷あいの村で、フィアンセを死神に連れ去られた女性の物語。嘆き哀しんだ彼女は服毒し、死神のもとを訪れてフィアンセとの再会を願う。死神は願いを聞き届ける条件として、3つの救われぬ命を長らえさせることを命ずる。彼女は、バグダッドの王宮で姫と恋に落ちたヨーロッパ人の若者を、ベネチアで貴婦人に恋した若者を、中国で皇帝の妾にされた恋人と逃亡した魔術師の弟子の若者をと、報われぬ命を救おうとするも、しかし結局は助けることができなかった。命を失わず村へ戻ってきた彼女だったが、死神のもとを訪れた彼女は村人に受け入れられず、また彼女自身もフィアンセのいない現実を受け入れられない。そんなある日、村で火事がおこり、赤子が取り残されてしまう。彼女は燃え盛る炎の中に飛びこみ赤子を救うが、そのかたわらには死神の姿が。本来そこで失われるはずの命と引き換えに自分の命を差し出した彼女は、天国でフィアンセとの再会を果たすのだった。 というわけでフリッツ・ラングの描く命のロウソクは、異国情緒あふれるオムニバス・ファンタジー。覆すどころかあらがうことさえできない現実に対抗する人間が描かれているところには、やはりファンタジーというよりもより現実的、逆らえぬ運命と思い通りに行かぬ不条理のやるせなさが表されているんじゃないかと思われますね。ことにストーリー・テラー的な役回りの死神が、不気味というよりもシュール・リアリズムタッチでなかなかにいい味を出しています。それでも、死して後報われるという結末がオムニバス形式のストーリーとあいまって童話・寓話的な印象を強め、一風かわった表現主義をかもし出しています。フリッツ・ラングらしく、映像はファンタジックながら、ストーリーはクールなものなんですね。これは後の「メトロポリス」でその色を濃くしています。 もっとも、このDVD、デジタル・リマスターの映像はきれいなんですが、後から付けられた字幕のフォントがお飾りセリフ系で非常に読み取りにくいことが難点でした。映像で語る表現主義とはいえ、この字幕は少々残念でした。 |