太陽の爪あと

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子供を寝かしつける夫婦。おやすみのお祈りをする少女。

そして家族みんなが眠りについた深夜。上階の小部屋から出てきた何者かが子供部屋へやってきた。泣き叫ぶ少女。

また扉を閉め忘れたのかと叱責する父親。同じ屋根の下に閉じ込められているのは一体なんなのか・・・。

ことし21才になったスザンナは、ニューヨークの叔母に育てられ、雑誌編集者のマイクと結婚し、幸せに暮らしていた。しかしつい最近まで自分の両親の名前も生まれた場所も知らなかった。育ててくれた叔母も、そのことには口を閉ざしたまま、スザンナが17歳のときに他界してしまう。そして21才になった今年、叔母の遺言執行人だという弁護士が現われ、自身の素性を知ることとなった。スザンナはニューヨークからさほど遠くない小さな島で生まれ、両親が他界した4才のときに叔母に預けられたのだという。いくらそのころを思いだそとしても途中で記憶の糸が途絶えてしまう。島に残っている製粉所を相続した彼女は、夫マイクとともにその島に訪れる。あまり気の進まない彼女は、村に近づくにつれその不安がますばかりであった。

二人の車が村の入り口にさしかかった時、後ろから地元の不良たちが乗るトラックが煽ってきた。マイクたちを追い越したトラックだが、途中でちょっとした事故をおこし、一人が怪我をしてしまう。村に着いた彼らは怪我をした仲間を納屋に運び入れると、マイクがその後からやってきた。

村に着きスザンナの親族であるゼビロン・ウェイトリーのもとを訪れるマイクだが、いますぐにでもニューヨークに戻るべきだという。あの製粉所には悪魔が棲んでいる、ゼビロンの息子の片目はそいつに潰されたのだと。

スザンナが製粉所を相続してきたことを知ったイザンは、アガサのもとへやってきて、そのことを知らせる。

マイクたちが目にした製粉所は、もう長いこと人が住んでいなかったためか、その外観は古び、おぞましくも見えた。しかし、屋根から飛び出すように作られた小部屋から何者かが二人の様子を伺っていることを知らない。

屋敷に入り、子供部屋へやってきたスザンナは、少しずつ当時の記憶を取り戻す。しかしそれは楽しいことばかりではなかった。この部屋には敵意を持った誰かがいる、しかしそれ以上詳しいことは思い出せない。

マイクが買い物に出て、一人部屋の掃除を始めるスザンナだったが、どうにも落ちつかず散歩に出た。しかし、戻ってきたマイクにかけよって来た女に、奥さんが不良共に追いかけられていることを聞く。

イザンたちに追いかけられたスザンナは、港へ走り、行き止まりの桟橋へと追い詰められてしまう。イザンにつかまってしまったスザンナは、耳にキスをされた。駆けつけたマイクが彼女を連れてその場を去ろうとした時、イザンは声高にそのことを告げ、マイクに襲いかかるが逆に叩きのめされてしまった。

その晩、マイクにスザンナの聞きを告げた女が製粉所にやってきて、マイクの車からストッキングを盗み出した。それをもって製粉所の納屋に入り込むが、何かに襲われる。彼女が車に入り込んだ時に作動した盗難防止のクラクションに気がついてマイクが外に出てくるが、彼女の悲鳴はそのクラクションにかき消されてしまった。

そこへやってきたアガサは、女の死体のそばに立っている何者かを目の当たりにする。しかしアガサはその正体を知っているのか、驚きもせずにそれをなだめ、上階の一室へと閉じ着込めるのであった。

翌朝、マイクが出かけた後、スザンナは納屋に転がる死体を見つけた。あわてて家を飛び出すが、待ち伏せていたイザンにつかまってしまう。すきを見て逃げ出したスザンナは、家の中に逃げこむ。あとを追って入って来たイザンはスザンナを探して上階にあがり、そこに転がっていたぬいぐるみに火をつけた。すると、そこに潜んでいた何者かに襲われ、転落死してしまう。

その争う音を聞きつけてあがってきたスザンナは、そこで鎖につながれた女を見つけた。そこへ不良たちとのいざこざに会いながらも無事戻ってきたマイクにこう告げた。これはわたしのお姉さんなのだと。しかし、イザンが放った火が燃え広がってしまったため、逃げ出す二人。

ちょうどそこへやってきたアガサは、遺言によってこの狂った姉を頼まれてしまったのだという。何度この呪縛からの解放を願ったことかと。マイクとともに姉を助けだしに入ったアガサだが、姉とともに部屋に入り、鍵を降ろしてしまった。これでやっと解放されるのだといい残して。

燃え盛る屋敷から逃げだしたマイクは、スザンナとともに忌まわしい過去を焼き尽くし燃え落ちるその姿を眺めるのであった。

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