邦題 |
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原題 |
LURKER IN THE LOBBY(the best of the H.P.Lovecraft film festival, Volume 1) |
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製作年 |
1998年 |
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製作国 |
アメリカ |
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制作社 |
BEYOND BOOKS |
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制作 |
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監督 |
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脚本 |
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原作 |
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映像情報 |
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【ストーリー】 |
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【コメント】 LURKER IN THE LOBBYは、H.P.Lovecraft Film Festivalに出品されたアマチュアの短編映画を収録したものです。アマチュアゆえの制約もありますが、商業ベースにとらわれないアマチュアならではのこだわり、特に原作に対する愛情が深く注がれている事も特徴の一つ。また、中編クラスの作品の中には劇場公開された作品と比して遜色のない、もしくはよりレベルの高いものも見受けられます。 アメリカでは、H.P.Lovecraft Film FestivalのほかにもNecronomiConといったイベントも行われておりまして、本作のようなビデオに収録されていないアマチュア作品も数多く公開されています。 【THE MUSIC OF ERICH ZANN】 ジョン・ストリシク/カラー/17分 新しい下宿に越してきたチャールズ・ウォードは、夜毎上階から流れてくるヴァイオリンの音を聞き、そのたびに不思議な感覚に包まれる。やがてそのヴァイオリンを奏でる老人、エーリッヒ・ツァンのもとを訪れるようになったウォードだったが、ある晩ツァンのヴァイオリンに共鳴するように現われた異世界を目の当たりにするのだった。 エーリッヒ・ツァンが小説の表現と比べて少々若すぎるのが気になりますが、映像、ストーリー、音楽共に原作の雰囲気はよく出ています。特にオイルランプに照らし出されたオレンジ色に包まれる映像美は秀逸で、チリチリとオイルの焼ける匂いと暖かさが伝わってきます。この古めかしく幻想的な雰囲気は、ラストの本物のガス灯によって締めくくられるという徹底ぶり。惜しむらくは、ツァンが奏でるバイオリンによって異界との扉が開いてしまうクライマックス、シルエットのダンスやキャンディーの包み紙を用いたような魔宴の情景はいまひとつですが、このあたりは表現が難しいところでしょう。ツァンのもとを訪れるのがチャールズ・デクスター・ウォードというのはお約束でしょうか。短編長編を含めて、ラヴクラフト映画の中でも傑作中の傑作といっていいでしょう。
【THE OUTSIDER】 アーロン・ヴァネク/カラー/6分 妻の間男に殺された男は、妻への執着からか墓所より甦る。しかし妻の寝室の鏡の中に見た自分の姿は、すでに人間のそれではなかった。 半壊したようなアウトサイダーの凝ったメイクはすばらしいのですが、彼の目的が寝取られた奥さんという、原作とはかけはなれたなんとも情けないストーリーにされてしまったのが残念です。しかもこの女優、確かに美人だとは思うのですが、気が強そうで妙にふてくされた顔付きなので、いまいち感情移入しにくいですね。もっとも、それが逆効果となって、アウトサイダーに感情移入しやすくなっているのかもしれません。 【THE NECRONOMICON】 アーロン・ヴァネク/モノクロ/1分45秒 ようやく入手したネクロノミコン、しかしそれを音読した時、部屋は不気味な空間と化し、男は壁に飲み込まれていった。 一発芸的な超短編映画。考える余地を与えない短さとテンポの良さがいいですね。 【MCLAREN】 テッド・プァーヴィス/カラー/8分 行方不明の父を探しに荒野へやってきたマクラーレン嬢はそこで異形のものに襲われるが、撃ち殺して難を逃れる。しかしそれは、異形のものと化した彼女の父だった。 潜み棲む恐怖を西部劇タッチに仕立てた本作は、岩山がそびえる荒野のロケ地の雰囲気がすばらしく、バンブードラムらしい音色の素朴な音楽がよく合っています。しかし、左右で瞳の色が違うという異形の特徴が描かれていないのが惜しまれます。 【THE OUTSIDER】 アンドリュー・フックス/モノクロ/8分 石造りの、暗く広い屋敷とも墓地ともいえぬところに棲む者は、外へさまよい出たある晩、舞踏会を開いている屋敷にたどり着く。その音色にひかれて足を踏み入れると人々は逃げ去り、そのものもまた鏡に写った自分の姿を目の当たりにするとその場を後にするのだった。 アウトサイダーのメイクはいまいちですが、暗い回廊や舞踏会など、ストーリー、イメージ共に原作の閉ざされた感じがよく出ています。ただし、舞踏会にやってきて驚かれて帰るだけという内容にとどまっているのは少々惜しまれるところ。ところで、この作品のアウトサイダーは女性であり、きちんと布団をたたむあたりに、素性の良さを感じます。 【FROM BEYOND】 ケン・アヴェノソ アンドリュー・ミグリオレ/モノクロ/10分 人間の新たな感覚を呼び醒ます装置を作りあげたティリンギャーストは、友人を実験に立会わせる。しかし、装置を作動させた時、異界の扉が開いてしまい、悲劇がおこってしまうのだった。 ティリンギャーストの友人が警察の取り調べで彼の研究について語り、その合間に実験の映像がはさみこまれるという形をとった、いかにもラヴクラフトの小説らしいタッチの作品。異次元の情景をあらわすために、ミジンコのアップを重ね合わせたのはユニークなアイデアですが、恐ろしいというよりも微笑ましい雰囲気になってしまいました。もっとも、このような見たこともないものの表現というのは、メジャーなスタジオの作品でも一筋縄では行かないものです。 【THE HOUND】 アンソニー・リード/モノクロ/21分 私とジョンがとある古い墓を掘り返し、白骨となった死体の胸から偶像をとりあげたその晩、恐ろしげな犬の遠吠えが響き渡り、ジョンの身に惨劇がおこってしまう。恐ろしくなった私は偶像を棺の中に戻しに向かうが、その中の白骨は新しい血にまみれていた。そしてわたしは事の顛末に決着を付けるため、こめかみに銃口をあてるのだった。 原作に沿ったストーリーで、不気味な雰囲気の演出がすばらしい作品。残念なのは、墓場荒しの墓を暴くというロケーションがオランダ教会墓地から近場の河原になってしまったことですが、アマチュアの作品であることを考慮すれば致し方ないところでしょう。魔除けの像にエクソシストのパズズみたいなややありがちなフィギアが使われていますが、この偶像はいいアクセントになってます。さらに、魔道書ネクロノミコンも変に装丁に凝ってないところが好感が持てます。 【CTHULHU WORE TENNIS SHOES】 UCLA エニグマサイエンスフィクションクラブ/カラー/5分 チープさバクハツ、クトゥルーを呼び出して惨劇に見舞われたつもりの学芸会的降霊儀式でした。 【WORSHIP ME LIKE A GOD】 【COLOUR ME GREEN】 カラー パンクロックバンドThe Darkest of the Hillside Thicketsのビデオクリップ。イメージするのは自由なんですけど、HPLの世界観とはかなりかけ離れているような気がします。一曲めは未開の原住民の儀式、二曲めは口から吐き出す生イカが強烈でした。 |