襲い狂う呪い

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 アーカム駅に滑り込んだ蒸気機関車からおりてくるスティーブン・ラインハルト。客待ちのタクシーにスティーブンが行先を告げると、運転手は態度を一変させ、乗車を拒否してしまった。自転車屋も貸し出しを拒み、ウィットリー家へいきたければ、その二本の足で歩いていくしかないのだと告げられる。

 やむなく歩きだしたスティーブンだが、ウィットリー家に近づくにつれ、異様な光景に出くわす。人知を超えた強大な爪でえぐられたかのように荒廃した大地、地獄の業火で焼かれたかのように燃えつき腐りはてた木々。

 霧に包まれたウィットリー家は、門が鎖で厳重に閉ざされ、周囲には獣用の罠が仕掛けられていた。車椅子の主人ナハム・ウィットリーは、執拗にスティーブンを追い返そうとする。スティーブンを呼び寄せたのはスーザンの母レティシアで、この呪われた屋敷から娘を連れだしてほしいという。

 病気になったメイドのヘルガが行方不明になっている。レティシアもまた同様の病におかされていた。召し使いのマービンもまた、病に犯され命を落としてしまう。

 ナハムの父コービン・ウィットリーは、神を恐れるあまり悪魔を信仰していた。スティーブンは、書斎でコービンの著わした「外部者崇拝」を見つけ、その一節に「地下にいる奇妙な新生物に手を出したものは壊滅する」とある。

 スーザンは窓の外に奇怪な人影を見る。翌日、スティーブンがそれらしきものに襲われる。

 アーカムの街へ出たスティーブンは、電話帳で医師を探し、ウィットリー家についての情報を得るために訪ねるが、何も話しては貰えなかった。しかし、医師のもとで働くベイリーから、コービンの死に立会ってから医師の人がかわってしまったことを聞く。コービンの死亡診断は脳出血とされたが、検死はなかった。

 屋敷へ戻ったスティーブンは、スーザンとともにナハムの温室へと入る。そこで見たのは、異常なほどに育った草花であった。温室の奥へ足を踏み入れると、光を放つ鉱石を見つけ、スティーブンはそれを放射性物質だろうと判断する。その部屋には奇怪な怪物が檻にいれられており、地獄の動物園の様相を呈していた。温室の植物も怪物も放射能による突然変異だろうと話していると、スーザンが植物に襲われる。

 屋敷の地下へ降りたスティーブンは、巨大な放射性物質の塊を見つける。そこへやってきたナハムにこの鉱石を破棄するように説得していると、階上からスーザンの悲鳴が聞こえる。怪物と化したレティシアに襲われるスティーブンだが、レティシアは突然溶け崩れてしまう。レティシアをも失ったナハムは、ことのいきさつをスティーブンに話して聞かせる。

 隕石が落ちた翌日、周囲は緑に覆われていた。ナハムが隕石の研究に執着していたのは、隕石のパワーによって緑あふれる豊かな土地を造ろうとしていたからであった。それにより、悪魔崇拝者として恐れられていたコービンの汚名をそそぎ、ウィットリー家の家名をあげようと考えていた。

 隕石を処分しようとするナハムであったが、そこでヘルガに襲われる。難を逃れたナハムであったが、彼自身もまた隕石の力に犯され、銀色に輝く怪物になってしまう。ナハムでなくなってしまったものは、スティーブンとスーザンに襲いかかる。階下へ落下した怪物は炎を吹き上げ、屋敷は火の海と化す。間一髪逃れたスティーブンとスーザンであった。

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