飯野文彦ホラーコレクション

【作品名】アルコォルノヰズ

【出版社】ハルキホラー文庫

【ISBN】4-89456-729-6

【定価】¥619

酩酊の向こうに見えるものは、幻なのか、異世界なのか?

アル中男の自虐的独白ホラーとでもいったらいいのだろうか、「読んだら飲酒をひかえたくなる」作品である。最近の形容詞と比喩を多用した文章は、嫌悪感すら抱かせる主人公の自虐的かつ狂気の行為を際だたせ、清楚な美女と醜怪な老婆のギャップは、魅力的にみえる堕落した世界をほのめかせているようないないような。やや夢オチのようなラストは、この不可解な物語を不可解なままにきれいに終わらせているようないないような。ポォやカフカの世界を匂わせているようないないような。まあ、読者を選ぶ、特にお酒が飲めない方には不可解で醜いと映るかもしれない作品だろう。なにはともあれ、くれぐれも飲み過ぎて体をこわしませんように、飯野先生。

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