ボニリ・ジャパン 西尾和浩氏 |
VS |
268ワインセレクション 斉藤版 10番勝負!
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ワインに対して思いの強さは、時としてセレクトの客観性を失う。Vin du 268としては、代表に斉藤を選び、ワインのセレクション対決を行っています。
対決者:西尾和浩氏について
「ボニリ・ジャパン」というインポーターをされていて、小売店では「ミル・コート」という
大型酒販店を営んでおられる。
この業界ではそろそろ重鎮の域に達した方です。故岩野貞雄氏の教え子であり、
私からすれば、大先輩。
英語、フランス語を駆使され直接現地に買い付けに行かれ、
現地での情報も沢山お持ちです。
ワインの事はなんでも柔軟に発想されるが、
買い付けるワインはフランスが中心となる。
その経験の豊富さ、蓄積された知識に私もよく助けられます。
その正統派セレクトに、緻密に計算して、バランスよく配分の斉藤が何処まで、
対応できるのか見ものな所を、思わぬ結果が待っていた。 |
ワイン対決とは、、、その方法 |
基本はお客様の立場で、「美味しいワインを選ぶのはどっち?」の
セレクション対決で、その評価はお客様がするという、
至極簡単なお遊びです。
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ルール: |
ワインセレクター(選者)二人が、どちらが美味しいワインを提供するか。 |
ワイン予算: |
三種類(それぞれテーマを決めて)、トータル6000円以内、ワインへの振り分けは自由。 |
対決方法: |
ワインをアルミフォイルでラベルが見えない様に巻き、どちらが誰のワインか判らないようにして、各テーマ毎に2つのワインをお客様に飲み比べて頂きます。 |
審判: |
参加されたお客様の投票により決着します。各テーマごとに好きな方に○をいれる。
3テーマ中2つのテーマのワインで多数を取った方の勝ち。
同点の場合は安いワインの勝ちとする。 |
附番: |
ワインの識別は数字、英字の場合、順列がついてしまうといけないので、「い・ろ・は・に・ほ」とワインを識別する。 |
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本日のワインリスト (参加人数:10名) |
1R:ブドウ品種【ソーヴィニョン・ブラン】対決
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↓西尾氏セレクトワイン |
↓斉藤セレクトワイン |
(ろ)ブラン・フュメ・ド・プイィ [2001]/ドメーヌ・グイヨ
¥1,750 |
4票 |
(い)ロレンツァ・レイク・ソーヴィニオン・ブラン ブロックヘッディア [2001]\2,562 |
6票 |
白の前に、 生産国指定無し。
飲む時の気候が問われるブドウ品種ソーヴィニョンブラン。
暑かった一日も、部屋には熱気を残し、その辺りで酸味のもたらす味わいの
曲線がここでは大きく問われるであろう。
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(い)
クリーンにしてドライにして引きしまる、
ミネラル感も豊かで涼やかでいて透明感がある。余韻の洋ナシが心地よい。
(ろ)
シトラスな香り立ちが豊か、アタックも良好ながら、
その後、トーンが下がり細い線が放物線を描いてゆく。
何度も書き換えた、どちらもこの季節にピッタリでいて味わいの深さがある。
どちらもロワールに間違いないだろうと、確信をするが、
その余韻の長さで 私は(ろ)とした。
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結果として
カリフォルニアが勝った。しかしそれは、カリフォルニアのSBスタイルが受け入れられたのではなく、このワインが殊更ロワールに近い、
綺麗なラインを持っていたからではないでしょうか。
ただ800円ほど安価なドメーヌ・グイヨの
コストパフォーマンスの高さには驚かされた。 |
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2R:スペイン【リベラ・デル・デュエロ地域】対決 |
↓西尾氏セレクトワイン |
↓斉藤セレクトワイン |
(は)リベラ・デル・デュエロ ローブ [2002]/メソネロス
\1,480 |
4票 |
(に)アルトス・デル・ドゥラトン [2001]
\1,239 |
6票 |
地域限定となれば、もろその酒質が問われる事となるのか、
スペインでも高価なワインが居並ぶ産地、
ここで、6,000円三本の予算の中、どのようにワインは選ばれたのか、
とても興味深いラウンドとなります。
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リベラ・デル・デュエロから近いとの理由で、斉藤は一クラス下の格になる地域からの選択となった。また西尾氏はこれしか予算に合うものは無かった、
と、5ケ月樽(大樽)熟の一番レギュラーな選択となった。
ワインのポテンシャルを見るのに、開き具合も必要なので、
審判に5分試飲時間の延長を申し出た。
(は)
樽に頼らぬクラシカルな果実味勝負、テンプラニーリョの凝縮感を感じる。
タンニンも程よく、ボディ感も申し分なし。
(に)
松脂、スパイス、バニラ、ドライフルーツと明らかにこちらの方が複雑さを見せる。
ボディ感も適度で素直にして、そのバランスが好印象。
私個人の意見ではなく公平に見ても、「に」としてほしい。
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クラシカルな素直なテンプラニーリョは僅差ながら敗れた。
DO.が下のクラスのワインに負けたと、西尾氏は気にしていた。
まさかここでドゥラトンだったとは、私も想像がつかなかった。 |
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3R:ブドウ品種【ピノ・ノワール】対決
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↓西尾氏セレクトワイン |
↓斉藤セレクトワイン |
(ほ)フィサン [2002]/ベルトー \2,550 |
4票 |
(へ)ヤラ・リッジ ピノ・ノワール [2003]\1,732 |
6票 |
これまた生産国指定無し。
ピノ、その中でもブルゴーニュには特に造詣の深い西尾氏。
それも過去対戦の経験を持つのでアタックのよい物を選んでくるでしょう。
対する斉藤はその辺りを考えて、新大陸のピノで対抗するはずです。
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全く性格の違う二つのワイン。やはりピノとは、その地を反映するというが、
ここまで対極の二本が開くと、比べるのも惜しいが、
そこはこの対決の定められた所なのでしょう。
(ほ)
アタックは印象的なチェリー、素直な伸び、優しい口あたり、
暫く時間がしてから、見せてきた複雑な香り。
予算を計算してみた、幾ら割けても、3000円が限界でしょう。
そこをこれだけの味わいを提供してくるなんて、ブルゴーニュではありえない。
(へ)
ミント、オージーな中に素直さを見せる、軽快にしてこちらも伸びやか、
このクラスとしては検討するが、それでも、「ほ」のワインには遠く及ばないだろう。
このワインが持つチェリーな明快さが、上と比較した場合、
どれだけ受け入れられるか、が大きな分かれ目になるでしょう。
勝ちは「ほ」、反対に「へ」がどれだけ健闘したか楽しみでした。
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ナンと言う事でしょう!
勝ったのは、オーストラリア。私が個人的にミントを避けるから、
このような印象を持ったのだろうか。
それにしても分からない結果に、解説のしようもない。
本当の複雑さを見せてきたのは、対決も終り、残りのワインを分け合って飲んでいる所からでした。西尾氏はイジワルで「大西君には、一番トップを入れてあげた」つまり瓶の一番コルクに近い開けたての所を注いでくれたらしい。ムム〜それでもこのパフォーマンスには、驚いた。そして結果には更に驚いた。
これが100人集まっても同じ傾向が見られるのだろうか?
そんなことも思いました。 |
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投票数合計
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ボニリ・ジャパン(ミル・コート)
西尾和浩氏
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12 |
Vin du 268
斉藤龍一郎
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18 |
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3勝で斉藤の勝ち |
西尾さんへ |
この度は、遠い所をありがとうございました。
「皆さんがプロだったら、私のワインが勝つでしょう。」
そのお言葉どおり、本物なワイン達でした。そして、ブルゴーニュのワインが負けたとき、「度疲れがでていませんか?」の問に「いや現地で飲んだ味と一緒です」との事、説得力がありました。また02年ブルゴーニュの恵まれた年を実感いたしました。
1Rと3Rのワインについては、その酒質の高さからも、当店で取扱のワインとさせて頂きます。
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斉藤君へ |
あなた、また勝ちましたね。この状況をWEBでしか見ていない方には、何か裏工作でもあるのでは?なんて、思われかねないですね。それにしても、ツボを抑えたセレクトはお見事です。フィサンを破った意外性には、西尾氏以上に私が驚きました。 |
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