アンサンブル曲紹介(第1回〜第5回演奏会分)


(1)ずばり!こんな曲(第一印象です)
(2)演奏してみての感想,練習中苦労したエピソードなど
(3)うまく演奏するためのポイント

※ 編成については、パート毎に楽譜から拾っています。ですから同じ楽器を掛け持ちで演奏する場合には、だぶって掲載している部分もあります。細かい指定は省いてあります。また、楽譜によっては楽器が把握しにくく、リストから落ちていたり、間違っている可能性もあります。あらかじめご了承ください。




曲名 アンティフォン
作曲者 F.Michel Coms
出版社 SOUTHERN MUSIC COMPANY
編成 CHOIR1
  1. S.D
  2. S.D(2)
  3. TOMTOMS(2)
  4. TIMPANI(2)
  5. B.D
  6. C.CYM

CHOIR2

  1. S.D(SMALL)
  2. BONGOS(2)
  3. TOMTOMS(2)
  4. TIMPANI(2)
ずばり!
「これぞ打楽器アンサンブル!」といった感じ。
エピソード・感想
初めての演奏会で,とっ初め。演奏するときはえらく緊張しました。非常に基本的なアンサンブルの曲で,まるで教則本に書いてある練習曲のようです。メトロノームにあわせてひたすらサルのように(SPGの一部のメンバーはそういう練習方法をサル練と呼んでいる)練習しました。
技術的には難しくありません。掛け合いも基本的なレベル。16分音符の羅列が続いて波のような掛け合いになりますが,10人全員の息が完全に合うまで大変でした。後にも先にも,こんなに練習した曲は他にありませんねぇ。(遠い目)
曲としては,派手な部類だとは思います。いい練習にはなりますね。アンサンブル初心者におすすめ。
ワンポイント
10人全員が完全に息があうのは至難の技です。簡単なアンサンブルですが,人数が多いこともあって練習は手間取ります。メトロノームを使って,ひたすらサル練しましょう。


曲名 アンコール・イン・ジャズ
作曲者 V.Firth
出版社 MCMLXIV by Carl Fischer,INC.
編成
  1. VIBRAPHONE、INDIAN DRUMS
  2. MARIMBA、COWBELLS
  3. BONGOS
  4. CONGA
  5. DANCE DRUMS(B.D、S.D、H.H、CYM(2)、TOMTOM、LARGEFLOOR TOM)
  6. DRUMS(3)
  7. TIMPANI(4)
ずばり!
タイトル通りの曲です。聞きやすく分かりやすい曲の代表。でもあまりにポピュラーなのでいうまでもない?
エピソード・感想
譜面上は難しくない。だがこの手の曲にありがちなのは、上手くやらないと物凄くヘボくなる。ということ。
多分個人の技量の問題だとは思うのだが、あんまり上手く出来なかった様に思う。結局この手の曲は、譜面の再現は当然の事として、さらに先の事、そう例えばノリを合わせるとか、ソロの部分をどのように演奏するのか、といった音楽的なものが必要なんでないかな。
ただ、その辺のこだわりがなければ、初級者でも出来る程度の難易度。ベテラ ンがやる場合編曲必至か?
ワンポイント
とりあえずスィング的なノリと、旋律・伴奏・リズムの役割やソロ・掛け合いの部分を明確に演奏出来れば形にはなる(ってそれが難しい?)。


曲名 ケチャ
作曲者 西村朗
出版社 ZEN−ON MUSIC
編成
  1. BONGOS、CONGAS、MARACAS、CLAVES
  2. BONGOS、CONGAS、MARACAS、CLAVES
  3. BONGOS、CONGAS、MARACAS、CLAVES
  4. BONGOS、CONGAS、MARACAS、CLAVES
  5. TUBULAR BELLS、TAMTAMS(3)、SLEIGH BELL
  6. TIMPANI(6)、S.CYM(2)、SIZZLE CYM
ずばり!
題名そのままバリ島のケチャを題材にした曲。前列のコンガ軍団がケチャをやり、後ろのティンパニ・チャイムが唸る(?)不思議な曲。
エピソード・感想
実際のケチャは原理はわかるが西洋音楽的な拍や拍子では捕らえられないので、やろうと思うと大変である。しかしこの西村版ケチャは数学的に再構築されているのでやり易い(難しいけど)し、聞いてても理解できる。でもその分無機的で乾いた感じがする。それから後ろのティンパニ・チャイムは、ヒンドゥー音楽を題材にしているらしいが、いかにもヒンドゥー的な、“ループにはまって頭グルグル”という感じではなく、“唸る”“暴れる”という表現が近い。(楽器的に仕方がないような気もする。)
私はケチャ軍団でやりましたが、口三味線や練習台などでのリズム合わせは何とかなるんだけど、実際に楽器を使うとかなり合いませんでした。さらにその上マイクを使用するのでゲネプロのときにはかなり混乱してそのまま本番をむかえてしまい、冷や汗タラタラでした。それから、前列と後列の関連性がほとんどないので、それぞれの列がうまくいっても、全体的にはずれている、という状況が生じてしまったりと、かなりの難曲でした。あ、あとマラカスでコンガをひっぱたくので、相当数のマラカスが犠牲になってしまった。お金もかかるなあ。
ワンポイント
慣れでしょうか。頭で考えても限界があるような気がします。とにかく全員そろって何回も通して体で覚えることで、関連性のない部分の整合性を高めて行くしかないんじゃないかなぁ。


曲名 パースペクテイヴ
作曲者 L.Weiner
出版社 SOUTHERN MUSIC COMPANY
編成
  1. CHIMES、TAMTAM、BELLS、WOOD BLOCK、S.D、TEMPLE BLOCK
  2. XYLO.、VIBRAPHONE、TEMPLE BLOCK
  3. MARIMBA、BONGOS、TIMBALES
  4. TIMPANI、TAMB.
  5. LARGE TRIANGLE、CLAVES、CHIME(B♭)、S.D、WIND CHIMES
  6. COWBELL、CLAVES、FINGER CYM
  7. SMALL TRIANGLE、GUIRO、WIND CHIMES、CHIME(B♯)、S.D、BONGOS、TOMTOM
  8. COWBELL、SOCK CYM、WHIP、FINGER CYM、WOOD BLOCK
ずばり!
不思議な感じがする曲。
エピソード・感想
客席を演奏場所にしてしまうよくありがちな現代音楽指向の曲。でも曲調自体はよくある打楽器アンサンブルの曲だったと思う。多分曲のタイトルを意識した演奏が出来れば一番いいのかも。
本番まで「離れた演奏」を実感できないのが,一番問題。指揮者が横向きになって,舞台上と客席同時に指示を与えるという方法を取りましたが,指揮者はきちんとした方でないと難しいでしょう。(私たちは奥田先生に振っていただきました)
音の伝わり方にタイムラグがどうしても出るので,普段の練習できちんと呼吸が合うようにしていないと,本番でずれます。 鍵盤と打楽器の掛け合いになりますので,対話を意識して作るといいと思います。
ワンポイント
会場で事前に練習できる機会をできるだけ作ること。


曲名 チェンジング・パターン
作曲者 H.Regner
出版社 B.Schott’Sohne,Mainz
編成 CONGAS(4)(SPG演奏時)
ずばり!
端正で育ちのよい曲
エピソード・感想
奏者4人,ボンゴ2にコンガ2と楽器の調達がとても楽。シンプルだけれど面白い,ミニマルほどしつこく長くもないし。指一本を皮の上にそっとのせる程度の静かな緊張感で始まりだんだん盛り上がっていく。普段ラテン楽器をたたきなれない白魚のような手の私には大きな音をたたくのは身体的につらく,親指の付け根の軟骨がはれて,テーピングで指をつりあげてなんとか本番をのりきった。
ワンポイント
レベルに応じてそれぞれ楽しめます。


曲名 イオニゼーション
作曲者 E.Varese
出版社 ―――――
編成
  1. チャイニーズシンバル、大太鼓、
  2. ゴング、タムタム(小)、タムタム(大)
  3. ボンゴ、テナードラム、大太鼓
  4. マーチングドラム、テナードラム
  5. サイレン、ライオンロアー
  6. サイレン(大)、ギロ
  7. テンプルブロック(3)、クラベス、トライアングル
  8. スネア(OFF)、マラカス、
  9. 高音のスネア、サスパンデッドシンバル
  10. 鈴、シンバル、チャイム
  11. ギロ、カスタネット、グロッケン
  12. タンバリン、アンビル、タムタム
  13. ピアノ
ずばり!
バリバリ現代音楽!高校教科書の鑑賞曲にも載っているので、おそらくそのジャンルでも有名なのだろう。
エピソード・感想
譜面的にはよく見ると分からなくもないが、出てくる音を理解するのが難しい。実はとても音楽的な曲なのだが、私も名曲だ、と思えるのに時間がかかった。サイレン・ライオン=ロアーなどの特殊楽器が印象的である。
とにかく大編成。人がそろわない。練習にならない。その上難しい。サイレンがない!(結局個人で買ってしまった。高かった様な気がする。)怒涛の5連符連発!わっかるかなぁ?わっかんねぇだろうなぁ。そのうえ本番は照明落としてやってごまかしてしまった記憶がある。結局曲の本質には近づけないまま終わったような気がする。
ワンポイント
難しすぎて解らない。上手くやる方法があったら私が聞きたい。あるとすれば、
1−指揮者はちゃんとした人で(奥田先生だったから何とかなった)
2−要所にはしっかりしたプレーヤーを。
3−サイレン・ライオン=ロアーは絶対必要特殊楽器の奇妙かつでかい音である程度ごまかせるライオン=ロアーはしっかり作ろう。ロープがはずれやすい。


曲名 タンバンリンと打楽器アンサンブルのための組曲
作曲者 S.Elias
出版社 Opus Music Publishers,inc.
編成
  1. SOLO TAMB.
  2. S.D
  3. TOMTOM
  4. WOOD BLOCK
  5. S.CYM
  6. B.D
  7. TIMPANI(2)
  8. TRIANGLE
  9. CASTNETS
  10. COWBELL
ずばり!
タンバリンソロのための曲。曲調自体は目立った所はないけれども、多種多様なタンバリンの演奏法が楽しい。
エピソード・感想
結構編成が大きい。でも確か3〜4パートはオプションになっているので削ってもいいかも。というのはタンバリン以外は比重がムチャクチャ軽いのでヒマそうに見えるから。タンバリンも譜面自体はそう難しくもないので、ソリスト次第で大きくかわってしまう。やった時には後に芸大にいった高校生がやったので大成功だった。
タンバリンがいれば問題は無かったのだが、いないと曲がよく解らないうえ、 “くそつまんねえ”曲になってしまうので練習が無意味なものになってしまった記憶がある。伴奏パートはあまり勉強にもならないし、下手するとやり甲斐もあまり感じられなくなってしまうので、じっくりやるのには不向きな曲だと思う。
ワンポイント
すべてはタンバリンソロのパフォーマンスにかかっている。でも逆にいうとそ れだけしかない曲でもある。


曲名 ア・タイム・フォー・ジャズ
作曲者 J.Speas
出版社 SOUTHERN MUSIC COMPANY
編成
  1. BELLS
  2. XYLO.
  3. MARIMBA
  4. VIBRAPHONE
  5. CHIMES、CABASA
  6. TIMAPANI(4)
  7. TOMTOMS(4)
  8. DRUMSET
ずばり!
おしゃれ...。(うちらがやったときは違った曲になっちまったが)
エピソード・感想
ベテラン(ん?)がおしゃれに演奏しよう!というすごく無謀な企画でやることになったのだが,やってもやってもダサくなる。基本的に練習時間が少ない社会人が中心だったので,なかなか呼吸が合わなかった。
「イキ」な感じが,どうしてもでません。曲にせいではなくて,やはり日本人だからでしょうかねぇ。難易度はさほどではないので,やっぱり一番要求されるのは「センス」でしょう。楽器はTIMPANIとCHIMEを使うので,調達に苦労しました。
最終的には,かなり中間部をアレンジしまして,TIMPANIとTOMTOMコンチェルトになってしまった。(笑)
ワンポイント
 例えばジャズと言う素材の場合、元々がプレーヤーの自由な解釈・インプロヴィゼーションなんかで音楽が構成されているので、オケ・吹奏楽系の人間のアプローチ法ではどうしても限界がある。(もっとも、ジャズの方法論を俺たちが使えるかというとそれは出来ない。)じゃあ、どうするかというと、原曲をくずす、アレンジする、ということを前提にしてやっていくしかない。でないと出来上がりが面白くない。