ブータン5日目


5月2日

昨晩も、犬が元気だったぜ.....!(泣)

というわけで、野生化した犬はブータン国内どこにでもいるという結論にいたりました。
こんな外れ(ウォンディポダンのホテルは街中ではなく河沿いにある)にまで、犬が集団で来やがった。
ま、でも耳栓を準備していたので、少しは犬のいる生活にも慣れてきました。

毎日早めの就寝のおかげで、すっかり早起きになったふみふみは河沿いを散歩したようですが、河辺までたどり着くことはできず、アリの写真を撮って帰ってきました。
毎朝必ず出てくるおかゆを食べた後は、今日は早めに準備をしてホテルの部屋を出ます。また峠を越えるので、前の席をGETするためです。なんたって、今日は一番長いドライブの日です。
玄関前に止まっていたバスにさっそく乗り込んで前の席をGET。今日は完ぺきだ!

というわけで、順調にスタートした峠越えですが、早めに部屋を出たせいかトイレが近い。ですが、ブータンは春のシャクナゲで有名なので、シャクナゲを見るとバスが止まってくれます。ひいい〜。

トイレ危機、ふたたび

ひたすら、バスが早く着くことだけを願うわたし。ひいいい〜!
.....なんとか、間に合いましたけどね。途中何度も「青空トイレ行かせてください!」と叫びそうになったことか。

トイレ休憩をした後は、ひたすら今日の目的地パロに向かいます。
道中長かったので、バスの中でゲンボさんがいろいろとブータンのことを教えてくれました。ちょい知識にのっけているのもあります。
ゲンボさんは東ブータンの出身なのですが、頭の良い子だったので、首都で勉強するようにと村が送り出してくれたのだそうです。でも、それまで電気も使ってない、お風呂も入ったことがない、車なんて見たことないという生活だったため、歩いて一週間くらいかけて、車の通れる道まで来たんだそうな。ゲンボさん、12歳ころだそうです。
両親もついてきてくれたそうですが、迎えの車にあって、さぁお別れというのに、その車に気を取られてしまって両親のことは一瞬忘れたらしい(笑)。
靴も履いたことがなかったから、最初にお小遣いでサンダルを買ったのに、すぐなくしてしまったんだとか。なくしても、気づかなかったと話していました。可愛いですね。
日本にも来たことがあって、いろいろとびっくりしたらしいですが、その初めて車を見たときが今までの人生で一番衝撃的だったようです。
日本の印象は、文化はすばらしいし、みんなやさしいけど、「心がない」と感じたそうです。なんだか、わかるような気がします。嫌いなわけではないけど、なんか違う、と感じたんでしょうね。
今は、両親も兄妹もみんな西ブータンに引っ越してきていて、もといた農家には妹だけが残っているようです。ブータンは、西が発展しているのに比べて東はもとの生活がまだ色濃く残っていて、経済的格差もあるのだとか。

さて、そんな話をしている間にティンプーまで来たのですが、すでに観光は済ませているので、通過するのみ。
ティンプーの街を抜けたところで、いったん青空トイレ休憩。みなさん、すっかり慣れたもので
「じゃ、わたしはこの辺で〜」
「あ、じゃあわたし奥に行きますねー」
と、各々のトイレスポットを探してサクサク済ませます。
工事中の道はまだ通過できなかったので、少し道路脇に止まって息抜きをします。道に落ちている石や階段などに使われている岩がきらきら光っていたので、ゲンボさんに「もしかして、雲母の岩が多いのか?」と聞いたらそうだ、とのこと。
よくよく見ると、道端の石がみんな雲母なんです。かなりきれいだったので、みんなで思わず石拾い。
動植物は国外持ち出し禁止なのですが、石ならいいよね。
拾っているうちに、結構いい時間になってきたので、バスに戻って工事現場を通過すべく車の列に並びます。
ここからが、異様に長かった.....!

ホコリっぽい道の上でじーっとひたすら待つしかない。途中、強引に車を割り込んでくる外国人の女性などがいてムッとしたのですが、運転手のコタさんはかなり要領が良く、わたしたちのバスは早めに通過できました。
通過できたのはいいんだけど、コタさんもストレスがたまっていたらしく、細い山道をぶっ飛ばし状態!

コタさん、後ろのタイヤ、ドリフトしてまーす。半分谷のほうに、はみ出てるっぽいんですけどー!

わたしたちは最前列だったので、運転手のコタさんの目線がわかってあまり怖くはなかったのですが、後ろのほうの席の方は洒落にならないくらい危機感を抱いたようで、「冷や汗出たよ〜」とぐったりしていました。

まぁでも、地元の人はやはり慣れているようで、無事にパロに到着。
アーチェリー場の脇のレストランで昼食です。
すると、レストランに犬が入ってきました。まだ子犬のようです。足元をウロウロしていたのですが、レストランのオーナーにダン!と足で脅かされ、キャンと鳴いて出て行きました。おお、さすがブータン。脅かすだけで、犬に手をあげないんだ。

さて、昼食の後はブータン式のアーチェリー体験です。
本来は結構遠距離を飛ばすのですが、わたしたちは30Mくらいの短い距離で挑戦です。ブータン式の構え方は、日本の弓道のように思い切り弓を引き絞るわけではなく、矢を弦に構える方向は日本と反対です。(うーん、わかりますかね?日本だと手のひら側には弦だけ持ちますけど、ブータンは手のひら、矢先、弦の順番になるのです)
最初はブータン式で打ってみたのですが、大学生の頃に弓道をしていた癖でどうもしっくりこないので、日本式に切り替えて打ってみました。
久しぶりだな〜と思いながら、ぐいっと構えたらギャラリーから「おお!」というどよめきが。ふふっ、照れるぜ!

が、日本式でも飛ばない状況は一緒だったりして。くうっ。
あ、でも女性陣の中ではわたしが一番飛びましたね。的に一番近かったのも、わたしです。ふふふ!

この日はブータンの休日にあたっており、見るはずだった博物館が休みだということで、次の日の見学先を先取りしてみることになりました。旅行会社さん、アレンジ上手です。フランスのときには、「休み」ということで入れない場所がありましたからねぇ。
というわけで、まず行ったのがドゥゲ・ゾンです。ここは、焼け落ちたゾンをそのまま保存しているもので、なんとも味があります。わざと修復しないのは、他のゾンと比較になっていいだろう、という考えなんだとか。
ブータンツアーの参加者は秘境好きが多いので、「廃墟はいい!」と大人気でした。そ、そういうもんなのね。わたしは秘境素人さんなので、プナカ・ゾンみたいにきれいな場所のほうが好きだけど。
この廃墟の上から見る景色が絶品で!景色に目を奪われてハッと気づいたらあと一歩で谷底に落ちそうになってました。

こわっ!!!

慌ててジリジリと下がります。本当にあぶなかった.....。

この廃墟の入り口で「むにゅ」といういやな感触。しまった、馬糞か!?と恐る恐る靴の裏を見たら、ガムでした(泣)。 馬糞じゃないのは良かったけど、ガムはなかなか取れなくて悲しい.....。

廃墟の次は、キチュ・ラカンです。ここは、7世紀に建てられたブータン最古のお寺で、チベット仏教の中ではポイントとなる場所だそうで、何でもチベットで封じた悪魔の左足くるぶしにあたるんだそうだ。108のお寺で、悪魔を押さえているんだそうです。
由緒あるお寺なので、国の要人などもしょっちゅう訪れるのだそうです。中庭には通年実がなっているみかんの木というのもありました。なんだか、霊験あらたかです。でも、おいしくないそうな.....。
いつものとおりお祈りしてから、バスに乗って次の目的地へと移動します。

本日最後の観光は、民家訪問です。これは、実際に住んでいるお宅に訪問するというもので、行くと家族が出迎えてくれます。一応、賓客扱いしてくれるらしく、仏間の隣の大事なお客さまをもてなすスペースまで案内してくれます。途中台所をのぞいてみたのですが、プロパンなんですね!でも、ブータンでの主流はまだ竈で焚き火のようなので、裕福なおうちなのかもしれません。
まぁ、日本と比べればかなり汚いお部屋なんですけど、普通のお客さまは通さないはずですからちょっと恐縮です。
家族の服(ゴやキラ)がかけてあったりして、ここで生活してるんだなぁ、としみじみ。
ブータンで良く食べるスナックとアラという焼酎、バター茶が出てきました。スナックは、お米ととうもろこしを炒ったり乾燥させたりしたもので、ほのかに甘い味がして結構おいしい。歯ごたえもしっかりしているので、あごにも良さそうです。
バター茶は.....相変わらずわたしはだめでした。アラは、みなさんおいしいおいしいとお代わりしてました。
ここには猫がいて、犬しか見ていなかったわたしたちは大喜び。スナックをあげたらポリポリ食べていました。可愛いです。
お礼を言って、日本から持ってきたお菓子などをお土産であげて民家訪問は終わりです。民族博物館での生活そのままで、ちょっとびっくりしました。本当に時間が止まった国なんだなと思います。

※ブータンちょい知識
とはいえ、ブータンにも時代の波・国際化の波はやってきています。ホテルのテレビではインドや日本の放送を見ることができ、大きな町で見る若い男女はこぎれいな格好で、中には茶髪の子もいます。
来年、新しい国王が正式に即位した後は、民主化に移行するという方針もあるようですし、パロからティンプーへ抜ける高速道路もできるのだとか。
東部地域は発展が遅れているとはいえ、ここ数年で劇的に変化してしまうと思います。必要なことだとは思いますが、なんだか残念です。

さて、この日の観光はこれでおしまいですが、泊まるホテルで民族衣装を着せてくれるというイベントがありました。
男性の衣装「ゴ」も女性の衣装「キラ」も、日本の着物に大変似ているのですが、キラの着方はどちらかというとインドのサリーに近い感じでした。着物の着付けよりも簡単で、意外に動きやすいです。男性はやはりふくらはぎを出したほうが様になるので、みなさん慌ててズボンを脱いでました(笑)。
みんなで着付けたあとは記念撮影大会です。


キラ、結構なじんでるでしょ?

そのまま夕食を食べてもいい、というので、わたしたちは衣装のままレストランへ。すっかり仲良くなった他のツアー客と一緒に楽しい時間を過ごしました。

さて、夕食の後はシャワーを浴びて明日のタクツァン登山の備えて早めに寝よう、ということになったのですが、シャワーにまた泣かされました。
お湯は出るんですけどねぇ、シャワーの奥にトイレがあるんだよー。どうりで、サンダルが置いてあるはずだ。
おまけに、お湯の温度の調節が難しい!

※ ブータンちょい知識
インフラが整ってないので、石油やガスのボイラーなんつうもんはありません。電気温水器なんですが、古いし小さいしで調節が難しい。暖かくならなかったり、お湯が思うとおりに出なかったり。覚悟はしていたんですが、汗をかいた日にはザーッと思い切りお湯を浴びたかったですねぇ。

なんとかシャワーを浴びたら、いつものとおり早めに就寝。本当に健康的だ!
問題は、犬だな.....。