ブータン4日目


5月1日

さーて、今日は峠を越えてウォンディポダンという標高の低い地域に行きます。
犬はきっちり大騒ぎしてくれて、みんな犬の声で目を覚ますという、非常に不思議な状況になりつつあります。でも就寝時間が10時ころ、と結構早いので朝の3時に叩き起こされても、みなさん怒らないようです。
わたしも耳栓をしたのでかなり眠れました。ふみふみは.....爆睡だったようです。(くっ)

首都ティンプーと飛行場のあるパロは標高が2500Mくらい、今日の峠は標高3000Mを越えます。さすがに、息が苦しい。最初に着いたときには感じなかったのですが、階段が苦しくて苦しくて、休みながらじゃないと登れないのです。現地の人は平気そうでしたね、さすがに。
息をするにも結構カロリー消費しそうだったから、メタボリックな人がいないんだろうな〜。どこ行っても坂が多いので、ふくらはぎも引き締まるわけだ。

朝食は相変わらずおかゆが出るので、食事に対する不満はあまりなかったのですが、そろそろ日本食が恋しくなってきます。
すると、やはり恋しくなってきたのでしょうか、ツアー客の方から韓国ノリをもらいました!これは、ありがたかった。ノリは結構いいですね。かさばらないし軽いので、長期の旅行にはオススメかも。

さて、今日はゆれるはねるのオンパレードの最後部には座らんぞ!と思っていたのですが、みなさん出発準備早いっすね.....(泣)。
バスに乗り込んだら、後ろから2番目の席と真ん中の席しか空いてないじゃん。
仕方ないので、分かれてすわり、途中で交代することにしました。
後ろから2番目もかなーり揺れますが、なんとか耐えます。

本日最初の観光は、遠くから眺めるだけのシムトカ・ゾンです。これは一番古いゾンだそうですが、改修中で中に入れないので、見晴らしのいい場所から眺めるだけ。

その後は延々と峠越え。途中で、りんごの花がきれいな集落がありました。何でも、チベットの方の移民だそうで、りんごや野菜を作って暮らしているんだそうです。なんだか、のどかな風景です。うーん、ブータンって感じ。

ダルシンが庭先に立てられ、屋根の上に小さな旗があります。この旗は、1年に1回、お正月の頃に僧侶にお祈りしてもらって変えるのだそうです。

その後、州をまたぐので関所を通過。何気なく下を見たら、うお!?あれはもしや噂の「ひゅートイレ」!!

いわゆる「自然にボッチャントイレ」なんですが、高い位置からひゅーっと谷底や川に自分のモノが落ちていくので結構爽快と「地○の歩き方」に書いてあります。うわ〜、入ってみたいけど丸見えだなぁ.....(隠れていたす青空トイレと違い、まわりには人がいっぱい(^^;)

関所を抜ければ、ドチュラ峠の頂上まではもうすぐです。「天気がよければヒマラヤ山系が見える」と言われていたのですが、この日は本当に晴れ渡って、マサガン(6794M)、テリガン(7094M)、ガンカルプンスム(7541M)などのヒマラヤの山並みがかなりはっきり見えました。ラッキー!!!
こちらが晴れていても、ヒマラヤの方が曇っていれば見えないので、どちらも晴れてきちんと見渡せるというのは珍しいんだそうです。ゲンボさんも感心するくらいよく見えたのは本当に幸いでした。
山並みを眺めている反対側には、108のチョルテンが並んでおり、それもなかなか壮観です。


すばらしい山並みと108のチョルテン

そこから、20分ほどで峠の頂上のカフェテリアに到着です。入るとすぐ、かなりビミョウなポーのお土産品が。
.....確かに、魔よけにはなりそうだけど、何もこんなにリアルに作らなくてもいいのに。それに装飾がほどこされてるとヤバイ度アップだな。

カフェテリアからの眺めもすばらしいのですが、ここは標高3000M。く、苦しい。さすがのわたしたちもはしゃげない。はしゃぐと酸欠でぶっ倒れそうです。
ポー以外にも、お土産やさんにはきれいな曼荼羅が置いてあったので、思わず物色。お、これは昨日のハンディクラフトセンターよりも上質な画だ!というのはわかったんですが、お値段もかなりステキでした。(泣)
描いた人のサインを見ると、かなり有名な絵画の先生だったようですが、いいものはやはり高い。一目見てこれは違うとわかるものには、いい値段もつきます。旅先では買えない.....。

一服した後は、今度は峠を下ります。下るにつれて、どんどん暖かくなっていきます。ブータンの緯度は沖縄くらいなので、標高が低ければ低いほど熱帯になるのです。植物の種類もどんどん変わってきます。サボテンの花やバナナの木なども見えてきます。
途中で、大変すばらしい棚田の景色に出会いました。時間の流れがこの国だけ止まっているのではないか、と思うような景色です。いつまでも、このままでいてほしい!

辛かった峠越えも終わり、ウオンディポダンへ到着。ホテルの窓から河が見え、なかなかいい景色です。ティンプーの窓から見えたのは工事現場でしたからね。
それに、息が楽だ!やはり標高が1000Mも違うと、楽になります。

昼食をとった後は、早速観光です。まずはウォンディポダン・ゾンを見学。途中で関所を通るのですが、その関所の近くに「AIDS」の看板とコ○ドームの絵が。(^^;
まだまだ患者数は少ないですが、爆発的に患者数が増えている地域が近いことや、性に関して割と奔放なお国柄(アヒルと鴨のコインロッカーでも、そういう話題が出てきますね。)ということもあり、予防に力を入れているようですね。

※ ブータンちょい知識
ブータンは、一夫一婦制ではありません。妻が何人でもOK!だんなが何人でもOK!
まぁでも、経済的に複数の配偶者と子供を養えるわけではないので、特権階級でもないかぎりそんな結婚をする人はいないそうです。ここ最近は、離婚裁判も多いのだそうな。
また、高等教育を受けた若い世代は結婚をしないという選択も増えているのだそうです。

さて、ゾンに入るので襟のある上着を着て、帽子を取らなければなりません。
あつい.....!
ぐったりしながらゾンに入る手前で、身分の高そうな女性と出会いました。この日は、ちょうど州の議会が開かれる日で、各村から代表者が集まっていたのです。その女性はなんと村長よりも地位が高いのだとのこと。ブータンでは優秀であれば女性もどんどん登用しているようです。
ゾンの中にも、正式なブータンの民族衣装を来た男性たちがゴロゴロ。ラムという靴まで履いているのは、ここで初めて見ました。いずれも、村の代表者のようです。
また、色の違うカムニを着ている男性発見!なんとその人が州の知事でした。わたしたちのツアーは非常にタイミングがいいようで、ターキンは見るわ、王様は見るわ、ヒマラヤは見るわ、州の知事を見るわ。(笑)

さて、ひととおり見学が終わり、あついあついとグッタリしながら歩いていたら、わたしたちの前に可愛い子供たちが現れました。
「可愛いねぇ、写真撮りたいね、追いかけようか?」
「いいですね!」
というわけで、ツアー客の方と一緒に追跡開始。
ちょうど門を出たところで飲み物を飲んでいる子供たちに追いつきました。どうやら、子供たちもこちらは気になっていたようです。
英語で話しかけると、小さいながらも理解しているようです。写真OKだというので、みんなで群がって写真撮影。(笑)


棚田と可愛い子供たちのベストショット

子供たちに手を振って別れをつげた後は、プナカ・ゾンへ。
ゾンはいろいろと規制が厳しいのですが(だって役所ですもんね)、プナカ・ゾンは比較的撮影などの規制がゆるいし、建物も美しいのだとのこと。
途中、ポー川とモー川という2つの河が合流する地点があるのですが、河の向こうにプナカ・ゾンが見えてすばらしくきれい!みんなで記念撮影をします。

ここで、暑さで具合が悪くなった方が休憩したい、と申し出され、東屋で休んでいることに。確かに、バスの中は冷房がないので、猛暑でした。
プナカ・ゾンに近づくとすばらしくきれいな紫の花が見えてきます。ジャガランタという名前の木の花なのですが、ゾンの周りに植えてあって、すばらしい景観なのです。


目に鮮やかな紫の花と伝統的な建物が美しい

ゾンには、木の橋を渡っていきます。これがまた、適当に作ったような橋で足元が結構こわい。ブータンには海がないし、河で泳ぐ人もほとんどいないのだそうです。泳げないんだったら、落ちないように橋をしっかり作ればいいのにと思うんですが、そこらへんがブータンっぽいといえばそうなんですかねぇ。
プナカ・ゾンの門に入ると、建物の壁にいきなり大きなハチの巣が!そういえば、峠を下る途中の山の木にもたくさんハチの巣があった!これ、被害が出ないんですかね?どうやら、スズメバチではなさそうですが.....。

プナカ・ゾンは大変美しかったです。ここは、長い間、厳しい冬の期間に首都となる場所だったそうで、チベットに勝利してブータンを統一したシャブドゥンの遺体があるんだそうです。

※ ブータンちょい知識
ブータンの観光をしていると、キーとなる人物が何人か出てくるのですが、これがひっじょおに覚えにくい!別名もいっぱいあって、どれが本当なの?ってなもんです。
そんな中でも覚えといたほうがいいのが、ブータンを統一したシャブドゥン。赤い帽子をかぶってます。
ブータンに仏教を伝えたパドマ・サンバヴァ(ハスから生まれたお釈迦様の弟子のグル・リンポチェも同一人物)は、よく祀ってあります。

中庭にはどーんとインド式のチョルテンがあり、その隣にインドボダイジュがあります。今までのゾンの中で一番建物も新しく、美しいです。何度も火災や洪水で建て替えているみたいですね。
冬の間の首都としての機能はすでにないのですが、僧の頂点にいるジェ・ケンポはいまだに冬の間はプナカに来るのだそうで、この日もまだプナカ・ゾンにいるとのこと。
また、ちょうどシャブドゥンの命日にあたっていたようで、ゾン内で若い僧たちが大勢で仏事を行っていました。中には寝ているような人もいましたが.....(笑)
撮影可能だったので、じっくり撮っていたら、後ろから僧侶にデジビデを覗き込まれました。「MOVIE」だと話したら、うんうん、とうなづいてじー。珍しかったんですかね。

外に出たら、でかいニワトリがいました。オスなんですけど、大事にされているのか、毛がツヤツヤです。
寺院である建物に移動したら、ちょうど若い修行僧の食事配布の時間だったらしく、合図で先輩格の僧がムチをピシピシ鳴らしていました。その音を聞きつけて建物のあちこちから、子供の僧たちがワラワラと集まってきます。
食事は自分たちで作るのだそうで、小さな子も生米をもらっています。また、国からのお小遣いとしてチケットなんかも支給されるようです。日用品はそれで手に入れるのだとか。
国がお寺を本当に大事にしていますね。

子供たちがいなくなってから「五体投地」をして、寺院の外に出ます。念のためにゾンの中のトイレを使わせてもらいましたが、これがまたすごかった。一応の仕切りはあるんですが、ドアはないので、しゃがむとそこに人がいるのがわからない。おまけに、溝があるだけなんだけど、ここでいいの???
仕方がないので、女性と男性に分かれて入ったのですが、ちょうどふみふみの入ったところには、巨大は○ンチがあったそうです.....。
その後ゾンを出たのですが、ゾンに続く橋は村人の通り道にもなっているようで、帰りは多くの人とすれ違いました。
途中で、川辺の東屋で休んでいた方と合流し、出発です。

さて、この日最後の観光は、チミ・ラカンです。事前に渡された案内書には、お寺まで田園地帯を20分ほど歩くと書いてあります。
お散歩と書いてあるんですけど、これが歩きにくいあぜ道を延々と歩くのでかなり疲れる。馬糞もいっぱいあるので、それを避けるのも結構大変。わたしはそれでも田舎育ちなので、懐かしいなぁと思いながらのんびり歩いていましたが、他のみなさんは結構疲れたようです。
あぜ道を歩いている途中、何か歌が聞こえてくるなぁと思ったら、農作業を終えた乙女たちがカゴを背負って家に帰るのに出会いました。なんとも、慕情を誘う情景です。歌も上手で、とても楽しそうでした。こんな素朴な人たちがまだいるんですね!

途中、集落を通るのですが、男の子が一人なぜか待ち構えている。「チケットを買ってくれ」と言われてびっくりしたのですが、別に物乞いではなくて、学校の催しだったみたいですね。でも買っても参加できないからおことわり。

チミ・ラカンは子宝の寺として有名なんだそうで、ゲンボさんに言わせると今までのところ100%だそうですよ、ご利益。旅行会社さんのスタッフも、ここで拝んで子供を授かったのだとか。女の子だったので「チミ」と名づけたそうです。
小さなお寺ですが、子供の僧が外で元気に遊んでいたので、なんだか活気を感じました。
お寺の中でいつものように拝んだあと、ツァンパーカイメトという大きなマメ科の乾燥した花をもらいました。お守りなんだそうです。結構気前良くもらえたので、家族の分までGETしました。

その後、また延々とあぜ道を通ってバスまで帰ってきた後は、ホテルに入って夕食。ブータンのホテルはなぜかどこでもビュッフェ形式ですが、これは調節できるのでなかなか良かったです。
暑くて汗をかいたし、ホコリっぽい道をかなり歩いたので、思いっきりシャワーを浴びたかったのですが、なぜかシャワーが目詰まりをおこしていて、本当にチョロチョロ(水の出口が10個くらいしかない.....)だったので、うまく体が洗えなくて大変でした。ううう。
ここは犬がいないといいなぁと思いながら、念のために耳栓を用意して就寝。