11-6-1 パイプオルガン
「みそじーず」はオルガンというと昔懐かしい足踏みオルガンをイメージする人が多いかもしれないが、「狙う」ことをしない限り、現在のプロの音楽に使われる楽器ではないので、ここでは足踏みオルガン(リードオルガン)についてはふれない。電子オルガンについても次でふれるとして、ここではパイプオルガンについてみてみよう。
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写真11-6-1 中型パイプオルガン |
大型のものも小型のものもその構造は変わらず、パイプに空気を送り音を出すわけで、鍵盤はある意味で単なるスイッチなわけだな。パイプにもパイプの共鳴を利用するフルーパイプと、金属片をふるわせて音を出し、(この発音方法は足踏みオルガンとか、ハーモニカとか、アコーディオンと同じ)パイプで表情をつけるリードパイプがあり、基本的にそれぞれ鍵盤の数だけパイプが用意される。だから音色を1つに限定してしまえば、パイプの数は鍵盤の数に等しくなるんだけど、大規模なパイプオルガンでは数万本のパイプが使われている。
11-6-2 ハモンドオルガン
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写真11-6-2 ハモンドオルガン |
発音方式は独特のもので、まず様々な大きさの歯形を連続して刻んだトーンホイールといわれる鋼鉄製の円盤を用意して、そのトーンホイールに近づけた形で(電磁)ピックアップを置く。トーンホイールをぶん回すと、トーンホイールの歯形の凹凸が連続して近づいたり離れたりするので、ピックアップに正弦波に近い音が得られる。これを音源として利用しているわけだな。
よって音源の精度はモータに依存するんだけど、そのモータの精度は電源の周波数精度による。日本は富士川を境に東が50Hz、西が60Hzとなっているんだけど、この50なり60Hzがどれだけ正確かというと、これが意外や意外、かなり「正確に」50/60Hzなのだ。20〜30年前に流行った電気時計は、電源の周波数を基準に時間を計っていたくらいだから、かなりの精度だといえる。で、ハモンドオルガンもそれを利用している。
ここで気をつけなきゃいかんのは、ほとんどのハモンドオルガンが60Hzを基準にしていることだ。よって50Hzの区域でハモンドオルガンを使う場合は、サイクルコンバータといわれるもので電源の周波数を変えてやらなければいけない。もしそのまま使うと「ド」の音が「ラ」の音にまで下がってしまう。
ハモンドオルガンは電源の入れ方がちょっとばかりややこしい。電源スイッチはスタートとランという2つがあって、まずスタートスイッチを入れる。(スタートスイッチはロックしないので手を離さずに)そうすると、中から壊れそうな「ガー」という 音が聞こえるが、気にせずに10数える。そのあとスタートスイッチから手を離さずにランスイッチを入れて、さらに5数えてからスタートスイッチから手を離す。そのご20数えると音がでるようになっている。
これはどういうことかというと、トーンホイールを回すモータが非力なために、力のいる回し始めだけほかのモータに回転させるのを手伝わせているからなのだ。よってスタートスイッチは補助モータのスイッチというわけだな。だから一度回転が安定した後は必要がないので、スイッチもオンの状態ではロックしないようになっているわけだな。最後に20数えるのは、真空管が暖まって音がでるまでそのくらいかかると言うこと。う〜ん。このくらい大変な方が愛着がわくな。(ほんとだか)
上下キーボードの下1オクターブは白黒が反転した鍵盤にっているんだけど、これは鍵盤じゃなくて音色のプリセットスイッチ。ここを押すと鍵盤が押された状態のままロックする。(私は最初さわったときに「しまった、壊した・・・」と思って真っ青になった(笑))解除は一番低いドの音を押せばいい。
11-6-3 エレクトーン
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写真11-6-3 エレクトーン |
エレクトーンは基本的に家庭用の楽器として作られるので、ポピュラー音楽には登場してこないんだけど、中身はそのまんまシンセサイザだ。もちろんかなり前の機種からMIDIにも対応しているし、PCM音源なども積極的に取り入れているので、その音は高価なシンセサイザと比べても遜色はない。(というか、エレクトーンの方が高いんですけど・・・)1973年に発表の当時の最高機種GX-1は見かけこそエレクトーンだけど、中身は超豪華アナログシンセで、ビンテージシンセのコレクターズアイテムになっているほどだ。
エレクトーンの出力は時代や機種によって様々なものがあるが、基本的にはピンジャックかフォーンジャックでステレオ出力されている。中にはリズムアウト端子や鍵盤個別の出力をもつものもある。
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写真11-6-4 トーンキャビネット |
11-6-4 コンボオルガン
オルガンの中には電子オルガンでありながら、ハモンドとは違うオルガンも存在した。これらは「コンボオルガン」(Combo Organ)と呼ばれ、どちらかというと貧乏人御用達のような扱いだったんだけど、現在ではそのチープな音とルックスが逆に新しく見えるらしく、たまに使われることがある。音的にはドアーズ(Doors)の「ハートに火をつけて」(Light my fire)のオルガンの音。レスリースピーカを使わないので、音に変化を与える手段として、ビブラート(音程を周期的にわずかにずらす効果)が使われている。
日本ではヤマハのYCシリーズがよく使われていた。YC-10・YC-20・YC-30・YC-45Dがあったんだけど、その中でも一番ちゃちいYC-10は何故か今人気。(笑)
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写真11-6-5 CX-3 |