9-2-1 電気の基本単位
基本単位とは、物事の大きさや長さや重さを表すときに使うもので、当然みんなはいくつかの単位を知っているわけだ。例えば長さを表すメートルとか、重さを表すグラムなんかだな。マイクからスピーカまでの信号の正体(=電気)にもいろんな単位があるので、基本的な単位を紹介しておこう。
電圧を表す単位。日本の一般的なコンセントに来ている電気の電圧は約100V、乾電池は一つ1.5V、とまあ比較的なじみのある単位だろう。
電流を表す単位。小学校(中学校だったっけ?)の理科で習って以来、日常生活ではあまり出てこない単位だな。使うとすればブレーカの容量をいうときぐらいかな?余談だけどよく怪獣モノのスペックなんかで、「角から10万ボルトの電流を放つ。」とかいう間違いがある。Vだったら正しくは「電圧」だね。
電力を表す単位。100Wの裸電球とか、100Wのギターアンプだとかよく分からないままにいろんなモノに使われている単位だ。(冷凍ピザの裏なんかには、650Wで5分とか書いてあるな)電圧と電流をかけたもので、電気の仕事量の大きさを表す。1Vで10Aの時の仕事量と、10Vで1Aの時の仕事量は同じ10Wというわけだな。
(電気)抵抗を表す単位。値が多いほど電流が流れにくくなるわけだ。
9-2-2 補助単位
これもみんなはいくつかを知っている。「ミリ」とか「キロ」とかいう奴だ。日常会話では「あと1ミリ」とか「体重70キロ」とかいうけど、それぞれ正しくは「ミリメートル」と「キログラム」だ。つまり補助単位というのは、それ自体では量や永さなどを表す意味を持たず、基本単位の前について、基本単位だけでは桁数が多くなってしまうような値を、分かりやすく表現するためのものだ。
大きいものを表す補助単位。
お馴染みの補助単位。103、つまり×1,000という意味。1kmは1,000mでしょ?ただし、コンピュータで使う「バイト」とか「ビット」という単位につけた場合は×1,024という意味になる。
キロ×キロ。ということで106。×1,000,000ということだね。これもコンピュータの場合は1,024k=1,048,576という意味。
メガ×キロ。ということで109。×1,000,000,000ということだね。これもコンピュータの場合は1,024M=1,048,576k=1,073,741,824という意味。
小さいものを表す補助単位。
音響と無縁の人は、小学校の時に使う「デシリットル」が、一生のうちでデシという単位に出会う場だろう。ところがこのデシという補助単位は嫌というほど後で出てくるのだ。うはははは。意味は10-1、つまり×0.1という意味。
音響の世界では使わないけど、順番で行くとセンチがここに来る。×0.01という意味。
これはよく使うよね。10-3、つまり×0.001という意味だ。
10-6、つまり×0.000,001という意味。
10-9、つまり×0.000,000,001という意味。
10-12、つまり×0.000,000,000,001という意味。
9-2-3 オームの法則
E=IR 以上。
と終わってしまってもいいんだけど、とにかくこの電圧=電流×抵抗という式だけは覚えてしまおう。ついでに単位もごちゃ混ぜにしてV=AΩと覚えたって構わない。あとの式は展開すれば勝手に出来る。このオームの法則はとにかくなにをやるときにもついてまわるし、こんな便利で使い勝手のある公式はないと断言できる。ついでに電力=電圧×電流(単位をごちゃ混ぜにすると、W=V×Aになる)という式と一緒に必ず暗記しておこう。
例えば(日本で)「40Wの電球の抵抗値は?」といわれたら、こうやって計算する。
まず40Wというのは、コンセントの電圧は100Vと決まっているので、W=V×Aに代入すると、40=100×Aとなって、A=0.4だな。40Wの電球には(100Vの電圧の場合)0.4Aの電流が流れるわけだ。で100Vの時に0.4A流れる時の抵抗値は、V=AΩで100=0.4×Ωだから、250Ωというのが答えになるわけだ。
9-2-4 抵抗の合成値
これも簡単かつ大事な事項。スピーカとアンプとの関係で必ず出てくる事柄だ。
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図9-2-1 抵抗の直列 |
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図9-2-1 抵抗の並列 |
さらに並列にする抵抗が幾つでも、抵抗値がみんな同じならば単純に本数で1本当たりの抵抗を割ってやればいい。100Ωの抵抗を2本並列にすると50Ω、3本だと33.3..Ω、4本だと25Ωだ。