7-1 ミックスダウンをはじめる前に

   
   
7-1-1 ミックスダウンとは

   

   



   
7-1-2 前もって用意しておくこと

   

  1. どのようなエフェクト処理をするか大体の構想を練っておく。エフェクタのリターンはステレオが多いので、ある程度どこに何を使うか、そのエフェクトのリターンはどこに戻すかなどを考えておかないと、ミキサのチャンネルがすぐいっぱいになってしまうんだな。もちろんミックスダウンの途中で、「これにエフェクタかけると面白いんじゃないかな。」という発想は大事だし、本来のエフェクタの使い方なのかもしれないけど、全部行き当たりばったりでやっとると、それこそわやだでんなあ。(ヲヤヂ風表現)
  2. で、エフェクト処理が決まったら、具体的に何に何をかけるかを決める。たとえば「キックにはウーレイの#1178の後にバリーピーポーのKeypex、さらにクラークテクニックのDN-33をかけて、ゲートエコーをヤマハのSPX-1000で」とかね。使いたいエフェクトと物理的な制限(エフェクタの数や性能など)の兼ね合いを良く考えておこう。
  3. ミキサのチャンネル割りを考える。MTRに入っている全ての音をミキサに立ち上げて、エフェクタのリターンも含めて全てミキサのチャンネルに収まれば、何もいうことはないんだけん、それ以上になった場合はミキサの補助入力で対処できないか考えてみる。ミキサにはAUX INなどと表示されている補助入力が数系統あるのが普通なのだな。これらの補助入力は、イコライザが付いていなかったり簡単な物だったり、パンが固定だったりする訳なんだが、良く考えてイコライジングなどがさほど必要でないエフェクトのリターンに使用すると、無意味にチャンネルをつぶさずに済むわけだ。

    それでもまだチャンネルが足りない時は、MTRのトラックを全て立ち上げる必要があるかどうかを考える。ミックスダウンに必要のない同期信号やドンカマ、NGのテイクなど不必要なものは削除してしまい、空いたところをエフェクタのリターンなどに使おう。そうこうしてもまだチャンネルが足りない時は、サブミキサを使って、エフェクタのリターンなどを集めるしかない。

  4. 今度はエフェクタへの送りを考える。直列型のエフェクタ(コンプレッサ、ノイズゲート、グラフィックイコライザなど)は、それぞれのチャンネルにはさみ込んでやればいいけど、並列型のエフェクタ(リバーブ、ディレイ、コーラス、エキサイタなど)はミキサ補助出力から送り出してやらなきゃならん。 送りが足りない時で、『ヴォーカル専用のリバーブ』のように1つのチャンネルにしかかけないものは、パッチベイでそのチャンネルを分岐し、そこからエフェクタの入力へ送るという手もある。この方法ではエフェクタへの送りがプリフェーダーになってしまう欠点があるので、フェーダーを一度決めたらあまりいじらないチャンネルで使うのがいい。





7-1-3 直前の準備

  1. MTRと2トラックレコーダのクリーニング、ヘッドの消磁をする。
  2. プランに従ってエフェクタなどのパッチングをする。
  3. ミキサから1kHzの基準信号を出し、ミキサの2MIX(STEREOという表示のものも多い)のVUメーターを0VUに合わせる。この状態のまま、オープンを使用する場合は、インプットモードにして、インプットボリュームでオープンテープレコーダのVUメーターを0VUにあわせる。PCMプロセッサを使用する場合はPCMプロセッサのメーターに0VUの表示があるのでとりあえずそこにあわせておく。DATを使用する場合は、DATのインプットとテープの切り替えのあるものはインプットにし、無いものは録音一時停止状態にして、DATのメーターをとりあえず-12dB位にあわせておき、後は実際に音を出した時にマージンの表示を見ながらDATのインプットつまみで微調整をしよう。 カセットはまあ適当に信号が来ていることを確認しときゃよしとしよう。(B型)
  4. OTARIのオープン2トラックを使用している場合は(MTR-10Jなど)更にテープをかけて、STOP/LOADを1回押しておく。こうすることによってテープレコーダがリール径やテンションを判断するのだ。これをしなくてもプレイボタンを押せば録音や再生ができるけど、最初の数秒間はテンションコントロールが正確には機能してくれない。テープをかけ終わったら、リプロモード(緑色のLEDの所)にしておく。
  5. オープンの場合は基準信号を入れる。後で調整する側からみれば、色々な周波数の信号が長めには言っていた方がやり易いんだけど、大事なテープをあまり浪費するわけにも行かないので、1kHz30秒、10kHz10秒、100Hz10秒、1kHz10秒という感じでいいだろう。基準信号の周波数を切り替える時には、テープをいちいち止めなくてもオシレーターの周波数を切り替えるだけでいいよ。
  6. オープン以外のものは正確に0VUが分からないので、基準信号は特に入れなくてもいい。ちなみにカセットに入れる場合はの基準信号は400Hz。
  7. 基準信号を入れたら、スレート(ミキサ内蔵のマイクからテープレコーダに録音できる機能)を使ってクレジットを入れておく。この声の録音レベルはうるさいことはいわないが、やたら小さかったり、その逆はないようにね。
  8. 以上の作業が終わったら、実際に2トラックテープレコーダを回して録音するまで、かなり時間が空くはずなので、オープンテープの場合は、テープのアンロード(テープをたるませて、キャプスタンの回転を止めた状態)をしておこう。MTR-10Jの場合はEDIT/UNLOADを2回押しておけば自動的にアンロードの状態になる。