7-1-1 ミックスダウンとは
普通一般の人は、音楽を何で聴いているかというと、CDであったり、カセットであったり、その他のものであったりする訳なんだけど、いずれも現在は2チャンネル、つまりステレオのメディアだ。(まだテレビはモノラルの物も多いけどね)たとえ大金持ちの道楽でリスニングルームを作って、惜しみなく機材を揃えたとしても、MTRとレコーディングミキサと周辺機器を揃える人はいない。よってMTRのテープのままでは聴くことが出来ないので、MTRの4〜48以上のトラック数を、「ダウン」して、2トラック(この場合は=2チャンネル=ステレオ)にしてやる必要があるわけだな。本来はこの意味で、ミックスダウン(トラックダウンとも言われる)という言葉があるんだけど、現在ではトラック数の減少という消極的な意味のみならず、高度な音作りをしてバランスをとる作業のことを指すのだ。エンジニアの一番の腕の見せ所と言ってもいいだろう。(つまり音響屋の華の部分だな)故に要求される技術もかなり高度になってくるので、機材のことだけでなく楽器のことや電気知識、果てはプレーヤの心理やプロデューサーの好みまで知る必要がある。(あ〜大変)
7-1-2 前もって用意しておくこと
それでもまだチャンネルが足りない時は、MTRのトラックを全て立ち上げる必要があるかどうかを考える。ミックスダウンに必要のない同期信号やドンカマ、NGのテイクなど不必要なものは削除してしまい、空いたところをエフェクタのリターンなどに使おう。そうこうしてもまだチャンネルが足りない時は、サブミキサを使って、エフェクタのリターンなどを集めるしかない。
7-1-3 直前の準備
以上の準備ができたらいよいよミックスダウンの開始だ。人によっては全体を出しながら個々の音決めを行ったほうがやりやすいという人もいるけど、最初は1つずつ音決めを行ってから、一度全体の音を出して、また1つずつ微調整をするのを繰り返したほうがいいと思う。
音決めはまず1つのチャンネルをオンにして、フェーダーを基準位置くらいまで上げ、必要に応じてエフェクト処理をしたりイコライザ処理をする。全体の音といっしょに混ぜた時に音のイメージが変わることも多いので、この段階であまり根を詰めて音決めをしてしまうと、かえってウラにはまるぞ。ただしノイズゲートだけは、1つずつ設定したほうがやりやすいので、ノイズゲートをかけるチャンネルは、この時点でしっかりと設定しておく。
音決めをする順番は別にないけど、一般的なバンドのミックスダウンの時、通常は次のような手順になる。
じゃあこのそれぞれについて次の頁から具体的に見ていこう。