7-5 キーボードの音作り

  
  
7-5-1 アコースティックピアノ

  

  



  
7-5-2 キーボード

   

ブラス系、ストリングス系
  • ハイパスフィルターは100Hz位。
  • 迫力を出すなら200Hz辺りのポイントブーストする。
  • 8kHz辺りをブーストすると派手な感じになる。
シンセリード、フルート系
  • ハイパスフィルターは300Hz位までいれてしまおう。
  • 正弦波に近い音なのであまりイコライザーの効きはよくないが、10kHz辺りのポイントブーストするとフルート系の音は息の音を強調できる。(逆に必要としない時はカットする)
  • 音が攻撃的に聞こえる時は2kHz辺りをカットするといい。
クラビネット、シンセギター系
  • ハイパスフィルターは100Hz位。
  • 10kHz辺りにきらびやかさの、3kHz辺りに固さのポイントがある。
  • 500Hz〜1kHzの辺りをカットすると音がしまってくる。
  • 倍音成分が重要な楽器なので、高音域に多少気に入らない部分があっても、下手にイコライジングしないでそのままの方がいい場合もある。
オルガン系
  • ハイパスフィルターは100Hz位。
  • 高域をブーストすると抜けがよくなる代わりに、厚さがなくなるので注意。
  • アタック音がうるさい時は2kHz位をカットしてみよう。
  • 他の音と一緒にオルガンを鳴らす時には、シェルビングで低域を大まかにカットしておいた方が、他の音とのなじみがいい。結構簡単なようでイコライジングの難しい楽器だ。
オーケストラヒット
  • 迫力を出したいからといって、むやみに低域をブーストするのは得策ではない。ピーキングで聞こえやすい低域(200Hz辺り)をブーストしてやれば迫力は出るので、それより低いところはそのままにしておき、ハイパスフィルターを50Hz位にしておく。
  • 全体の音と混ぜた時に音量が足りない感じがした時は、むやみにフェーダーを上げず、5kHz辺りをピーキングイコライザーで少しブーストしてやると良い。
エレピ系
  • YAMAHA DX-7以降のエレピの音は、他の音と混ぜてもヌケがいいので、取り立ててイコライジングする必要はなく、ハイパスフィルターを100Hz辺りまで入れておくだけで良いことが多い。
  • ローズ(Rhodes)に代表される電気ピアノ(機械的なハンマーアクションを持つもの)は、低域が多めになることが多いので、シェルビングで緩やかに低域をカットし、ハイパスフィルターを100Hzまで入れる。アタックを強調したい時は2kHz〜4kHz辺りをブーストしてやるといい。また10kHz以上をカットすると古くさいピアノの感じになる。ローズというと、最近ではローランド社が買収して普通の電子キーボードのイメージが強いが、少し前まではローズというとエレピの代名詞だった。今でもローズという時は電気式のエレピを指すことが多いので、一応知識として知っておこう。その他に電子ピアノで有名な物にウイリッツァー社のエレピがある。
アコースティックピアノ
  • キーボードの音源として入っているアコースティックピアノは、結構高音を強調してあって(ローランドのキーボードや音源は特にその傾向が強い。)、そのままで十分ヌケが良く、特にイコライジングの必要はないことが多い。この場合はハイパスフィルターだけを100Hz辺りまで入れておけばいい。
  • 1kHz辺りをざっくりとカットして、10kHz辺りをピーキングでブーストすると、ホンキートンク調のピアノの音になる。
  • ピアノの音はメーカーによって非常に癖があって、必要に応じて音源を選んだ方がいい。一般的にバンドの中には入っているピアノの音にはローランドの音源が向き、バラード系など静かなピアノにはコルグの音源が向く。カワイやヤマハの音源は他のメーカーの音源に比べてマイキングがオフ目の感じがするので、ピアノだけになる部分がある曲などに良い。
  • ヤマハの音源や、E-muのプロテウスの音は中域の「押し」が強すぎる場合があるので、この場合は2kHz近辺を少しカットしてやるといい。

表7-5-1 キーボードのイコライジング

  

  • リバーブ

    最近のキーボードや音源には、エフェクターが内蔵されていて、特にファクトリープリセット(メーカーが出荷時に入れておく音色)の音色には最適なエフェクトがかかっているので、特にミックスダウンの時に付加する必要はないが、リバーブなどは単体で聞いてちょうどいいようにセットされていて、全体として聞いた時にはかかりすぎのきらいがある物が多いようだ。

    オーバーダブの時にこれを見越してエフェクトを切って録音した場合はリバーブ処理が必要になるが、この時のリバーブには比較的リバーブタイムの長い(2.5sec位)ホールリバーブが向く。またトラック数の都合などでモノラルで録音した音がある場合は、アーリーリフレクションやステレオコーラス系のエフェクトを、音色のイメージが変わらない程度にかけてやると、擬似的にステレオ感を得ることが出来る。

  • フランジャ

    ストリングスやクラビネットの音色など、倍音を多く含んだ音色には、フランジャやフェイザなどのエフェクトも面白い。

  • ディストーション

    普通は使わないけど、リード系の音や正弦波に近い音(いわゆるシンセリードの音色)に、ディストーションをかけると右翼の街宣車より迷惑な音が作れる。この時はギター用のコンパクトエフェクターなんかを使った方が「えぐい」音作りが出来る。ただしプロ用の音響機器の信号レベルは殆ど0dBm以上なので、エフェクターに入力する時はパッドをかけてから入力し、リターンはマイクインプットなどのゲインの稼げる入力に戻すように。S/Nが悪いのはご愛敬だ。(いいのか?それで)

表7-5-2 キーボードのエフェクト