7-4 ギターの音作り
7-4-2 アコースティックギター
アコースティックギターのいわゆる「いい音」というのは、他の楽器と比べて意見が一致しやすい。つまり、高域がきれいに伸びていて、それを支える中低音が適度にふくらみがある音だ。よってイコライジングは割と簡単だと思う。エフェクタもあくまで補助的に使い、アコースティックギターの持つアコースティックな部分(変な言い方だけど)を大事に音作りをしよう。
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- ソロの部分(曲中にアコースティックギターだけが鳴るところ)がなければ、ハイパスフィルターを150Hz位までいれてしまおう。
- マイクで録音してある場合は高域を少しブーストしてやり、(シェルビングの場合は10kHz辺り、ピーキングの場合は5kHz〜10kHzの辺り)500Hz〜1kHz辺りのポイントを少しカットしてやれば出来上がり。Qは比較的広めでいい。
- ライン録音してある場合は、モノによってかなり音質が異なるので、一口にはいえないが、150Hz位と2kHz辺りのポイントが不必要に出ている場合が多いので、気になるようであればこのポイントをカットしてみる。
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表7-4-1 アコースティックギターのイコライジング |
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- コンプレッサ
エレクトリックギターと一緒にアコースティックギターを鳴らしたい時は、音量の均等化をはかってからフェーダーを上げないと、不必要にアコースティックギターの音が大きくなることがある。この場合は比較的レシオを強めに(4:1位)にして曲中コンプレッサが効きっぱなしになるくらいにかける。
その他に高音域を強調した音作りをした場合などは、左手の弦を擦る音が耳障りになりやすいので、この場合はイコライジングした後に、レシオを弱めに(2:1位)にしたコンプレッサを薄めにかけてやると良い。
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表7-4-2 アコースティックギターのエフェクト |
7-4-2 エレクトリックギター
エレクトリックギターは、プレーヤがしっかりしてれば、ギターアンプからでている音がほぼ「完成品」と考えていいので、あんまり大がかりには音作りはやんない。補正程度のイコライジングと、リバーブの付加くらいのもんだ。補正のイコライジングとは、たとえギターだけ聞いた時には最高の音でも、全体と混ぜ合わせた時にほかの楽器とぶつかって音が濁ってしまう時なんかに、ギターの音のニュアンスを変えないようにして、問題となっている周波数のポイントだけをカットしてやることだ。
たとえば、金髪の兄ちゃんがマーシャルをごろごろところがしてきて、弾きたおして帰ってった録音では、ギターだけ聞くとものすごく迫力のある音でも、ほかのギターやベース、ドラムと混ぜると低音が濁ってしまうことがよくある。このような時にハイパスフィルターを少しかけたり、ピーキングイコライザーで低音を少しカットしてやると、全体の音がすっきりとまとまるのだな。
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- ハイパスフィルターは普通の音楽なら100Hz〜200Hz位、ハードロックなどギターの低音を強調したい場合はもう少し低めに設定する。
- イコライジングのポイントは特にないが、太い音にしたい場合は200Hz辺りをブーストする。
- ソロのギターなどでは、1kHz辺りをブーストしてやると音が前に出てくる。
- 音がキンキンして耳障りな場合は2kHz〜4kHz辺りをカットするといいが、あまりやりすぎるとエレクトリックギターの持ち味の「張り」がなくなってしまう。
- クリーントーン(歪ませていないギターの音)にきらびやかさを持たせたり、歪んだギターの歪みの目を細かくしたい時は、10kHz辺りをピーキングイコライザーでブーストしてやるといい。
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表7-4-3 エレクトリックギターのイコライジング |
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- リバーブ
ギターアンプのリバーブ(スプリングリバーブが多い)がかかっていることも多いけど、まあそれは音の一部として考えて、音像を自然に定位させるためにリバーブを付加する感じだ。
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表7-4-4 エレクトリックギターのエフェクト |