5-3-1 スタジオ内での準備
![]() |
写真5-3-1 マイクコンセントの例 |
![]() |
写真5-3-2 キューボックスの例 |
5-3-2 コントロールルームの準備
デジタルMTRの場合はミキサで1kHzの信号を出し、ミキサのメーターが0VUになるよう調整したあと、録音するだけしか方法がない。なんでかっていうと、デジタルMTRのメーターはほとんどのものがピーク表示なので、正確に0VUかどうかが分からないからだ。だからMTR側のメーターが全トラック同じぐらい振れていればよしとしてしまおう。
アナログMTRの場合はMTR側のVUメーターで0VUを合わせ、テープのテンションをかけた後、ALL REPROにして信号を録音し、再生状態でVUメーターを見て、1kHz・10kHz・100Hzでそれぞれでちゃんと0VU振っているかどうか確認する。1トラックや24トラックなどのいわゆるエッジトラックは、ある程度ほかと比べて特性が悪いのはしゃーない。(10kHzの時に多少メータがふらふらするとか)この時にあまりにも特性の悪いトラックがあったら、もう一度クリーニングをしたあと大急ぎで調整をする。信号を入れ終ったらオシレータのスイッチを切っておく事。
チェックの時にはミキサのフェーダーは基準位置(0の表示がある位置。大体、下から8分目くらいの所にある)に全チャンネル合わせておく。これから先フェーダーは基準位置から動かさない。
「しっかりと収音出来ているかをチェックする」ってたって、どういう音が録れてればいいかなんてそうそう簡単に分かるもんじゃないけど、生音とマイクで録った時の音の違いや、「この音を作るためには素材にこういう音が必要だ」というのを自分なりに持っておく事だ。これは残念ながら経験則としか言いようがない。とかく「録れてればいいや」と安易になりがちなベーシック録音で、一番大事な事は「いい音」をMTRにぶちこむ事。
「いい音」の定義は、時と場合によって異なるのは当然で、コンボジャズとヘヴィメタルでは「いい音で録音されたドラム」は当然異なる。まああえて「いい音」を定義するなら、「ミックスダウンがうまくいく音」かな?
録音レベルをしっかり設定するというのは、最終的に大きくミックスする音だろうが、小さくミックスする音だろうが、MTRには目一杯大きな録音レベルで録音するするという事。これは録音系のノイズを出来るだけ小さくするためだ。(単純に考えて24トラックのMTRを再生すると、2トラックのテープレコーダの12倍のノイズが出るのだよ。)
具体的にはアナログのMTRの場合は、VUメーターが常に0VUをうろちょろしてて、ピークLEDがたまに灯く程度。(もちろん音源によって振れ方は違うので注意。スネアなんかはVUが余り振らないうちから、ピークLEDがパカパカ灯くし、ボーカルなんかはVUが振り切ってもピークLEDが灯かない事もある。まあその辺は臨機応変に。VUメーターが振り切るか、ピークが灯きっぱなしにならなきゃOKだ。)慣れてくれば、歪むぎりぎりの所に録音レベルをとって、テープコンプレッションを利用して、アナログテープならではの効果を出すという技もあるけど、みんなの場合は基本に忠実に行こう。
デジタルMTRの場合は赤いLEDが灯かない様になるべく大きく。まあでも1曲の中で1〜2回赤のLEDが灯いたぐらいなら大丈夫。デジタルMTRのメーターにはピークホールド機能があるのでそれを使えば便利かもね。