4-4 同期運転


   
4-4-1 同期信号について

  

  



  
4-4-2 同期運転の原理

  

    同期運転は、1台のマスターレコーダに、その他のスレーブレコーダを同期させる方式なので、理論上は何台でもスレーブレコーダを増やす事が出来る。基本的な動作原理は次の通りだ。

  1. 図4-4-1 録音時の関係
    録音する前に、同期させたいレコーダ全てに同期信号を入れておく。(ここではマスターとスレーブ1台にしよう)この時点では2台のレコーダは同期しておらず、勝手に動いているだけだ。

    ここで同期信号を発生するのがタイムコードジェネレーターと呼ばれる物で、このタイムコードジェネレーターはこの同期信号を入れる作業が終わったら後は必要ない。同時に同じタイムコードジェネレーターから同期信号を録音しても、別々に入れてもかまわないし、フレーム数さえあっていれば別のタイムコードジェネレーターから入れてもかまわない。さらにマスターレコーダから同期信号をダビングしてもかまわないんだけど、ダビングによる音質劣化のために、スレーブ側が同期信号の読み込みエラーを起こす可能性があるので、あまりお奨めできない。どうしてもダビングしなければならない時は、シンクロナイザのリフレッシュタイムコード機能を使って一旦新しい同期信号に書き換えてから録音しよう。

    また、音楽の録音の時にタイムコードを一緒に録音するという手もあるけど、何かの間違いで同期信号が上手く録音できなかったりすると、音楽の録音自体のやり直しになるので(スレーブレコーダにも音を入れていた場合)、タイムコードが音漏れする可能性もあるので、おすすめできない。

  2. 図4-4-2 同期時の関係
    マスターとスレーブそれぞれの同期信号を、シンクロナイザに入力する。シンクロナイザではマスター側から受けた同期信号を基準に、スレーブ側の同期信号がどれだけずれているか(オフセット)を検出して、スレーブ側のサーボ回路(テープレコーダの駆動系を司る部分)に、「遅れているから、少し再生のスピードを上げなさい。」とか、「今ちょうど同じスピードで動いているから、そのスピードをキープしなさい。」とかいう命令をするわけだな。一度同期(ロック)してしまえば、あとは同じタイミングでテープが回るようにするので、聴感上ワウフラッタを心配することはない。


  3. シンクロナイザにはメーカによって名称の差はあるものの、「シンクイネーブルスイッチ」と「チェイスイネーブルスイッチ」が付いている。

    シンクイネーブルは、スレーブ機をマスター機に同期させるかどうかを選択するスイッチ。これをオフにすると同期運転はされない。チェイスイネーブルとは、スレーブ機に巻き戻しや早送りを許可させるかどうかを選択するスイッチ。これがオフになっていると、スレーブ機は同期するために巻き戻しや早送りを行わないので、これをオフにしてマスター機を早送りさせた場合などは、スレーブ機はプレイモードのまま必死に追いつこうとするが、同期するまでかなりの時間がかかってしまう。まあ通常はオンにしといた方が間違いはない。