2-7-1 弦楽器のマイキング
前に説明したギターやベースも立派な弦楽器なんだけど、ここではその他の弦楽器についてみていこう。といっても全ての弦楽器のマイキングについて書いていくと面倒くさいので・膨大な量になるので、弦楽器を録る時の基本だけね。正直言うと、弦楽器の収音に対する私のスキルが不足しているからなのだが・・・うははは。
まずアコースティック弦楽器は弦が鳴る事によって音を出す。これは当たり前なんだけど、この弦の音だけでは音量が小さいので、楽器によって様々な音を大きくする部分がある。バイオリン族では、胴で共鳴させた音をf穴から放出しているし、バンジョーなら胴に強めに張った皮に、弦の振動を伝えて弦の音を増幅している。
この2つの音が組み合わさったものが「生の音」で、この音を収音したいのであれば、2つの音が空気中で混ざった音を収音しなければならない。で、当然オフマイクによる収音が一般的になるわけだな。オンマイク気味に収音したい時は、弦を弾いたり引っかいたり擦ったりする部分を、楽器の正面側から狙う。(正面側ってのは楽器によって弾く時の楽器の向きが違うからで、地面に向かってギターなら水平方向に、バイオリンならほぼ垂直方向に正面が向く。)その位置から胴の音が程良くミックスされる様にマイクを傾けたり位置をずらすわけだ。(この時にプレーヤの邪魔にならない様に気を付けようね。)これさえ守っていれば全く録音した経験のない楽器に出くわしてもあわてる事はない。
2-7-2 弦楽器の収音によく使われるマイク
ピアノと同じく高域が重要な弦楽器の収音では、高域特性の優れたコンデンサーマイクの独壇場だ。特にクラシック系の音楽の録音では、チューブマイクが多用される事が多い。
U-87 |
嫌味のない弦楽器の音を収音出来る。オフマイクにする場合、あまりオフすぎない方がこのマイクらしさが出ると思う。 |
C-451 |
バイオリン系の音には向かないけど、バンジョーやマンドリンなど明るめの音質の楽器に音マイクで使用するといい。 |
C-414 |
下手なマイキングをするとウラにはまるけど、独特の透明感はほかのマイクでは得られない。100Hz以下の部分は、(ミキサ側で)緩やかにカットしてやった方が透明感を強調できる。 |
C-48 |
オンマイクでの使用は、下品な音になり易いので、あまり好きじゃないんだけど、数本のバイオリンを1本のマイクでまとめて取るときなどには最適。オフマイクなのに輪郭のある音が収音できる。 |
C-38 |
思いこみもあるのだろうけど、バイオリン族などの西洋系楽器は全然ダメ。その代わり「お箸の国」の楽器、例えば胡弓(こきゅう)なんか収音させるには最高のマイク。 |