レコーディングでもその他の音響の分野でも、現在では複数のマイクを使って収音するマルチマイク方式が主流になっていて、そのためマイクも指向性が単一指向性のものが一番よく使われる。よってマイキングで重要な事は、「マイク(の指向)を音源のどの方向に向けるか」という事になるわけだ。
これから紹介する様々な音源のマイキングはあくまでも参考のもので、自分でいろんな所に耳を持っていって音を聴いて、マイクの指向を決めるのが本来のマイキングだ。
その次に大事なのが音源とマイクの距離。マイクと音源の距離によって、得られる音はかなり変わってくる。注意しなければいけないのは、本来オンマイクというのは「不自然な」音になっているという事を忘れないこと。大体人間が音を聞く時に、楽器に耳を押しあてて聴くなんて事はあり得ない。だから本当はオフマイクが本来聴いている音に近い音を収音出来るのだ。
じゃあここまでオンマイクが多用されるのはなぜかというと、「近接効果を利用して迫力のある音を収音する」のと「他の音源の音のカブリを少なく、部屋鳴りなどの残響を拾わないため」の2点だ。
よって最初の段階で、自然に近い音を収音したいのか、そうでないのかをしっかり決めておかないと、マイキングなんか出来っこない。最近はレコーディング機器の高性能化によって、イコライザやエフェクターで音を作る事が多くなったけど、これも適切なマイキングで、いい音源素材が取れてからこその話で、「ミックスダウンの時に何とかなるや。」などと思うなかれ。特に少しレコーディングに慣れた頃に陥りやすい罠だ。