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 武相荘(旧白洲次郎邸)に行った

(2009/ 3/ 2)

福島に一人で暮らす家内の母が上京して我が家に滞在、旧白洲次郎邸「武相荘」に行ってみたいというので、家内とお付き合いしてきました。
白洲次郎氏についてそんなに多くは知りませんが、ずいぶん前にテレビで特集番組のようなのをやっていたのは見ていて、晩年までポルシェ911を乗り回していた実業家という程度の知識はありました。
さらにパンフレットによれば、明治35年生まれ、ケンブリッジ大学に留学、身長185センチの好男子、吉田茂とともに戦後処理に当たり、JHQが「従順ならざる唯一の日本人」と評したそうです。また日本国憲法の成立にも深く関わったとのこと。
武相荘は愛妻正子さん(作家・随筆家)と40年あまり暮らしたところ。武蔵と相模の間に位置するところから次郎本人がそう命名したそうです。
我が家からは9キロほどの道のり、車なら30分くらいなのですが年寄りの運動もかねて電車で行きました。東京町田の近くです。電車では私鉄、JR、別の私鉄と細かく乗り継がなければならすちょっと面倒なのですが。

東京都内の日本の個人宅としては贅沢な広さの敷地(他のお金持ちの邸宅の面積に詳しくありませんが)、お屋敷は農家を買い取って日曜大工が趣味だった本人が暇をみては手を入れた建物だとのこと。基本的に茅葺きの日本家屋、和室ですが、外国暮らしが長かったためでしょう、洋間もいくつかあります。また書斎は畳なのですが、机の下が掘りごたつのように足がおろせるようになっていました。畳に座るのが苦手なぼくは共感を覚えました。書斎には多くの蔵書(近年まで存命だった人だから見覚えのある背表紙もけっこうあり親近感がありました)、そのほかの部屋には愛用した多くの食器類、趣味が偲ばれる数々の日用品が展示してありました。車の運転が趣味だったそうですが、車に関わる展示はブガッティのレーシングカーのミニチュアモデルと、使い古した皮のゴーグルくらいだったのが残念。愛車のポルシェは現存しないのでしょうか。
緑と自分の趣味に囲まれたのどかな環境、しかし車を駆れば1時間とかからずに東京中心部に出られる暮らしはうらやましい限りです。
まぁそれ以上に「葬式無用、戒名無用」という遺書を残せるような人生がうらやましいかなぁ。

平日にもかかわらず、けっこう多くの人が見学に来ていました。入り口、出口が別になっているので、上がるときに紺色の布のトートバッグのようなものを渡されてそれに脱いだ靴を入れて持って見学、出口でバッグを返します。個人邸を展示してあるところにしては破格の人数のスタッフがいてそうした見学客のサポートにあたっていました。ちょっと高いなと思った入場料千円はそうした費用かなとも思いました。

おりしもNHKで3回シリーズで白洲次郎のドラマを放映しています。当分はもっと混雑するのではないかと思います。その前に行っておいてよかった。

庭の紅梅の花びらが鉢の水に浮かんでいるのに目を引かれました。

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