98.5.20
ちょうどあれは小学校5年生のとき、最近(ちょっと前か)のナイキのスニーカーブームに似たブームが起こった。プーマ、アディダス、アシックスを中心としたスポーツブランドブーム。自分の気に入ったスポーツブランドのスニーカー、ジャージ、バッグを揃えることが自慢となった。
プーマの同じスニーカーを色違いで2足もっているやつ、体育の時間がない日でも必ず自慢のジャージを来てくるやつ、アディダスの帽子をかぶってキャプテン翼の若林ゲンゾウを気取るやつなど。そんな中、私は「そんなものは必要ない」という親からブランド品を買ってもらえず、悔しい思いをした。
ある日、体育の時間でサッカーが始まった。ブランド野郎どもは、みんなスパイク、ストッキング(サッカー用の)を身につけていた。中でもストッキングを脱ぐときにストッキング止めを外す「バリッ」という音が自分には妙にうらやましく思えた。それだけでもいいから手に入れたいと本気で思った。そして自分はやっとのこと親から500円をもらい受け、スポーツ店に走り、無名のブランドだったがとりあえずストッキング止めを手に入れることができた。ストッキングを持っていなかった私は、しばらくの間はハイソックスを無理やり伸ばしてストッキング止めを使っていた。当時はそれですごく満足であったし、周りからは特にバカにされることはなかった。
世の中、気の毒なやつはいるものだ。ある日そいつは新しいTシャツを着て、なにやら自慢げだった。しかし悲劇は起こった。そのTシャツを見たやつが声を上げた、「おい、これニセモノだよ。アディダスじゃなくて、アディダンだぞ!」なんじゃそりゃと文字を見ると、adidasの文字の最後がadidanと「n」になっていたのだ。そいつには気の毒としか言いようがなかった。
その後、自分は中学に進みサッカー部に入ったが、ブランドブームのときの反動がでたのか、自分の選ぶブランドはマイナーな路線だった。たとえばスパイクはヤスダだったり、練習用に買ったゲームシャツは当時発売されたばかりのアンブロ。しかもイングランド代表ホームモデル。最初はみんなに「どこのユニホームだよ?」って言われたが、ワールドカップでイングランドの選手たちが自分のと同じものを着ているのを知ると、「カッコイイじゃん」と言うようになった。ヤスダにしてもアンブロにしても一般にはマイナーだったが、サッカーでは名の通ったメーカーであったことから、自分はちょっと「通」になることができた。
いまでも、スパイクやゲームシャツなどを買うことがあるが、ブランドにこだわることはなくなった。しかし、ナイキだけはどうしてか買う気になれない。昔のなごりだろうか?