何事にも限界がある。いい例かは別として、お酒を飲んだとき。飲みすぎるとフラフラになって吐いたり、記憶がなくなったり、自分の体がいうことをきかなくなる。自分がお酒をどのくらい飲めるのか知っていれば無理はしないでしょう。(お酒の場合、無理をしたがる人もいるようですが...)
ジムカーナに於いても、いろんな限界を克服していかなければならない。では、その限界というのは何だろう?
まず、ドライバーの限界を考えると、
ドライバー、つまり自分自身の限界については自分がいちばんよく分かっていることではないだろうか。また、それを克服するのも自分。こればっかりは日々精進するしかないかも。また、ドライバーの限界については「慣れ」が大半をしめるように思います。スピード、横G等の恐怖心については練習をしている内に慣れてくるでしょう。
で、もう一つ大事なのが車の限界を知ること。
エンジンやボディについてはメーカーが設計した基本性能で、ある程度決まってしまいますが、その他の部分についてはチューニングやリファインで限界が引き上げられるでしょう。しかし、ドライバーである自分自身が車の限界ぎりぎりまで性能を引き出さなければ意味がない。そこでまず何をしたらいいのか?
例えばエンジン。レブリミッターが効くまで回転を上げてみる。何だかエンジンが壊れてしまうんじゃないかと思ってしまうが、メーカーが設定しているリミッター、壊れない回転に抑えてくれるのでそんな心配はない。(オイル交換はしっかりしている事が前提。)エンジン音は「ウォン、ウォン、ウォン...」と小刻みになり、それ以上回転数は上がらない。実はこれって、エンジンの限界を確かめるのと同時に、自分の不安を取り除きエンジンを最大限まで回すための訓練でもある。ジムカーナではエンジンのリミッターを効かせるまでブン回すことが多い。エンジンもドライバーも「回しぐせ」が必要です。ここだっ!って時にはレッドゾーンまで一気に全開!
次にタイヤ。ジムカーナにとってタイヤはタイムを削る大事な武器。ノーマルタイヤから履き替えただけでタイムが3秒縮んだりもする。しかし、タイヤは限界以上にはグリップ力を発揮してくれない。スタートで回転を上げ過ぎれば前に進まないし、スピードを出し過ぎれば止まらないし、曲がらない。また、タイヤは路面温度、タイヤ自体が発する熱によってもグリップが変化する。冬の寒い日にいきなり走行するとグリップしなかったり、暑い日の走行ではタイヤに負担を掛ければ熱ダレでグリップが低下する。しかしながら、タイヤを常に限界ぎりぎりでコントロールできれば、最高の走りができるはずです。よく雑誌等に新しいタイヤが発売されたりすると、プロドライバーによるインプレッションが行われるが、もしそのドライバーが新タイヤの限界を出し切れなければ「このタイヤの限界以上に走ることができませんでしたので、私にとっては最高のタイヤです。」ってとんでもないインプレで終わってしまう。今のところ、どんなタイヤにも限界はあります。まずはスピン、アンダーステア、タイヤロック等を多く経験して、タイヤからの情報をキャッチできるようになることでしょうか。
ブレーキの限界は、フェードやペーパーロック(ブレーキフルードの限界)。ノーマルだったらちょっと無理をしただけでも(ジムカーナの走行を1本しただけでも)アッという間に限界が来てしまう。ブレーキの場合は危険が大きいのでいきなり限界を迎えるようなことは避けたほうがいいでしょう。もし限界を知ろうとした場合は、徐々に段階を踏んで行き、限界を越えたときにパニックにならないようにしたいものです。(無理はやめましょう。)
限界というものは克服してもそこで終わりにはなりません。限界を越えてたら次のステップ(チューニング等で限界を引き上げる)、また限界を越えたら次のステップ...とはっきり言ってキリがない。でも妥協せず、自分も車も日々限界ぎりぎりで戦えるようにしたい。(でも金銭的な限界はありますね。)
そして、自分の限界が車の限界を越えたとき、本当に車をコントロールできると言えるでしょう。千里の道も一歩から。がんばりましょう。