原作漫画 & アニメーション●●
vol.15
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2005.5.16 掲載●●

このコラムは●●
ドラえもん最新情報BLOG●●
からの転載です。●●

text by Toshio Mizuno●●
Illustration by Harumi Mizuno●●

●データ●
ドラえもん
毎週金曜日午後7:00より
テレビ朝日系列にて放送中

主要スタッフ
総監督●楠葉 宏三

1947年愛媛県生まれ。83年の「アルプス物語わたしのアンネット」をはじめ、7作品の「世界名作劇場」のシリーズ監督を務める。代表作は「愛少女ポリアンナ物語」「ロミオの青い空」「映画・MARCO母をたずねて三千里」など。

シリーズ監督●善 聡一郎
1959年神奈川県生まれ。「ドラえもん」「あたしンち」などの演出として活躍。他に「藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまん」「クレヨンしんちゃん」「ジャングルはいつもハレのちグゥ」「おじゃる丸」なども演出されていました。代表作は「ガン・フロンティア」など。

キャラクターデザイン●渡辺 歩
1966年東京都生まれ。「ドラえもん」の動画でデビュー。88年シンエイ動画入社より、多くのドラえもんのTV・映画を演出・監督されています。代表作は「映画・帰ってきたドラえもん」「映画・のび太の結婚前夜」「映画Pa−Pa−Paザ☆ムービー パーマン」などの監督作、「のび太のワンニャン時空伝」作画監督作など。

声の出演 
ドラえもん●水田 わさび

1974年8月4日生まれ。30歳。
代表作「あたしンち(川嶋役)」「ヒカルの碁(フク役)」「忍たま乱太郎(カメ子役)」

のび太●大原 めぐみ
1975年4月16日生まれ。29歳。
TVアニメ初出演!

しずか●かかず ゆみ
1973年6月18日生まれ。31歳。
代表作「今日からマ王!(渋谷美子役)」「ヒカルの碁(藤崎あかり役)」「東京ミュウミュウ(藍沢みんと役)」「ななみちゃん(青葉未知役)」「遊☆戯☆王(真崎杏子役)」

ジャイアン●木村 昴
1990年6月29日生まれ。14歳。
代表作「スタンリー(ライオネル役)」
テレビ東京系「おはスタ」01年度おはキッズ。ミュージカル「アニー」出演経験。

スネ夫●関 智一
1972年9月8日生まれ。32歳。
代表作「ふたりはプリキュア(メップル役)」「機動戦士ガンダムSEED DESTINY(イザーク・ジュール役)」「カードキャプターさくら(木之本桃矢役)」「ポケットモンスター(ケンジ役)」「機動武闘伝Gガンダム(ドモン・カッシュ役)」、映画「猟奇的な彼女(キョヌ役)」

のび太のパパ●松本 保典
代表作「サザエさん(波野ノリスケ役)」「ふたりはプリキュア(ジュナ役)」

のび太のママ●三石 琴乃
代表作「新世紀エヴァンゲリオン(葛城ミサト役)」「クレヨンしんちゃん(上尾先生役)」「美少女戦士セーラームーン(月野うさぎ役)」

情報リンク:ドラえもんチャンネル
●●●●●●テレビ朝日・ドラえもん


 先生も観てらっしゃいますよね。

アニメ「新・ドラえもん」が
成功したヘンテコな理由。

 もうすでに多くのドラファンの皆さんがアニメ「新・ドラえもん」をご覧になったことでしょう。当サイトの掲示板でも、4月15日のリニューアル第一回放送の日から、とても多くの視聴者から感想・批評が寄せられました。放送直後は批判的意見が多く、声優陣に対しての違和感についての意見が多かったのですが、次第に擁護派の意見も増え、現在は大半がだいぶ落ち着いた好意的意見になっているようです。

 さて、今回のリニューアルは大きく報道された事もあり、世間の多くの「ドラえもん経験者」の感心を引きました。報道の多くは「声優陣交代」の件をとりわけ大きく報じ、人々は25年間慣れ親しんだ「大山のぶ代=ドラえもん」との別れに大きな変化と哀愁のような物を感じたようです。しかし、実は今回のリニューアルで大きく変化したのは作品の内容自体でした。
 TVアニメ版新ドラえもんの目指したものは
「原作回帰」。スタッフの多くが入れ替わり、ドラえもんを観て育った世代に交代した制作陣は、「これから新しいドラえもんを作ろう!」という時に「藤子・F・不二雄の原作漫画」を目指したのです。
 通常、何かをリニューアルするといった場合、「過去の物を現代風にアレンジする」「元の物をより良く改良する」という作業を意味する訳ですが、今回のドラえもん新制作陣は、
「原点へ戻る」という、ある意味画期的な方針をうち立て、それを実行したのです。

 原作漫画を目指したアニメ版「新ドラえもん」。これを観たドラえもんファンの反応は当然様々でした。今年原作35周年のドラえもんは、そのファン層も幅広い世代に渡っています。1970年の漫画連載開始時のファンはもう40代以上。1979年のテレビ朝日版アニメの放送開始頃のファンも30代。そして現在に至るまでファンはそれぞれの時代の「ドラえもん」に慣れ親しみ、育って来た訳です。親子2代に渡るリアルタイムドラファンが共通の作品を体験していたとしても、やはり実際はそれぞれの時代の「ドラえもん」を体験していた訳で、その内容は大きくかけ離れているのです。

 原作漫画から「ドラえもん」を体験したファンと、TVアニメから「ドラえもん」を体験したファンには、今回のリニューアルに対しての感想に大きなギャップがあるように感じます。当然、原作とアニメ両方に慣れ親しんだファンも多いとは思いますが、藤子・F先生が亡くなられてからもうすぐ9年。原作を読んだことの無いファンもこれからどんどん増えていくのも事実です。でも私は決して「原作至上主義」を大々的に掲げようという訳では無いのです。原作漫画自体、初期のテイストと後期のそれは大きく変化しているし、旧アニメが原作を全く無視していた!という訳では無いのですから。

ただ、やはり!!!
 改めて読み直すと感じるのですが、
原作漫画「ドラえもん」は面白いのですよ!! 初期のドラえもんのドタバタ加減。短編漫画だからこそのハチャメチャぶりは、後の長編シリーズの「まとまり感」など微塵も感じさせないぶっ飛び方をしているのです。SFギャグ漫画「ドラえもん」は、よい子の為の道徳的教育漫画では無く、ヘンテコなロボットが、ヘンテコなひみつ道具を使って騒動を起こすギャグマンガ。そう、子供達が掛け値なしに熱中するのが「マンガ」。基本ベースが「ヘンテコギャグ」だからこそ、読者はドラえもんの作品の中に入りこみ、笑い、泣き、共感するのです。

 25年以上続き、「ドラえもん世界」がすっかり日常的表現になって麻痺してしまっていた近年のTVアニメ版ドラえもんが見失っていたもの、それは「ヘンテコ感」だったのかもしれません。長寿アニメとしてよく比べられる「サザエさん」とは、基本的に舞台世界が違うのです。日常ドラマでは無い、「SFギャグ漫画としてのドラえもん」を甦らす事に的を絞った事は、結果的にドラえもんを「新鮮に」リニューアルする事になり、多くの複合的な「良い効果」を生む結果に繋がったのだと思います。

 元気な新声優陣のパワー、ノスタルジックな色調のキャラや背景、ギャグ・ドラマ部分の丁寧な描写など、作品の設定・ストーリーの「ヘンテコ感」を再認識させてくれるこれらの変化は、原作を意識したからこその変化であり、それらが混じり、共鳴しあい、明らかにより良く改良された「リニューアル・ドラえもん」が生まれていると感じさせます。

「マンネリからの脱却のヒントが、原作漫画の中にあった!」
これは原作漫画がどれだけ奇抜なアイデア満載のすごい作品であったのかを証明しているようにも感じるのです。アニメ「新ドラえもん」の原作に忠実な作品群を観て思うのは、
やはり原作の凄さ。ここに戻ってしまうのですよ。

 原作を観たことが無いというあなた、今からでもぜんぜん遅くありません。「ヘンテコギャグ漫画・ドラえもん」をぜひ読んでみてください。いろんな新しいドラえもんが発見できるし、アニメ「新ドラえもん」にも納得できると思うのです。
 以前より幼くなったと言われるドラえもん。そう、
ドラえもんはのび太の保護者では無く、友達なんですよね。ガンバレ「新ドラえもん」。キミは子供達の心のよりどころであればよいんだよ。



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