原作漫画 & アニメーション●●
vol.8
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2000.5.22掲載●●

text by Toshio Mizuno●●
Illustration by Harumi Mizuno●●

●データ●
ドラえもん誕生30周年記念
のび太の太陽王伝説
おばあちゃんの思い出
ザ★ドラえもんズ・
 ドキドキ機関車大爆走!

2000年3月11日公開
●大人:
1,500円●子供:800円
今年も前売り特典として、
劇場窓口での前売券購入者先着10万名に
ドラえモーションカード」をプレゼント。
スクラッチを削って当たりが出れば、
1000名に「
ドラッチ太陽王伝説限定モデル
1万名に「
太陽王ピンバッジ」が当たる!



映画ドラえもん・のび太の太陽王伝説
〜君は誰を守れるか。〜
・監督/芝山努
・脚本/岸間信明
・主題歌「ドラえもんのうた」
 (ウィーン少年合唱団)
第21作目になる今回は、
幻の古代文明世界が舞台!
果たしてどんな冒険が始まるのか?
萩原伸一さん&藤子プロの原作漫画は、
月刊コロコロコミック10月号〜3月号にて連載。

映画・ザ★ドラえもんズ
 ドキドキ機関車大爆走

〜間に合うか?ドラえもんズ!
 エネルギーカプセルを、急いで届けろ!〜

・監督/錦織博
・脚本/池田眞美子
・主題歌「ぼくらの元気」
 (堀江美都子)
ドラ・ザ・キッドが主役!
アメリカ育ちのキッドが空気大砲で大活躍!

映画・おばあちゃんの思い出
〜もう一度、会いたいよ…。〜
・原作/藤子・F・不二雄
・監督/渡辺歩
・脚本/藤本信行
・主題歌「ハグしよう」
 (タケカワユキヒデ&T's CONPANY)
藤子・F・不二雄先生の名作短編
「おばあちゃんのおもいで」
(てんとう虫コミックス第4巻)を映画化。
僕の予想では、第18巻収録の
「あの日あの時あのダルマ」(感動の名作!)と
ミックスされるのでは…と思ってましたが、
はずれました。
でも感動の作品に仕上がってます。


面白かったです!
映画「太陽王伝説」と
「おばあちゃんの思い出」

今年も3月10日の「大人だけのドラえもんオールナイト」で映画を観るつもりだったのです。チケットも買って楽しみにしていたのに…。3月初め頃から急激に仕事が忙しくなり、5月の連休までびっしりお仕事!3月10日もチケットはパー。しかも映画が観れたのは5月20日。やっと今年の映画・ドラえもんを観ることができたのでした。

観に行ったのは横浜そごうデパートの中にある、子供向け映画オンリーの小さな映画館。
劇場はガラガラで、親子連れ・友達同士の子供達以外は、大学生?ぐらいの女性二人組(ドラファンかな?)がいらっしゃったくらい。もう通常の劇場公開はだいぶ前に終わってますから、これぐらいの入りで当たり前なんでしょうね。少ない観客・騒がない子供達の中、じっくり映画を堪能できました。

まずは「のび太の太陽王伝説」です。冒頭の始まり方いいですね〜。太古のジャングルの奥深くにある幻の古代文明マヤナ王国。その国に恨みを持つ魔術師レディナの呪い。おどろおどろしい雰囲気のイントロです。そこへ突然白雪姫の劇の練習をしている、現代世界のび太達の状況がカットインされて、いつもの始まりへ…。以後、この遙か昔の古代の世界現代世界が交互に描かれ、面白い効果を作り出しています。

今回の基本設定の「マヤナ王国の王子の顔がのび太とソックリ」という仕掛けも面白かったですね。つまり「王様と乞食」の設定なワケですが、ドラえもんらしく時空を挟んでソックリな二人が入れ替わるという状況を楽しませてくれます。この描き方がなかなか楽しく、映画中盤を引っ張っていきます。後半は友情で結ばれた王子とのび太達が、魔術師レディナと戦い勝利するまでを描いていますが、中途半端に弱い悪役達や、のび太と王子が友情で結ばれる過程の描き方にちょっと無理があるのが気になりますね。特に「だって友達じゃないか!」というセリフで作られてしまう「友情」に説得力がありません。のび太がなぜ王子を「友達」としたのか?もっと丁寧に描かれるべきでした。

しかし、藤子プロの原作とはひと味違った各エピソードの処理など全体的にはテンポ良く、始めから終わりまで一気に見せてくれる演出は絶妙でした。藤子・F先生がお亡くなりになった後の長編映画の中では一番面白い作品に仕上がっていると思いました。

次に同時上映「映画・ザ★ドラえもんズ ドキドキ機関車大爆走」ですが、今回はちょっと地味でまともな展開でしたかね?ゲストキャラの女の子の顔が…いかにも美少女アニメ顔?で、藤子ワールドをブチ壊してくれます。(ドラズはいつもそうですが…)
前作のほうが、まだ弾けてて良かったかな〜?という感想でした。

そしていよいよ期待の「映画・おばあちゃんの思い出」です。これは藤子・F・不二雄先生の名作短編「おばあちゃんのおもいで」の映画化ですが、「映画・帰ってきたドラえもん」、「のび太の結婚前夜」同様、監督の渡辺歩さん・脚本の藤本信行さんが原作を巧く咀嚼して感動作に仕上げています。今は亡きおばあちゃんを懐かしむのび太が、タイムマシンでおばあちゃんに会いに行くというシンプルなストーリーで、原作漫画も短いお話なんですが、映画ではいくつかのエピソードを足して、よりせつない展開を見せてくれます。
また、おばあちゃんの描き方が素晴らしいのです。言葉少なにのび太への愛情を表現するセリフや、コツコツとのび太のぬいぐるみを繕うシーンなどの、おばあちゃんの
リアルな存在感
原作の味わいと基本プロットを守りながら、絶妙な「感動」の味付けをする演出に、僕は思わず
涙腺をやられてしまいました。
最後の「ママのやさしさ」の付け足しも良かったですね。次回作も期待しています!

さて、大長編ドラは来年どんな展開を見せるのでしょうか?楽しみです。



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