text by Toshio Mizuno●● ●データ●
「映画・ザ★ドラえもんズ 「映画・おばあちゃんの思い出」 ● |
面白かったです! 今年も3月10日の「大人だけのドラえもんオールナイト」で映画を観るつもりだったのです。チケットも買って楽しみにしていたのに…。3月初め頃から急激に仕事が忙しくなり、5月の連休までびっしりお仕事!3月10日もチケットはパー。しかも映画が観れたのは5月20日。やっと今年の映画・ドラえもんを観ることができたのでした。 観に行ったのは横浜そごうデパートの中にある、子供向け映画オンリーの小さな映画館。 まずは「のび太の太陽王伝説」です。冒頭の始まり方いいですね〜。太古のジャングルの奥深くにある幻の古代文明マヤナ王国。その国に恨みを持つ魔術師レディナの呪い。おどろおどろしい雰囲気のイントロです。そこへ突然白雪姫の劇の練習をしている、現代世界のび太達の状況がカットインされて、いつもの始まりへ…。以後、この遙か昔の古代の世界と現代世界が交互に描かれ、面白い効果を作り出しています。 今回の基本設定の「マヤナ王国の王子の顔がのび太とソックリ」という仕掛けも面白かったですね。つまり「王様と乞食」の設定なワケですが、ドラえもんらしく時空を挟んでソックリな二人が入れ替わるという状況を楽しませてくれます。この描き方がなかなか楽しく、映画中盤を引っ張っていきます。後半は友情で結ばれた王子とのび太達が、魔術師レディナと戦い勝利するまでを描いていますが、中途半端に弱い悪役達や、のび太と王子が友情で結ばれる過程の描き方にちょっと無理があるのが気になりますね。特に「だって友達じゃないか!」というセリフで作られてしまう「友情」に説得力がありません。のび太がなぜ王子を「友達」としたのか?もっと丁寧に描かれるべきでした。 しかし、藤子プロの原作とはひと味違った各エピソードの処理など全体的にはテンポ良く、始めから終わりまで一気に見せてくれる演出は絶妙でした。藤子・F先生がお亡くなりになった後の長編映画の中では一番面白い作品に仕上がっていると思いました。 次に同時上映「映画・ザ★ドラえもんズ ドキドキ機関車大爆走」ですが、今回はちょっと地味でまともな展開でしたかね?ゲストキャラの女の子の顔が…いかにも美少女アニメ顔?で、藤子ワールドをブチ壊してくれます。(ドラズはいつもそうですが…) そしていよいよ期待の「映画・おばあちゃんの思い出」です。これは藤子・F・不二雄先生の名作短編「おばあちゃんのおもいで」の映画化ですが、「映画・帰ってきたドラえもん」、「のび太の結婚前夜」同様、監督の渡辺歩さん・脚本の藤本信行さんが原作を巧く咀嚼して感動作に仕上げています。今は亡きおばあちゃんを懐かしむのび太が、タイムマシンでおばあちゃんに会いに行くというシンプルなストーリーで、原作漫画も短いお話なんですが、映画ではいくつかのエピソードを足して、よりせつない展開を見せてくれます。 さて、大長編ドラは来年どんな展開を見せるのでしょうか?楽しみです。 |