
原作漫画 & アニメーション●●
vol.7●●
1999.11.15掲載●●
text by Toshio Mizuno●●
Illustration by Harumi Mizuno●●
●データ●
ドラえもん誕生30周年記念特別企画!
てんとう虫コミックススペシャル
「ドラえもんカラー作品集2」
●1999年10月28日発売
藤子・F・不二雄
(小学館てんとう虫コミックススペシャル/
714円+税)
●B6版・160ページオールカラー
好評の第1巻に続き、てんとう虫コミックス未収録作品のみを復刻。しかもオールカラー版!
●収録作品
●ハイレールペーパー
●カサイラズ
●影ぼうしフラッシュ
●中身ごとのびちぢみカップ
●箱庭フレーム
●ぜったい安全がさ
●写真はいりこみスコープ
●ペットペンキ
●重さすいこみじゅう
●シャシンシャベール
●いねむりシール
●うらないカードボックス
●実物はさみ
●出入りかがみ
●変身ロボット
●中身ポン
●あげられたこ
●日づけ変こうチョーク
●陸上ボート
●どこでも風せん
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これが低学年向け?
80年代の傑作揃い
「カラー作品集第2巻」発売!
楽しみにしていたカラー作品集の第2巻が発売されました。しかも今回傑作揃いです。
収録作品のほとんどは80年代中期あたりの作品なんですが、どのお話もアイデア・ストーリーが練り込まれていて面白いですね〜。
パーマンのコピーロボットが登場する「うらないカードボックス」や、しずかちゃんにボロボロに殴られるジャイアンが見れる「変身ロボット」。ドラえもんのおかしな顔?が笑える「いねむりシール」など、見どころ満載です。
驚いたのは、今回もほとんどが「小学一年生」(小学館学習誌)の掲載作品なのに、1年生のわりには妙に大人っぽいお話が多いんですよ。
「シャシンシャベール」はアイドル芸能人が電撃婚約発表するお話だし、「日づけ変こうチョーク」はタイムパラドックスのお話。その他のお話も「カラー作品集第1巻」と比べるとマセている?感じがしますね。のび太もズル賢いし、ジャイアンも凶暴です。
(単にチョイスの仕方の問題かもしれませんが…)
1巻の「バタバタフライ」(小学一年生・1978年4月号)や、2巻の「中身ポン」(小学2年生・1977年12月号)を見ると思うのですが、70年代の低学年向け作品と、80年代の低学年向けでは、明らかにストーリーのレベルが違います。藤子・F・不二雄先生の中で、「小学校低学年」への意識が変化しているのか、あるいは時代の変化を読みとって子供達のマセ具合に合わせてレベルを上げているのでしょうか。
また、80年代中頃までの間、ドラえもんは「小学一年生」〜「小学六年生」という幅広い学年の雑誌に同時連載されていた訳ですが、今回のように「小学一年生」の掲載分をメインに集めてみても、少しも手を抜かず、子供達に対して真剣に作品作りをしていた先生の姿勢を改めて確認出来る点は感動ものです。「子供向け」だからこそ、面白い作品を描くのは難しい。「子供向け」という言葉を履き違えている大人が多かった時代、藤子・F・不二雄先生は一人で模索し、戦っていたのかもしれません。
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