text by Toshio Mizuno●●
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ドラえもんの中の スターウォーズの第1作目(エピソード4)が公開されたのが1977年。当時、まだ特撮主体の映画は珍しく、技術的にも難しい時代でした。 宇宙への冒険!もちろん我らが藤子・F・不二雄先生も大好きな題材。藤子先生が映画スターウォーズを好きだったかどうかは解りませんが、先生のレーザーディスクコレクションには、しっかりスターウォーズ3部作が入ってました。少なくとも資料としては活用されていたようです。 そしてついにドラえもんの中にもスターウォーズが登場します。 しかし、ここでちょっと気になるのが、「これってパロディーでしょ。商業誌でやっていいの?」という小さな疑問です。 当ドラえもん同好会を見ていただいてる方ならご存知だと思いますが、当ページでは以前、ドラえもんのパロディー漫画を連載していました。しかし小学館より著作権侵害との指導を受け、全て削除したのです。藤子プロの公式ページにも注意として、パロディー作品などのHPでの公開(放送)を禁止すると明記されており、2次的著作物(ある著作物を原作として、そこに新たな創作性を加えた著作物)はいっさい許さない(許可を出さない)方針を説明しています。 果たして、パロディーとは元ネタの著作権を侵害するものなんでしょうか?確かに現行の著作権法では、2次的著作物を公開するには、元の著作者の許可が必要とあります。しかしその基準は曖昧で、どの程度似ていたら2次的著作物なのか?それを誰が判断するのか?についてがはっきりしていません。そもそもパロディーとは、昔から文学や映画、漫画の世界で多用されてきた1つの技法であり、漫画で限って言えば、「アルセーヌ・ルパン」の孫が活躍する「ルパン三世」、「銀河鉄道の夜」を下敷きにした「銀河鉄道999」(これは後に藤子先生がドラ長編・のび太の銀河超特急としてパロってますね)。我らが藤子先生も「スーパーマン」をパロって「パーマン」を作っています。 藤子プロや小学館が、パロディー作品を2次的著作物としてひと括りにするのなら、「パーマン」はもう出版出来ないでしょうし、いろいろなパロディーが満載の長編ドラえもんにも問題が出てくるでしょう。昨年の「のび太の宇宙漂流記」のストーリーだって、悪の道に引き込まれる父親を救おうとする主人公の少年、まさしくスターウォーズの主人公ルークとダースベーダー(アナキン)の関係ソックリだったし…。 ドラの「天井うらの宇宙戦争」。この作品は誰が見ても、スターウォーズのパロディーと解るでしょう。しかしパロディーというのは、決して元ネタの作品を汚したり、馬鹿にしたりするためのものではないのです。元ネタに対する愛着や理解など、ある意味、元ネタに対するオマージュであるのがパロディーなのです。 一部の人にパロディーに対して偏見を持っている方々がいらしゃいますが、世の中の著作物の多くは、過去に作者が経験し、見てきた物がベースになっています。それは子供の頃見た漫画や映画かもしれないし、多感な時期に影響を受けた小説や絵画かもしれません。全てがゼロから作られた著作物なんてほとんど存在しないのです。 以前、小学館にパロディーと2次著作物の定義についての質問をしましたが、明確なご返答はいただけませんでした。これについては現在も法律の専門家が論議している段階なので、即答出来ないのは当然なのです。 |