大津先生へのインタビューです

大津先生インタビュー 98年11月15日 二子玉川・「土筆」にて

大津先生

[恩師を訪ねて]コーナーの第3回は大津先生です。
大柄でユーモアたっぷりの大津先生は、中学校に入学したばかりの私たちにとって、とても優しく頼りがいのある印象でした。
今日は先生のお宅の近くにある静かな喫茶店「土筆(つくし)」でインタビューを行いました。

今回はゲストインタビュアーとして山口明子さん(山口さん写真)に参加してもらいました。同席者は、、広瀬、栗山です。

48net:先生は満州出身との話を昔お伺いしたことがありますが、11中にいらっしゃるまでをお話ください。

大津先生:僕は満州に中学4年までいて、静岡の浜松に引き上げてきた。7人兄弟の上から2番目で、父が早く亡くなったこともあって、兄と二人で家族を養ってきた。
休みはアルバイトをしていて、学生のときは浜松駅でアイス・キャンディーを売って就職用の背広を買ったこともあったな。

48net:先生は11中に何年いらっしゃったのですか。

大津先生:昭和35年から13年間だから昭和48年3月までいたことになる。当時は全て木造校舎で、隣の東京工業大学の森から鳥の声がよく聞こえて、山の中の学校のようだと覚えているよ。

48net:私たちが在学の頃は、東京工大の森はコンクリートの校舎に変わっていました。11中校舎もほとんどがコンクリートでしたが、古い木造校舎の1階にある薄暗い理科室で、大津先生の理科の授業を受けたことを覚えています。
それから、台湾から来たばかりの李君と中国語で話をしていらっしゃいましたね。

大津先生:彼も日本に来たばかりで不安だったようで、日本語もうまく喋れないので、僕は、「やさしくしてやれ。」と皆によく言っていた。やがて李君も日本語が上手になって皆とつきあうようになったね。

48net:11中の後はどこへ異動されたのですか。

大津先生:昭和56年3月までの8年間は目黒8中に、昭和58年3月までの2年間は目黒7中で教頭として、そして昭和61年3月まで目黒6中にいたよ。その後平成元年3月まで町田のつくし野中学で校長をして、定年退職だった。

48net:その後は講師として教壇にお立ちになったのでしょうか。

大津先生:定年退職後5年間は講師をする先生は多いが、僕は目黒の守屋教育会館で8年間教育相談をしていた。
電話相談を受けるのだが、子供よりも母親がほとんどだった。
僕は、あれこれアドバイスするのではなく、相手の話を聞いて自分でどうしたらよいかを気がつくよう導くようにしていたよ。

48net:先生は5月の同窓会で、ご自分が肺ガンだと公表されましたが、お身体の方はいかがでしょうか。ご様子を拝見するとお元気そうで、とても肺ガンでいらっしゃるとは思えないのですが。

大津先生:今年の3月までゴルフをしていて、空咳と血痰がでて医者に行ったところ、肺ガンの検査をすることになった。その後、5月18日に国立ガンセンターで「肺ガンW期」の宣告を受けて、6月1日に入院する予定だったんだ。
自分のガンは手術も放射線治療もできず、抗ガン剤だけしか治療方法がないと言われて、ガンに関する本を何冊も読んでみた。
そうしたら、肺ガンには抗ガン剤では完治しないということと、抗ガン剤は免疫力の低下という副作用があり、他の病気で亡くなる場合が多いということがわかったんだ。しかも、抗ガン剤の治療では半年間も入院することになるため、足腰も弱ってしまいそうだと思い、6月1日に国立ガンセンターのお医者さんと相談して入院を断った。

48net:抗ガン剤を使わないということで、どのようなことをされていますか。

大津先生:まず漢方薬で、これは東京女子医大付属の東洋医学研究所で調合してもらっている。
次は健康食品で、プロポリス(南米のミツバチの巣のエキス)、アガリックス(南米のキノコの原液)、キチンキト酸(カニの甲羅)、マイタケ、パイロゲン(波動性のある水にお酢を入れたもの)といったところだ。
あと、ビワの葉温熱治療で、これはビワの葉を胸に当ててツボをモグサでやけどしない程度に暖めるもの。
それから、週に1〜2回は世田谷区立のプールで水中歩行をしている。水の中なので関節に負担がかからず、ちょうどよい運動だね。

48net:現在はいかがでしょうか。

大津先生:顔色が良いせいか、「肺ガン」と言っても誰にも信じてもらえない。
またレントゲンで見てみても5月から病状は進行していないが、咳と胸の鈍痛はあるのがちょっと辛い。

48net:先ほどこの病気になられていろいろな本を読まれたとおっしゃっていましたが、どのような本でしょうか。

大津先生:最初は治療の本をたくさん読んだが、今は精神力を高める本を読んでいる。病気は医者や薬では治らないんだ。「病は気から」と言うだろう。
「病気を忘れる」「病気にかかったことを悔やまない」「人のためになることをする」この三つが病気を治す方法だと本に書いてあった。僕もそう思って前向きに考えている。病状が進まないのはそのせいかも知れないね。

48net:漢方薬と健康食品の他に何か治療はされていますか。

大津先生:9月に一週間、秋田の温泉に行って温泉療法を受けてきたよ。
玉川温泉といって、まずラジウムの効果がある岩盤の上にむしろをひいて30分ぐらい暖まる。次に強酸の内風呂に入る。肌がぴりぴりする位でここに5分入る。その後で真水のお湯で洗って、これを繰り返す。
ここは、ガン、心臓病、脳溢血にも効果があるということで、6ヶ月先までの予約が一杯なほど人気がある。本来は、2〜3週間行かないと効果が現れないようだが、今回は知人の代わりということで一週間だけだった。それでも、温泉に入っていると咳が治り、だいぶ楽だった。来年4月の下旬に2週間行くよう予約をしたよ。

大津先生と山口さん

48net:私たちも中学生・高校生の子どもを持つようになりました。そんな私たちに何かアドバイスをお願いします。

大津先生:子どもには、自主性・自立性を持たせることが大切だ。それには、思春期で慌てるのではなく、幼稚園ぐらいから「あなたならどうする?」と自分の考えを持たせ、自分の考えに責任を持たせるようにするんだ。
子どもは叱るだけでなく、話をよく聞かなくてはいけない。親の権威も必要だが、押しつけるだけではだめ。話をちゃんと聞くことにより、信頼関係が生まれる。これは学校の先生と生徒の関係も同じだね。

48net:先生はご自分のお子さんにもそのように接してこられたのですか。

大津先生:僕は子ども達に自分の考えを押しつけたことがない。選択肢は提示するがいつも子ども達に選ばせた。上位の学校で苦労するよりも自分に合った学校・・というように高校も大学も子どもが選んだものだ。

48net:大津先生、今日は本当にありがとうございました。これからもお体を大切に。
先生のご健康を心からお祈り申し上げます。

この後、先生のご自宅のそばまで皆でお送りしました。
暖かい一日で、「土筆」のお店の周りには銀杏の香りがただよっていました。

大津先生1
大津先生2
大津先生と出席者


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