続・日本一周旅行

1994年9月23日(金)
行程
大阪9:05(エーデル鳥取)13:55倉吉13:59(普通)15:22米子16:00(やくも16号)17:02新見
できごと
世紀の(??)日本一周達成から一ヶ月が経過した。 一周旅行でいくつの都道府県を巡ってきたのかを調べてみると、通過していない県が10あることがわかった。

埼玉・群馬・栃木・山梨・長野・岐阜・鳥取・島根・香川・沖縄

マクロに強い俺は、さっそく頭のなかに日本地図を描き、旅のルートをトレースしてみた。 見事なまでに"ほぼ"日本列島の外周に沿った形が浮かび上がったが、残念なことに山陰だけが欠けていた。 日本列島の輪郭に沿った行程を意識したために、海なし県と沖縄をパスしたのはやむを得なかったのだが、 山陰の鳥取・島根の2県を無視してしまったことは一周旅行の心残りの一つである・・・・

が、嘆いてばかりでは進歩がない。
「・・・・そうだ!!この部分だけ別に訪問すればいいんじゃないか!! それを一周旅行の終章として付け加えて旅の完成度を高めよう!!! 行くなら旅のぬくもりがまだ残っている今しかない!!よし三連休は山陰に行くぞ!!!」

大阪からのエーデル号は混んでいた。4両編成のうち自由席は2両しかないので早めに来ていて正解だった。 進行方向右の窓側の席を確保。山陰では海側になる方向だ。「幕の内弁当(800円)」の朝食。 エーデル号はディーゼルカーである。大阪という大都会駅を煙を吐きながら気動車が発車する光景も、また風流なものである。

通路はおろかデッキにまで人がいる。乗車時の席取合戦の末に離れ離れになってしまった老夫婦がいた。 気の毒だったのでご主人との席替えを申し出た。といっても自分が進行方向右の窓側の席であることに変わりはないので、 自分にとっては一向に構わないことではあったのだが、あとでお菓子のおすそ分けをいただいた。ラッキー!

車内でお昼をまわったので車販の弁当を購入。「お福弁当(900円)」弁当を食べ終わった頃、浜坂に到着。 5分間の停車時間を利用するかのように、地元の弁当屋さんが「かにちらし」を売りにきた。しまった・・・と若干後悔。

倉吉で乗り換えて15時過ぎに米子に着いた。ここでも「かにちらし」を売っている。 さすがかに処の山陰である。晩飯用に1個購入「かにちらし(1000円)」。 万が一これだけでは足りないことも懸念されたので、用心のために米子駅で「たまごうどん(380円)」を補給しておく。

米子からは伯備線で新見に向かう。しばらく山陰本線とはお別れする。中国地方最高峰の大山が見えてきた。 伯耆富士とか出雲富士という別名があるほどの山だけあって、おしゃれな形をしている。この山を見るのは初めてだ。 やくも号の車内検札で車掌に周遊券を示したら、「これって新見までつかえるんだっけ?」と逆に質問を受けてしまった。 周遊券旅行はそれなりに認知されていると思うのだが、このあたりではそうでもないのかな?

費用
大阪市内発山陰ワイド周遊券19060円、大阪→福知山特急券1340円

1994年9月24日(土)
行程
新見7:17(普通)8:44備後落合9:30(普通)12:40松江13:04 (いそかぜ)17:06長門市17:46(普通)18:48厚狭18:51(普通)19:27小郡
できごと
盆地の朝はとても爽やかだ。夏の旅行の終章なので、真夏のいでたちでやってきたが、今朝はこれではちょっと寒いくらいである。 新見からは芸備線の客になる。安芸と備中をむすぶ地味な路線だ。小学校の夏休みに、叔母の家に向かうために、もっと広島よりの区間で母・妹と乗ったことがある。 新見備中神代間は昨日のルートと重複する。昨日やくも号で備中神代を通過したとき、 西の方からさびれたレールがよって来るなと思ったものだが、今日はそちら側を走ることになる。 それはさておき、今朝はまだ朝食をとっていない。 時刻表では新見で「ちらし寿し」と「たきこみ弁当」を販売していることになっていたが、見当たらなかった。 今日のコースでは松江まで駅弁にはありつけないことになっている。食べられないと思うと、なおさら腹が減る。 心細い気持ちで新見を後にした。

備後落合までの芸備線の車窓からは、日本のローカル風景の真髄が見てとれる。 狭い耕地に生育した稲穂を刈り取る老人。たまに現れるちっぽけな集落。あまりにもできすぎの光景を目にしながら、 「あの農家では、自家製のおいしい漬物で幸せな朝ごはんを食べているに違いない」と空腹にこたえる想像をしてしまった。 8時44分に終点の備後落合に到着。覚悟はしていたが、ここはいわゆる鉄道駅。 鉄道路線の合流地点であることが主な存在価値であるこの地には、駅前食堂のようなものすら見当たらなかった。 ここからは再び山陰本線に戻るべく木次線で宍道を目指す。

備後落合から2つ目の三井野原をでたところで、1両編成のワンマンディーゼルカーは徐行し、 運ちゃんがマイクを手にして「おろちループ」に関するガイドを4名の乗客に向かってし始めた。 中国山地には特に急峻な峰があるわけではなく、大雑把に言うと緩やかな高原状であるが、 広島と島根の県境にあたるこのあたりの地形は鉄道や道路にとっては難所となっているらしく、 国道341号線は複雑なループ線を描いている。木次線はこの区間をスイッチバックで克服する。2度目の折り返し点が出雲坂根駅だった。

出雲坂根駅構内には「延命の水」と名づけられた湧き水がある。地元民らしき人がペットボトルに汲んでいた。 水では腹はふくれないが縁起物だから一口飲んだ。水を飲んでトイレに行っているうちに5分の停車時間が経過。 出雲坂根から3つ目の亀嵩は駅舎が食堂になったいた。 食堂経営の片手間に駅の世話もしているといった方が適切な感じ。多少なりとも停車時間があれば「かけそば」でもすすれたのだが、 無情にも30秒ほどで出発する。

沿線でもっとも大きな町木次には11:10に到着した。ここで何と26分も停車するので、 かばんを車内に置き去りにして駅を飛び出し、近くの喫茶店で「カレー(550円)」を流し込んだ。

宍道で再び山陰本線と再会する。木次線のたたずまいに馴染んだ目には、山陰本線は大幹線にうつる。 少し後戻りして松江からは特急いそかぜ号の客になる。松江で「かにすし(900円)」を買っておく。 カニにこだわっているわけではなく、これしか売っていなかった。

いそかぜ号。米子小倉を結んでいる正真正銘の特別急行列車であるが、 3両という短い編成にもかかわらず客はまばらである。晩夏の陽はまだ高いのに、窓外の景色を眺めていると妙にまぶしい。 その原因は瓦だ。黒や赤があるけれど、どれも艶やかな光沢を放っており、くすんだイメージの日本海とは対照的な色彩を感じた。

長門市から美祢線で厚狭に出て、山陽本線で小郡まで戻り今日の日程は終了。 宿の近くで「おつくり定食(1200円)+串2本(250円)」の晩飯。

費用
-

1994年9月25日(日)
行程
小郡7:40(ひかり32号)9:19岡山9:40(普通)10:37宇野11:10(小松島フェリー)12:39土庄14:15(小松島バス)15:15福田港 15:30(関西急行フェリー)17:10姫路(市営バス)姫路18:58(新快速)19:59大阪
できごと
「終章」の目的であった山陰地方の訪問は昨日無事達成した。ちょっとした充実感を味わった。

このあとは新幹線で一気に東進すれば午前中にも帰宅することが可能であるが、香川県にも足跡を残しておこうと思う。 この寄り道によって、一周旅行の行程において、沖縄をのぞいた「海あり県」をすべて通過したことになるからである。

小郡から1時間半ほどで岡山に到着。新幹線はやはり速い。 さて香川によるとしてどこに向かおうか。一番手間がかからないのは、瀬戸大橋を渡ってすぐに引き返してくる方法だが、 そんなつまらんことはしたくない。時刻表の路線地図を眺めてみる。

・・・・小豆島に行くとするか

小豆島も香川県である。日本で一番面積の小さい香川県の訪問地は、瀬戸内海に浮かぶオリーブの島に決定した。 書き忘れていたが、今朝は宿の和食モーニングを食べている。岡山からしばらくは周遊券の区間から外れるので、 切符を求めながらの移動になる。瀬戸大橋ができてから宇野に来たのは初めて。 宇高連絡船の基地として賑わっていた当時がウソのような寂れようであった・・・というレポートを読んだことがあったが、 香川県の大学に通っていた従兄を訪問したときも、乗り換えでした使ったことがないために、昔の宇野を実はよく知らない。

昨日の苦悩を教訓にして、機会があれば何でも腹におさめておこうと思う。フェリー乗り場の片隅で「さぬきうどん(月見)(300円)」を食べる。 船は途中、豊島の家浦港唐櫃港に寄港しながら小豆島の土庄港を目指す。 寄港といってもそんな大げさなものではない。小回りのきく小型船なので、器用に向きを変えて着岸し、数分で再び出港する。 一時間余りで小豆島に到着。観光色の強い場所に一人で立ち寄ると、何となく寂しい気持ちになるものだが、 土庄は人もまばらで、その心配は杞憂に終わった。

鮨屋さんにでもいって瀬戸内海の幸を味わうつもりだったが、土庄港の周りにはそれらしき店は見当たらなかった。 うろうろしていたら、自転車に乗ったおじちゃんが「どこに行きたい?」と聞いてきた。 そのおじちゃんに教えてもらった定食屋で、焼肉定食とビールを注文。 ビールが来たあとで、「ゴメン、ごはんがないです」「ひぇ〜」「うどんならできるけど・・・」 「うどんにビールか・・・」
結局「ミートスパゲティ+ビール(1000円)」の組み合わせになった。店内はガラ空きだったが、 そのうち店主の親戚関係が集まってワイワイし始めた。"いとこ会"に発展しそうな雰囲気なり居づらくなって店を出た。 バスの発車時刻まで時間があったので、別の店で「親子丼(600円)」。 小豆島はソーメンが名物らしく、味噌汁の代わりにソーメンが添えられていた。

小豆島をバスで横断し、東の端の福田港に向かう。小豆島の地形に関する知識はなかったのだが、 バスに乗ってみて少なくとも島の北部はかなり険しく、バスにはちょっとしんどいS字カーブの連続であった。

福田から姫路への船は、小豆島でゴルフを楽しんだ面々で賑わっていた。 船からは瀬戸内海の島々をながめることができたが、そのなかに無残な姿の島影を発見。 島の大半を占めると思しき山がざっくりと削り取られており、元の姿がまったく想像すらできぬほどの痛ましさだ。 木津川台を連想させる。開港したばかりの関西空港の埋め立てに使われた?

フィルムがほぼなくなった。このまま腐らすのは惜しいので、残り数枚を空写しして使いきり、 スピード現像の店に出してしまった。この間の40分を持て余してしまったので、仕方なく「うな丼(1200円)」を食べた。

午後8時頃、新快速は大阪駅のホームに滑り込んだ。今度こそ本当のフィナーレだ。 ドアが開き、「これだけ動き回れば、流石の俺もしばらく旅はもうこりごり状態になるのかなあ」と思いながら9番線に降りたった。 そのときふと向かいの10番線に目をやると、青森行きのブルートレイン日本海3号が発車を待っていた。

乗りたい!!とマジで思った。(完)

費用
新幹線特急券3190円、岡山→宇野乗車券560円、宇野→土庄フェリー820円、土庄港→福田港バス1030円、福田港→姫路フェリー1300円、姫路港→姫路駅バス240円