![]() 最短撮影距離まで鏡筒を伸ばした状態 |
このレンズの生い立ちは1937年8月まで遡る。当時のキヤノン用に供給された標準レンズである。あまりに良く写るので鏡筒のみ日本光学で作り、中身のレンズはツアイスではないか?と言われたとか?当時の明るいレンズとしては ライツがガウスタイプ、ツアイスがゾナーを世に出していたが、設計的にはガウスタイプの方が優れていてもコーティング技術が未発達(やっと単層コートが実用化された次期)であった時代において日本光学がゾナータイプを選択した事は正解であったように思う。 このレンズは戦後も1946年より製造され当然ながらニコンSマウントとして供給された。ここに紹介するレンズは絞り環が黒色であるのでニッカ5からVLあたりに供給されたもので1958年にニッカがヤシカに吸収されるまでとすると1955年から1958年くらいの製造か?僕よりも少し先輩と言うことになるが、使用者と違って衰えを見せていないのは凄い。開放からシッカリとした像を結ぶ辺りはゾナーを凌ぐと言われた描写も納得がいくというもんだ。 手にしてみての感想は、実に丁寧に出来ていて好感が持てる。また、絞り羽根も11枚と円形に近い絞りを形成するので理想的だ。更に特筆すべき点は、1.5ft(45cm)までの近接撮影が可能という設計だ。単にレンズの繰り出し量を増やせばよいというものではない事は皆様ご存じの通りで、近接撮影能力に自信があったのであろう。しかし、何分にもレンジファインダー用なので3ft以下では距離計に連動しない。ところがファインダーを覗いたままでも3ftの位置にクリックを設けており限界がわかるようになっているのだ。なんとも心にくい配慮ではないか。 |
|