ろしあんレンズ購入がいど

●先ずはその魅力について
写真の品質を決めるのは90%レンズの性能と言っても過言ではないであろう。もちろんファインダーの精度やシャッターの精度やショックの少なさ等も影響してくるが、いくら高級なボディーを持ってしてもレンズが無ければ写真は撮れない。逆にボディーがそこそこでもレンズさえ良ければ素晴らしい作品ができたりするものである。
これはまさしくロシアンカメラとレンズの関係に等しい。正直に素晴らしいと誉められるボディーは殆どないが、レンズは素晴らしいもので溢れている。とはいえ万人に勧められるか?というとそうではない。その理由は殆どがクラシックレンズ(事実古いものもあるし、設計的に古い物が多い)の部類に入り、今では死語のような自動絞りなんてものでさえ数えるほどしかなく全てマニュアルだからAFや自動露出になれた人には使いづらいかも知れぬ。
しかし、それらを払拭するような魅力がロシアンレンズにはある。その最たるは写りの良さだ。かなりの数のレンズは旧ツアイスの流れを汲むものであり、素材となるガラスもほぼ同じ鉱脈から産するものを使用しているためにツアイスを彷彿とさせる性能を持っている。その上に値段がツアイスの数分の1という破格値で手にはいるのだから言うことはない。同じ予算ならフルセットが揃ってしまうというものだ。但し、一度この魅力にはまったら二度と抜け出せない底なし沼であるという危険性があることも呼びかけておくとしよう(^^)。
さて、そんな御露西亜鏡玉沼への道案内(マウント別のガイドを別項に記す)の前に全般的な購入に際しての注意を申し上げておこう。
@ 古い物ほど良い?
そう信じている人も多いようだが、そんな事は決してない。特にカラーで使用するのであればコーティング処理が施されている近年のものを選んだ方が良い。ただ、ソ連崩壊時期および90年代後半のものには出来の悪いものが多いのは事実だ。
A ロシアンレンズは逆光に弱い
これは言えているかも知れぬ。しかし、多かれ少なかれ逆光条件ではどんなレンズでもハレーションを起こすものであり、ましてフード無しなどという条件が加わればなおさらだ。逆にちゃんとフードを装着してやり、キチンとハレ切り対策をすれば良い結果を生む。
B ロシアンレンズはゴミや傷が多い
これも事実です。鏡筒内部にゴミが入っていたり、レンズ表面に小さな傷があったりガラスの中に気泡がはいっていたり、なんていうのは良くあることです。でも、そんなの全て無視できる範囲のものばかりです。もし、気になるという方はロシアものを買ってはいけないのです。これは自動車でもいえるのですが、某西ドイツメーカーはいわゆる納車前点検で専門家が見ないと分からないような僅かな凹みや塗装ムラまで完璧にし、1台あたり50万円ほどかけて整備しているそうです。まあ、ロシアんレンズは車でいうならば平行輸入車のようなものでしょうか?痘痕も靨と思えないと買えないかも?
C ロシアンレンズは同一規格でも使えないものがある
これも後述しますが、一部にそういうものもあります。だから、購入時は自分のボディーを持参して実際に装着して点検するのが一番です。中には弄くった挙げ句に手放したというような(これは国産レンズでも時々あります)品物もありますので購入時には注意してください。


大した事は言えないが、ここではマウント別に注意点を述べてみたい
M39 ライカ−Lマウント

ロシア製Lマウントレンズはインダスター銘(これらはテッサータイプ)のもの以外は基本的にキエフ用をモディファイしたものが多く、基本的にはツアイスのコピーが多い。唯一独自の設計といえるのはルサールくらいであろうか。基本的には全てLマウントして使用できるのだが一部に気を付けないとならないものがある。
@ FED用のレンズ
特に50oF2、100oF6.3などはそうだが、戦前のインダスター22等もフランジバックがライカ−Lとは微妙に違うので戦前のボディーでないと使用できない。

A ジュピター9
先にも述べたように、もともとはゾナーであり基線長の長いキエフやコンタックス用に設えたものであるのでバルナックライカやゾルキーでは開放からF4くらいまではピントが合うことは紛れででも無い限りあり得ない。また、この辺りを調整しようと知識の無い者が弄くった固体が多くカムが狂っているものがよくある。

B ジュピター3
これもボディーによってはピント合わせが辛いであろう。

C カラーバランス
これらのレンズは長きに渡って製造されているので、初期の物はカラーフイルムなど存在しない時代のものであることを忘れてはならない。でも、後期のものはコーティングが成されているのでカラーにも耐えるが、たまに新しいものでもコーティングが?というものもあるので注意されたし。なお、簡単なチェック方法としてはレンズを通して白い紙を見たときに白く見えるかである程度の判断ができる。ただし、あくまでも目安でありポジに耐えるかどうかはテストしてみないと分からない。

D 距離計との連動
ジュピター9の項でも述べたが、中古レンズという物は弄くられた物や調整がずれた物が多く存在している。故に必ず信頼のおけるボディーをひとつ持参してチェックすることをオススメする。

E テスト撮影
先ず購入時にテスト撮影後に返品可能であることおよびテスト期間を確認してから購入すること(なお、2001年からは「消費者契約法」が施行されるので「返品不可」は認められない)。さて、テストだがカメラをきちんと三脚にセットした状態で近接から∞まで開放から最小絞りまで条件を変えて撮影する。被写体は何でも構わないが画面周辺部にもピントが確認できるものを配すること。撮影が終わったらスピードプリントでよいからすぐに現像して画像をチェックする。問題が有ればプリントサンプルを添えて返品する。
* 但し、カラーバランスが悪い、ハレーションが出る等は返品対象にはならない。


キエフ・コンタックスRFマウント
ロシア製コンタックスRFマウント基本的には全てツアイスのコピーである。基本的には全てキエフに使用できるのだが一部に気を付けないとならないものがある。また、逆にコンタックスには付かない物があるので要注意。なお、当たり前だがツアイスレンズ同様にニコンSには装着できても無限以外はピントが合わない(ニコンは似て非なるマウント)。
@ ジュピター12
特にこのレンズは要注意。決して現物合わせをしないで買ってはイケナイ。必ず自分のボディーを持参して装着してみよう。但し、このときに絶対に無理をして装着してはならない。下手をすると外れなくなる事もあるからだ。良く観察してみると微妙に外爪の位置が違っていることがあるのだ。
A カラーバランス
これらのレンズは長きに渡って製造されているので、初期の物はカラーフイルムなど存在しない時代のものであることを忘れてはならない。でも、後期のものはコーティングが成されているのでカラーにも耐えるが、たまに新しいものでもコーティングが?というものもあるので注意されたし。なお、簡単なチェック方法としてはレンズを通して白い紙を見たときに白く見えるかである程度の判断ができる。ただし、あくまでも目安でありポジに耐えるかどうかはテストしてみないと分からない。
B 距離計との連動
キエフの場合は望遠系を除いてはボディー側のヘリコイドを使用するので、テスト撮影をしないことには確実に合っているかは判断できない。
C テスト撮影
先ず購入時にテスト撮影後に返品可能であることおよびテスト期間を確認してから購入すること(なお、2001年からは「消費者契約法」が施行されるので「返品不可」は認められない)。さて、テストだがカメラをきちんと三脚にセットした状態で近接から∞まで開放から最小絞りまで条件を変えて撮影する。被写体は何でも構わないが画面周辺部にもピントが確認できるものを配すること。撮影が終わったらスピードプリントでよいからすぐに現像して画像をチェックする。問題が有ればプリントサンプルを添えて返品する。
*但し、カラーバランスが悪い、ハレーションが出る等は返品対象にはならない。



古典的ユニバーサル・マウント“T”

一眼レフにおいてはM42スクリュウ・マウントがいわゆるユニバーサル・マウントとして有名だが国産カメラメーカーの場合、アダプターを介してレンズの持ち味を活かせるのはキヤノン、ミノルタ、ペンタックス、リコー、コニカくらいである。ヤシカ・コンタックスやニコンの場合はフランジバックの関係で補正レンズを入れないと私用できないし、レンズ直後にレンズが入るために私用できるレンズが限られ、第一元のレンズとは異なった物になってしまう。ところが、一部のロシアンレンズに使用されているTマウントは、殆どのカメラメーカーのアダプターが補正レンズ無しで望遠鏡メーカーから供給されているだけでなく、僅か1500円(ビクセン製)で手にはいるのである。だから、今までニコンだからと諦めていた人も是非試してみていただきたい。通常はM42マウントとして供給されているレンズだが以下のモデルにTマウントが採用されている。

ミール10A 28mm/F3.5
ジュピター37 135o/F3.5 
タイール11A 135o/F2.8 
ルビナー マクロ 300o/F4.5 
ルビナー マクロ 500o/F5.6
ルビナー マクロ 1000o/F10 など

特にミラーレンズは世界的にも優れたミラーレンズで天体撮影用にも使える(ただ、三脚座がイマイチか?)。但しミラーレンズは、ボディーのペンタプリズムがフランジ面より出っ張っている場合はレンズ後端部に当たるので要注意。
Tマウントの使用方法は至って簡単で、レンズマウント部を止めている3本のネジを緩めて外して、交換するだけである(写真参照)。
*昔の国産レンズ(絞り込みやプリセット絞りの物)にも一部にTマウントが採用されていたものもあるようで、時々マウントアダプターを中古店で眼にするが、時には1万円近い法外な値段が付いているが前述の1500円のものと全く変わらない。もし、それらしきレンズを安い中古で見つけたらマウントを交換してロシアンレンズの様に楽しんでみると良い。